Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2023年12月22日
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カテゴリ: 霊魂論
内的霊的衝動の写しとしての美術史
第1講 ドルナハ  1916年10月8日-XLVIII
第48  ジオット派ルカ・シニョレッリ-アンチキリストの説教(伊:Predica dell'Anticristo)
記:オルヴィエートのドゥオーモ(大聖堂)右翼にある礼拝堂は一面のフレスコ画で飾られています。当初には、このフレスコを手掛けたのはベアト・アンジェルコ(Beato Angelico)でしたが、天井の一部を描きかけのまま突如オルヴィエートを去り、暫(しばら)く放置されていたものをルカ・シニョレッリ(Luca Signorelli)が引継ぎ完成させました。この礼拝堂に入って左手壁面上部に描かれているのが「アンチキリストの説教/Predica dell’Anticristo」。このような偽キリストのテーマが大きく扱われることも珍しいのですが、実際この作品は主要モニュメントで偽キリストのエピソードを描く唯一のものとも云われています。画面の右手前、台座に立って群集に説教をしている男性がアンチキリスト。キリストに姿かたちがよく似ていますが、耳打ちする悪魔によって操られている「偽キリスト」です。悪魔が説教の言葉を伝え、彼の動きをマリオネットのように操り民衆の心を魅了するのです。偽キリストが纏う桃色のマントから覗く左手は悪魔の腕と一体となって描かれています。この偽キリストを囲んで既に民衆が集まり彼の足元には貢物が積み上げられ始めていることから彼の説教で心を奪われた人がいることも窺い知れます。しかし、もちろんこうした民衆は悪魔の囁きで暗示をかけられているわけですから集まってい人々はどこか傲慢な雰囲気で描かれ、画面左には大量殺戮を行う男や、老人から報酬を受け取る娼婦なども描かれ、偽キリストの説教によって民衆の間でモラルの低下をひき起こしていることがわかります。この群衆の中には当時の実在人物も描かれているとされ、ヴァザーリによれば、左の群集の左端に立ち赤い帽子を被った金髪髭の男はチェーザレ・ボルジア(Cesare Borgia)、同じ群集の右端にいる黄色い服を纏った禿の肥満男がエネア・シルヴィオ・ピッコローミニ(Enea Silvio Piccolomini)です。背景画面には右側に古典様式の建物が描かれ、中央に奇跡のシーン、左側に偽キリスト撃退のシーンが描かれます。建物はエルサレムのソロモン王の神殿を描いたもので、つまりは教会そのものの象徴となっています。中央の建物を4つのプロナオスが囲み、全体ではギリシャ十字を象(かたど)っています。二重の天蓋の一部が
画面の外にはみ出すような大きさで描かれています。その神殿の前では偽キリストがエリア(Elia)とエノッチ(Enoch)の処刑宣告を行っています。中央では人々を信じさせるために偽キリストが奇跡を行って見せたりもしています。その右下では、キリスト教信者が微力ながら抵抗の様子をみせ、祈りをささげる姿が描かれています。そして右端では天空から現れる大天使ミケーレ(Arcangelo Michele)が偽キリストとその追従者たちを罰しています。前面の最左側に黒い服を纏う二人の男性が描かれていますが、手前の長髪がシニョレッリ本人、その奥がベアト・アンジェリコの肖像です。この作品が描かれたころのフィレンツェではサヴォナローラ(Savonarola)が神権政治による宗教改革を行おうとしており、メディチ家寄りであり、フィレンツェの民主政治が覆されるのをよく思っていなかったシニョレッリは、この作品を描くことでサヴォナローラを偽キリストに投影しているとも云われます。

第48:ジオット派ルカ・シニョレッリ-アンチキリストの説教



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最終更新日  2023年12月22日 06時12分32秒
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