Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2021年09月24日
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カテゴリ: 絶対存在論
神の存否-179
 人間の奥底にある目的論志向は、アリストテレスの打ち立てた、すべての個物は形相と質料とから成り立
ち、その個物はまたより上位の形相を目的として運動し、世界全体が第一形相を最高目的として運動するというのは、アインシュタインの宇宙の美学に通じるものがあります。但し、此の目的論志向はスピノザの唯一絶対の存在としての神のあり方の逆を往くものです。アリストテレスの打ち立てた目的論志向を巧みに取り入れた正教会は、当然にスピノザとは対立します。巻き添えを嫌うデカルトの一派やオレンジ公を支持する教会信徒に対して、更に、批判を増長するかの如く次の一文が追加されます。
  付 録
 第五項第二
 なおここに見逃してならないのは、物の目的性を説明するにあたって自己の才能を示そうと欲したこの説の信奉者たちが、この自説を確証するために、一つの新しい証明法を提起したことである。それは帰謬法ではなくて帰無知法、人の無知に基づく証明法とでも言うべきやりかたである。このことはこの説にとって他の何の証明方法もなかったことを物語るものである。例えばもしある屋根から石がある人間の頭上に落ちてその人間を殺したとするなら、彼らは石が人間を殺すために落ちたのだとして次のように証明するであろう。もし石が神の意志によってそうした目的のために落ちたのでなかったら、どうしてそのように多くの事情が偶然に輻輳(ふくそう)しえたのか。というのはしばしば多くの事情が同時に輻輳するからである。これに対して、それは風が吹いたから、そして人間がそこを通ったから起こったのだと答えでもすれば、彼らはなぜ風がその時吹いたか、なぜ人間がちょうどその時刻にそこを通ったかと迫るであろう。これに対してまた、前日まだ天候が穏かだったのに海が荒れ出したからその時になって風が起こったのだ、そしてその人間は友人から招待されていたのだと答えるならば、彼らはさらに更にと問う。その問いには際限がないから、延々に答えを迫るであろう、しかしなぜ海が荒れ出したのか、なぜその人間がその時刻に招待されていたのかと。このように次から次へと原因の原因を尋ねて、相手がついに神の意志すなわち無知の避難所へ逃れるまではそれをやめないであろう。同様にまた彼らは、人間の身体の構造を見て驚く。そしてそうした巧みな技術の原因を知らないので、それは機械的技術によってではなく神的な、あるいは超自然的な技術によって作られ、一つの部分が他の部分を損なわないようなふうに仕組まれていると結論する。このゆえに諸奇蹟の真因を探究する者、また自然物を愚者として驚歎する代りに学者として理解しようと努める者は、一般から異端者、不敬虔者と見なされ、民衆が自然ならびに神々の代弁者として崇める人々からはこのような者として罵倒されることになる。なぜなら、神の代弁者と崇められる人々は、無知あるいは寧ろ愚鈍がなくなれば、驚き、すなわち自己の権威を証明し・維持するための唯一の手がかりもまたなくなることを知っているからである。しかしここに述べたような証明法にどんな効力があるかの判断はこの証明法の提起者自身にまかせる。私はこれらのことどもを措(お)いて、ここで取り扱おうと定めた第三の事柄に移る。
 上記は言わずもがなの記述とも云えるものであり、論敵を罵倒したものと云えます。スピノザの最大の主要著作「エチカ」が生前出版できなかった事情が解ります。此の点は、ソクラテスの問答法が何故に嫌われたかの事情に通じます。


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最終更新日  2021年09月24日 06時05分09秒
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