Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2022年01月13日
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カテゴリ: 絶対存在論
神の存否-289
 スピノザは「エチカ(倫理学)」第二部 精神の本性および起源についての終りに自己の哲学が、単に形而上の哲学理論に修まらず、認識論に立ち位置を持つ実践哲学であることを強調します。また、我々は旧約聖書のアブラハムの子イサクの生贄の逸話を試練を表象しますが、其の逸話も精神の本性が真に認識すれば、神格の存在・不存在は別として我々が神の命令のみによって行動し・神の本性を分有する者であること、精神そのものが誤謬しているとは一概には言えません。
 終りに、「この説」、此の指示が「エチカ(倫理学)」そのものを指すのか、「エチカ(倫理学)」第二部の精神の本性および起源についてを指すのかは難解です。)の知識が実生活のためにいかに有用であるかを指摘することが残っている。このことは次のことどもから容易に看取しうるであろう。
 一 この説は、我々が神の命令のみによって行動し・神の本性を分有する者であること、そして我々の行動がより完全でありかつ我々がより多く神を認識するにつれて一層そうなのであることを教えてくれる。ゆえにこの説は、心情をまったく安らかにしてくれることのほか、さらに、我々の最高の幸福ないし至福がどこに存するかを我々に教えてくれるという効果をもつ。すなわち我々の最高の幸福ないし至福は神に対する認識にのみ存するのであり、我々はこの認識によって、愛と道義心の命ずることのみをなすように導かれる。これからして、徳そのもの、神への奉仕そのものがとりもなおさず幸福であり・最高の自由であることを知らずに、徳と善行を最も困難な奉仕とし、これに対して神から最高の報酬をもって表彰されようと期待する人々は、徳の真の評価からどんなに遠ざかっているかを、我々は明瞭に理解するのである。
 二 この説は、運命に関する事柄あるいは我々の力の中にない事柄に対して、言いかえれば、我々の本性から生じない事柄に対して、どんな態度を我々がとらなければならぬかを教えてくれる。すなわち我々は運命の両面を平然と待ちもうけ、かつこれに耐えなければならぬのである。三角形の本質からその三つの角の和が二直角に等しいことが生ずるのと同一の必然性をもって、一切のことは神の永遠なる決定から生ずるからである。
 三 この説は共同生活のために寄与する。なぜならこの説は、何びとをも憎まず、蔑(さげす)まず、嘲らず、何びとをも怒らず、嫉(ねた)まぬことを教えてくれるし、その上また、各人が自分の有するもので満足すべきこと、そして隣人に対しては女性的同情、偏頗心ないし迷信からでなく、理性の導きのみによって、すなわち私が第四部 人間の隷属あるいは感情の力についてで示すだろうように、時と事情が要求するところに従って、援助すべきことを教えてくれるからである。
 四 最後にこの説は国家社会のためにも少なからず貢献する。なぜならこの説は、人民をいかなる仕方で統治し指導すべきかを、すなわち人民を奴隷的に服従させるようにでなく自由な動機から最善を行なわせるように統治し指導すべきことを教えてくれるからである。
 以上をもって私はこの備考で取り扱おうと企てたことを果した。これで私はこの第二部を終えることにする。私の信ずるところによれば、私は、この第二部で、人間精神の本性とその諸特質とを十分詳細にかつ事情の困難が許す限り明瞭に説明し、そしてもろもろの事柄を、それから多くのやれたこと・きわめて有用なこと・ぜひ知らなければならぬことが導き出されうる。そのことは一部分は次の部から明らかになるであろうのようなもろもろの事柄を述べたのであった。

                                    第二部 終り



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最終更新日  2022年01月13日 06時34分34秒
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