時間の陥穽124 時間幻想論は思想家はともかくも万人に受け入れられたかといえば、事実は凡そ否定的です。其の根本的疑問には瞬間を抽象的な幾何学的点に擬えるところに、基本思考としての無理があるとの指摘です。我々の経験する「瞬間」は物理的にもとても短いだけで、人間が知覚する空間上の点がやはり僅かにしても面積を持つように、一定の幅を持つ時間間隔のことであるから、実際には、矢は少しは動いているのであとします。ユークリッド幾何学に云う「点の定義」の否定です。フランスの哲学者アンリ・ルイ・ベルクソン(Henri Louis Bergson1859年10月18日-1941年1月4日)は、時間を時間軸のような仕方で空間化して表象する根強い習慣に反して、本来の時間は意識の諸状態の相互浸透であると示します。時間を時間軸のような仕方で空間化して表象する根強い習慣に反して、本来の時間は意識の諸状態の相互浸透であるという。しかし、これは言い換えれば、意識の外の物理的現実は相互浸透のない幾何学的空間であるということになります。事実的には、幾何学的に構成された空間とは違い、現実の空間を構成する点は他の点と相互に浸透し合っているのでではないか。ベルグソンはゼノンとは立ち位置が似ても似ても似つかない哲学者であるが、外的な現実を幾何学化してしまっている点では共通しているようですが、人間精神の活動に重きを成していること、其の点に違いが看取れ、時間を人間側に内部化します。