Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2022年05月03日
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カテゴリ: 絶対存在論
神の存否-398
 定理一一 我々が必然的として表象する物に対する感情は、その他の事情が等しければ、可能的あるいは偶然的なもの、すなわち必然的でないものに対する感情よりも強い。
 証明 我々はある物を必然的であると表象する限り、その物の存在を肯定し、これに反してある物を必然的でないと表象する限り、その物の存在を否定する(第一部定理三三の備考により)。
 参照:第一部定理三三の備考 
 備考一 私はこれで、物自身の中にはその物を偶然であると言わしめるような何ものも絶対に存在しないことを十二分に明白に示したから、ここに私は、偶然ということをどう解すべきかを手短かに説明しよう。しかしその前に、必然および不可能ということをどう解すべきかを語ろう。ある物が必然と呼ばれるのは、その物の本質に関してか、それとも原因に関してかである。何となれば、ある物の存在は、その物の本質ないし定義からか、それとも与えられた起成原因から必然的に生起するからである。次に、ある物が不可能と呼ばれるのも、やはり同様の理由からである。すなわちその物の本質ないし定義が矛盾を含むか、それともそうした物を産出するように決定された何の外的原因も存在しないからである。これに反して、ある物が偶然と呼ばれるのは、我々の認識の欠陥に関連してのみであって、それ以外のいかなる理由によるものでもない。すなわち、その本質が矛盾を含むことを我々が知らないような物、あるいはその物が何の矛盾も含まないことを我々がよく知っていてもその原因の秩序が我々に分からないためにその物の本質について何ごとも確実に主張しえないような物、そうした物は我々に必然であるとも不可能であるとも思われないので、したがってそうした物を我々は偶然とか可能とか呼ぶのである。
 備考二 前述のことからして、物は与えられた最も完全な本性から必然的に生起したのだから最高の完全性において神から産出されたのだということが明瞭に帰結される。このことは神に何の不完全性をも負わせるものではない。なぜならまさに神の完全性がこのことを我々に主張するように迫るのだから。のみならずもし逆ならば、神が最高完全でないということが明瞭に帰結されるであろう。なぜならもし物が他の仕方で産出されたとしたら我々が最高完全な実有の考察に基づいて神に帰せざるをえなかった本性とは異なる他の本性を神に帰することになるからである(先ほど示したように)。だが多くの人々がこの見解を不条理なものとして排斥しこれを熟考する気にならないことを私は疑わない。それというのも彼らは我々が述べたもの(定義七)とはまるで異なる他の自由を、〜〜すなわち絶対的意志を、神に帰するのに慣れているからにほかならない。しかし彼らが事態を瞑想し・我々の諸証明の系列をよく熟慮しようとするならば、ついに彼らは、いま神に帰しているような種類の自由を単に愚かしいものとしてだけではなく、さらにまた知識の大きな障害としてまったく放棄するだろうこと、これまた私の疑わないところである。
 ここに定理一七の備考で述べたことを再び繰りかえすことは必要ないであろう。しかし仮に意志が神の本質に属することを認めたとしても、やはり神の完全性からして、物はいかなる他の仕方、他の秩序においても神から創られることができなかったという帰結になることを私は彼らのために改めて示したい。これは我々が次のことを考察するなら容易に明らかになるであろう。それはまず彼ら自身の容認していること、すなわちすべての物がその現に在るところのものであるのは神の決意および意志のみに依存する(そうでなければ神は万物の原因ではなくなるから)ということである。次に神のすべての決意は永遠このかた神自身によって定められた(そうでなければ神に不完全性と不恒常性とを負わせることになるから)ということである。ところで永遠の中にはいつということがなくまた以前ということも以後ということもないのであるから、このことから、すなわち神の完全性だけからして、神は決して他の決意をなしえないしまたなしえなかったこと、あるいは神はその決意の以前には存在しなかったしまたその決意なしには存在しえないことが帰結されるのである。
 ところが彼らは言うであろう、たとえ神が異なった自然を創造したと仮定しても、あるいは神が永遠このかた自然ならびにその秩序に関して異なった決意をしたと仮定しても、そのために神には何の不完全性も生じないであろうと。だがこういうならば彼らは同時に神が〔今なお〕その決意を変更しうることを容認するものである。なぜなら、もし神が自然およびその秩序に関して決意したのとは異なった決意をしたなら、すなわち自然に関して他のことを意志したり概念したりするなら、必然的に神は現に有するのとは異なった知性・現に有するのとは異なった意志をもったであろう。そしてもし神の本質と完全性とを少しも変更することなしに神に他の知性・他の意志を帰しうるとすれば、神が被造物に関するその決意を今なお変更してしかも依然として等しく完全にとどまることができない理由はないからである。被造物およびその秩序に関する神の知性と意志がどんなふうに考えられようとも、それは神の本質および完全性に何の影響も及ぼさないと言うのであるからには。
 さらにまた私の知るすべての哲学者は、神の中には可能的知性は存在せずただ現実的知性のみが存在することを容認する。ところで神の知性と意志は神の本質と区別されないことと、これもまたすべての哲学者の容認するところであるから、このことからまた、もし神が他の現実的知性および他の意志を持つとしたら、神の本質もまた必然的に異なるものであるべきこと、したがって(私が始めから主張したように)もし物が現に在るのと異なったふうに神から産出されたとしたら、神の知性および意志、言いかえれば(人々の容認するように)神の本質は異なったものでなければならぬこと、になる。これは不条理である。
 このように、物はいかなる他の仕方・いかなる他の秩序においても神から産出されえなかったのであり、そしてこの定理の真理は神の最高完全性からの帰結なのであるから、神が自己の知性の中にあるすべてのものを認識したのと同一の完全性をもってそれを創造することを欲しなかったと我々を信じさせるようないかなる根拠ある理由もまったく存在しえないのである。
 しかし彼らは言うであろう、物それ自身の中には完全性も不完全性もなく、物の中にあってそのため物が完全とか不完全とか善とか悪とか呼ばれるところのものは神の意志にのみ依存する、したがって神は、もし欲したなら、現に完全であるものをきわめて不完全なものであるようにすることができたろうし、また反対に(現に物の中にあって不完全性を意味するものをきわめて完全なものであるようにすることが)できたであろうと。しかしこれは、その意志することを必然的に認識する神が、自らの意志によって、物をその認識するのとは異なった仕方で認識するようにすることができると公然と主張するのに異ならない。これは(今しがた示したように)はなはだしい不条理である。ゆえに私は彼らの論証を彼ら自身に投げ返して次のように言うことができる。一切は神の力に依存する、だから物が異なったようにありうるためには神の意志もまた必然的に異なっていなければならぬ、ところが神の意志は異なったようにあることができない(我々が今しがた神の完全性に基づいてきわめて明瞭に示したように)、ゆえに物は異なってあることができないと。
 一切を神の勝手な意志に従属させ、すべては神の裁量に依存すると主張するこの意見は、神がすべてを善の考慮のもとになすと主張する人々の意見ほどは真理から遠ざかっていないと私も認める。なぜなら後者は、神に依存しないある物、神が行動に際して理想と目し・あるいは一定の目的としてそれに向かって努力するようなある物、そうしたある物を神の外に立てているように見えるからである。これはまったく神を運命に従属させるのにほかならぬのであって、我々が示したように万物の本質ならびに存在の第一にして唯一の自由原因たる神についてこれ以上不条理な主張はありえない。ゆえに私はこうした不条理を反駁するのに時間を費やすことはないのである。により)。
  それゆえ(この部第四部の定理九 感情は、その原因が現在我々の前(*面前)にあると表象される場合には、それが我々の前にないと表象される場合よりも強力である。により)必然的な物に対する感情は、その他の事情が等しければ、必然的でない物に対する感情よりも強い。Q・E・D・=此れが証明すべきことであった。



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最終更新日  2022年05月03日 06時10分05秒
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