「霊魂論」エチカ詳解107 スピノザの存したところの近世時代の西欧世界は商工階級の市民の経済的基盤と其の財力からある程度には体制内に権力基盤を得ています。相対的には中間階級の地位を占め、更に拡張上昇傾向を示しています。相対的にとはいえ、以前とは比価級数的に絶対王政や正教会に発言力を持ち得た時代が到来したのです。其れは、市民階級が既得階級に取り込まれる危惧が発生することの危惧をも意味します。スピノザの近世世界のオランダでは市民階級が既得権益から一部は権力奪取するも、体制の維持に囚われた旧権力の圧力をば完全には排除しきれていまません。スピノザと同時代のドイツ観念論の大成者ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel/1770年-1831年)は思考及び存在の発展論理として積極的な意味付けを行ない大成化し、将又、元来は問答・対話の術を意味する弁証法について、思考及び存在の発展論理として積極的な意味付けを行ない大成化した人物ですが、曰く、世界は個人の生き方の問題においても、国家が生の目的であって、歴史は理性的な観照の対象であるに過ぎない。されども、個人は市民社会において、己の利益の自由な追求を楽しむことを許された市民である。しかし、此の同じ市民が同時に国家の一員・国民でもあって、国家のために自己の生命・財産を犠牲にすることは、国家という永続する実体に自分を同化する最高の生でなのであるある。「国家にとって個人は岩に打ちかかる波にすぎない」としています。此れではヘーゲルが哲学者と云うよりは社会学・政治学者に過ぎないとも取れますが、プラトンの国家論の例もあり、一概には哲学者の地位を揺るがす程のものでもありません。