時間の陥穽344 宇宙が始まりも無く終りも無いとする論は、現在21世紀でも唱える物理科学理論は者無しとは云えません。然し乍ら、20世紀の前期にドイツ人ながらナチスドイツのユダヤ人迫害政策に憤り、ヴェルナー・カール・ハイゼンベルク(Werner Karl Heisenberg/1901年-1976年)、量子論の創始者の一人である「量子論の父」とも呼ばれているプランクからの「今は生き残るために妥協を強いられるにしても、破局の後の新しい時代のドイツのために残るべきだ」という助言もあり、ドイツに残ることにしたヴェルナー・カール・ハイゼンベルク(Werner Karl Heisenberg/1901年-1976年)は、不確定性原理と行列力学により量子力学の発展に大きく寄与した事で知られています。その彼と袂を分かった理論物理学者の雄であるアルバート・アインシュタインは、1930年代に永続的な膨張宇宙モデル、ビッグバンによって始まりビッグクランチによって終わる振動が永遠に連続する宇宙を理論化します。ビッグバンとビッグクランチの間、宇宙は膨張してゆき、その後、物質の重力による引力によって再び収縮し崩壊して、大きな反発(ビッグバウンス)が起こる終末の無い世界を予想する振動宇宙論 (oscillatory universe theory) 論を発表します。それに対して、物理科学的な認識に立って、より矛盾性のない振動宇宙論に取って替わるサイクリック宇宙モデル、循環宇宙モデルの可能性をも考察していたことも彼の事績から読み取れます。ヴェルナー・カール・ハイゼンベルクのドイツ残留は当然に同様の物理科学水準に到達していた亡命ユダヤ人物理学者のノルウェー重水素工場などの進行から、連合国の核開発推進の原動力となり、結果は、皮肉なことに極東日本の、広島・長崎の原爆投下へと繋がります。