Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2023年05月24日
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カテゴリ: 霊魂論
アナーキズムから神智学へ *シュタイナーの「本来的自己」
5:アナーキズムと神智学-4「本来的自己」への目覚めと「生まれ変わり」
 シュタイナー世界観の「本来的自己」への目覚めは、宗教的秘密結社の儀礼においても基本的な最終目的を達成するため指標メルクマールである。フリーメイソンのような宗教的秘密結社の参入儀礼は、劣等状態から優越状態へと移行する儀式であり、この移行のために精神的または肉体的試煉を受け、象徴的な死と再生を体験しなければならないとされる。こうして参入者は「生まれ変わり」を体験し、今までとは別の自分「本来的自己」に成る。神智学協会とくにアニー・ベザントによって制度化された神智学協会はフリーメイソン的な儀礼と位階制をもち、また「エソテリック・スクール」と呼ばれる選ばれた者だけが参入することのできる内部の修練機関をもっていた。シュタイナーは、この「エソテリック・スクール」に参入し、アニー・ベザントを教師として仰いで,修練を積んだ。彼の著作においても,エソテリックな環境での師と弟子の関係は重要視されており、師のサポートによる「瞑想」や「集中」の行は、彼の説く「修練」の真髄であった。この秘儀参入による「本来的自己」への目覚めという言辞は、彼にとって超越的自己を確立するために有効な手続きであり,また大学内の学問では踏み込むことのできない卓越した実践領域に属するものでもあった。この秘儀的な「本来的自己」への目覚めと、それによる「生まれ変わり」の言説をば実のところ1900 年以前のシュタイナーも知っていた。何故なら、彼はゲーテのメルヘン解釈において「死して成れ」という言葉を人間の生まれ変わりの言辞として重要視していたからである。1900年以降は、この「死して成れ」という言葉を深く理解することで、「目覚め」や「生まれ変わり」という言に価値を見出したと考えられる。シュタイナーによるゲーテの「ファウスト」解釈の中にも、「高次の生の目覚め」としての「死して成れ」の思想が潜在している。興味深いのは,ニーチェの哲学もそこに結びつけられる。シュタイナーもニーチェも、共に「自由」へと至るためには、先ずもって、自己を外的に規定する世界を喪失する必要性を訴えたのであって、「より深く現実に入り込むためには、世界の喪失が要請されることとなる。「世界の喪失」は自己の世界の獲得のための条件となり,かくして「超人」への道が拓かれる。つまりは、世界の喪失から「本来的自己」への目覚めという「生まれ変わり」の経緯は、シュタイナーによってニーチェの哲学にも結びつけられる。 かくして、シュタイナーの個人主義的アナーキズムとニーチェ理解に通ずる「自己への絶対的信頼」は、この自己を「高次の自己」へと昇華させることによってさらに確固たるものとなる。宗教的儀礼および実践的修練における「生まれ変わり」は、この「高次の自己」へと至る手続きとされた。彼にとっては、この「高次の自己」乃至「本来的自己」の言説を語るための有効な場所が、既存・主流のものに代わるオルタナティブな「学問」のサークルにして秘儀的な宗教結社という実践の場としての神智学協会であったのだ。



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最終更新日  2023年05月24日 06時55分44秒
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