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米TVドラマの新シリーズが続々とDVD&Blu-ray発売。今回はその中からメーカーさん一押しの『THE MENTALIST/メンタリスト』『ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間』、そして『ドールハウス』『FRINGE/フリンジ』セカンド・シーズンをご紹介します。 まずは『THE MENTALIST/メンタリスト』から。 2008年よりCBSで放送開始し、2008年、2009年共に全米視聴率トップ10にランクインした、新シリーズの中で最も注目されている人気作品です。 主人公のパトリック・ジェーン(サイモン・ベイカー)は、卓越した観察力、洞察力、推理力を持つ犯罪コンサルタントとしてCBI(カリフォルニア州捜査局)に協力しています。彼はCBIチームのリーダー、テレサ・リズボン(ロビン・ターニー)、硬派で落ち着いたアジア系男性のキンブル、英国ウェールズ出身で大柄、大食漢のウェイン、新米のアマンダの4人と共に事件を解決していきます。 人気の秘密は、主演のサイモン・ベイカーのイケメンぶりと、彼の心理学を利用したシャーロック・ホームズ並みの推理力にあるようです。 物語の推進力になっているのはパトリックの宿敵“レッド・ジョン”の存在。“レッド・ジョン”とはある連続殺人鬼の通称で、犯行現場に被害者の血で描いたスマイルマークを残すのが特徴。パトリックは、かつてはTVにも出演する人気霊能力者として詐欺まがいの事をしていましたが、“レッド・ジョン”に妻子を惨殺され、その能力を犯罪捜査に向けるようになります。つまり、彼の本当の目的は、“レッド・ジョン”の逮捕なのです。 製作総指揮を務めるブルーノ・へラーは英国出身で、TVドラマ『ローマ』を成功させた後、シャーロック・ホームズのような探偵の話をしたいと本作を手掛けたそうです。そのため、パトリックは、三つ揃いスーツが基本でスマートな皮肉屋といった英国風のキャラ。コンサルタントなので武器は使えず、犯人逮捕は出来ません。堅物で根拠のない事は認めないCBIのテレサとは、いつも衝突しています。 主演のサイモン・ベイカーは、『プラダを着た悪魔』(2006年)のプレイボーイ役や、TVドラマ『堕ちた弁護士 ニック・フォーリン』を演じアメリカでは知られた俳優。サイモンが演じることで、皮肉を言っても嫌味になりすぎず、好感が持てるキャラになっていると思います。 1話完結の刑事ドラマを展開しながら、少しずつ“レッド・ジョン”逮捕へと近づいていく心理サスペンス。『CSI:科学捜査班』シリーズなど、アメリカでも根強く人気の犯罪捜査ドラマですが、パトリックという異色の犯罪コンサルタントを主人公に据えたことで、英国流のシニカルさが加わった作品です。毎話の事件も重すぎず、パトリックの鮮やかな推理を楽しめるのも魅力です。 次は、『ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間』。 『24』のプロデューサーが手掛ける心理分析サスペンスです。 主人公のカル・ライトマン博士(ティム・ロス)は、わずか0.2秒の“微表情”や仕草からウソを見抜く事が出来る天才科学者。ライトマン・グループを設立し研究を続けながら、FBIや国防総省からの依頼による様々な事件を解決していきます。 今回、ご紹介する4作品の中で最も面白いのが本作。“微表情学”とは聞き慣れない学問ですが、実在する科学者をモデルにしているそうで、その実力はウソ発見器よりも正確とのこと。放送後は、その作品レベルの高さに始めは戸惑った視聴者も徐々にはまり、高視聴率を獲得。 本作の魅力は、何といっても、毎話、紹介される“微表情学”の面白さです。例えば、自信が無い事を話していると、無意識の内に話しながら後退していたり、口では肯定していても、顔が一瞬、引きつって嫌悪感を示したり…と、我々の普段の生活の中にも覚えのある行動が、“微表情学”として判り易く取り上げられています。ですから、視聴者の誰もが身近な問題として、「あるある」と納得しながら観る事が出来るのです。 そして、もうひとつの魅力はカル・ライトマン博士を演じるティム・ロスの個性的なキャラクターにあります。「言葉は信用していない」と言い切るライトマン博士は、部下に厳しく、捜査対象者ばかりか、捜査のためには味方をも巧みに騙す嫌味な人間。まさに変人キャラですが、ティム・ロスは、そんな中にも一風変わった正義感と捜査への情熱を持つライトマン博士の人間性を表現し、視聴者を魅了します。『ロブ・ロイ/ロマンに生きた男』(1995年)の悪役でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、『レザボアドッグス』(1991年)といったタランティーノ作品にも出演している性格俳優なだけに、彼の実力を出すにはうってつけの役柄と言えるのではないでしょうか。 何話か観ていると誰もが感じると思うのですが、彼らは、人の本音が一瞬にしてわかってしまう訳ですから、実際にはとても暮らしずらいだろうな、と想像してしまいます。そのせいか、ライトマン博士の仲間は裏表のない素直な人間ばかりです。 ライトマン博士のパートナー、ジリアン・フォスター博士は部下の信頼も厚く誠実。部下で自信家のイーライは、思った事をすべて口に出してしまうバカ正直者。そして、部下トーレスは真面目で正義感の強い女性。彼女はライトマン博士自身が発掘した、ウソを見抜く天性の才能を持っていて、努力と研究を積み重ねてきた博士とは対照的です。 さらに本作では、出演者たちの演技力も重要となります。たとえ、端役の目撃証人でも、必要な“微表情”を自然に、正確に演じなくてはならない訳ですから。俳優の層が厚いアメリカでないと実現できない企画かもしれませんね。とにかく、数話観たら誰もがはまる事、請け合いです。 3つ目は、『LOST』のクリエイター、J.J.エイブラムスが放つSFサスペンス『FRINGE/フリンジ』のセカンド・シーズン。『X-ファイル』や『スタートレック』などのSF好きなら、絶対にはまるシリーズです。現在放映中のTVシリーズの中で、私が最も楽しんで観ている作品です。作品紹介は、以前にも熱く語りましたので、そちらをご参照ください。 ファースト・シーズンでは、FBI捜査官のオリビア・ダナムが別の空間(並行世界)へ行って謎の人物と出会い、異空間や時空を超えた巨大な陰謀を予感させて終了しました。待ちに待ったセカンド・シーズンだったのですが…。これが、なかなかファースト・シーズンと関わるエピソードが出てこず、始めはヤキモキさせられますが、少しづつ、事件が明らかにされていきますので、ここは、気長に楽しんでください。 久々に観ていてやっぱり楽しいのが、天才科学者ウォルターと息子ピーター、ダナム捜査官との絡みです。特に『スタートレック』のカーク、スポック、マッコイを彷彿とさせる3人の関係には笑ってしまいます。ウォルターは、カーク同様、ピーターとオリビアがいなくては駄目なんです。3人のキャラクターの相性が良いので、相乗効果で、まったりと楽しめます。これぞ、連続ドラマの楽しみ方。観れば観るほど、3人が好きになってしまいます。 最後は、エリザ・ドゥシュク主演のSFアクション『ドールハウス』のセカンド・シーズン。 “ドールハウス”とは、全ての記憶を消し去った人間に、新たな人格をインストールした“人形"を派遣する世界的闇組織のこと。エコー(エリザ・ドゥシュク)は、クライアントの要望に応えた人格をインストールされ、恋人、妻、娼婦など、あらゆる人格に成りきる優秀な“人形”だった。だが、時折、奥底に眠る記憶が呼び起こされていき、エコーは次第に陰謀を暴いていくことになる…。 映画『チアーズ!』(2000年)やTV『バフィー ~恋する十字架』に出演し、TV『トゥルー・コーロング』に主演したエリザ・ドゥシュクのコスプレが毎話、華やか。ファッショナブルな女性向けの作品に仕上がっています。ファースト・シーズンは、特にコスプレ中心でしたが、セカンド・シーズンでは“ドールハウス”を飛び出し、陰謀との戦いに挑んでいきます。コスプレのアイデアは、ジェニファー・ガーナー主演のスパイもの『エイリアス』に近く、アクションにも力が入っています。 各作品のDVD&Blu-ray発売情報です。1.『THE MENTALIST/メンタリスト』DVDは、ファースト・シーズンの「VOL.1」と「VOL.1」が収納可能な「コレクターズボックス1」が発売中。12/22には、ファースト・シーズンの「コレクターズボックス2」が発売予定。現在、予約受付中です。Blu-rayは、ファースト・シーズンの「VOL.1」と「VOL.1」が収納可能な「コレクターズボックス1」が発売中。「VOL.1」と「ボックス1」とで、ファースト・シーズンの24話すべてが収録されています。2.『ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間』DVDのみ発売。ファースト・シーズンを収録した「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間 DVDコレクターズBOX」が発売中。2011/3/18に「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間 シーズン2 DVDコレクターズBOX」が発売予定。現在、予約受付中です。3.『FRINGE/フリンジ』DVDは、セカンド・シーズンの「VOL.1」と「VOL.1」が収納可能な「FRINGE フリンジ《セカンド・シーズン》1コレクターズボックス」と、「コレクターズボックス2」が発売中。Blu-rayは、セカンド・シーズンの「VOL.1」と「VOL.1」が収納可能な「コレクターズボックス1」が発売中。「VOL.1」と「ボックス1」とで、セカンド・シーズンの24話すべてが収録されています。4.『ドールハウス』DVDのみ発売。ファースト・シーズンを収録した「ドールハウス DVDコレクターズBOX」、セカンド・シーズンを収録した「ドールハウス シーズン2 DVDコレクターズBOX」共に発売中です。 次回は、11/24にDVD&Blu-rayが発売されたアンジェリーナ・ジョリー主演スパイ・アクション『ソルト』(2010年)をご紹介します。
2010年11月25日
アーノルド・シュワルツェネッガー主演『プレデター』(1987年)から23年。遂に再始動したシリーズ第3弾『プレデターズ』(2010年)が11/17にDVD&Blu-ray発売。 何者かに拉致された傭兵ロイス(エイドリアン・ブロディ)は気が付くと見知らぬジャングルにいた。辺りには同じように集められた人間の男女がいたが、彼らは兵士、CIAのスナイパー、殺人囚、ヤクザの用心棒など、まさに最強の殺し屋軍団だった。そこでロイスたちはプレデターの獲物としてある惑星に集められた事を知る。ロイスは生きて地球に帰るため、殺人集団を率いて、新種のプレデターたちとの戦いに挑むのだった…。 エイリアンと並び人気の高いSFキャラクター、プレデターですが、正統な映画化はシュワルツェネッガー主演のオリジナルと、ダニー・グローバー主演の『プレデター2』(1990年)の2作のみ。その後、何度も3作目製作の話はあったものの、シュワルツェネッガーの州知事選出馬などもあって、実現しませんでした。そこを粘って遂に新生『プレデター』シリーズを製作したのは、長年、この機会を待っていた『プラネット・テラー in グラインドハウス』(2007年)のロバート・ロドリゲス。今回のストーリーは、ロドリゲスがシュワルツェネッガーとダニー・グローバーとの共演を想定して書いた脚本を元にしています。「シュワルツェネッガーに勝てない分、出演者やプレデターのキャラクターを魅力的に描いた」とは、ロドリゲス談。殺し屋集団対プレデターがどんな死闘を繰り広げるのかも今作の見所です。 プレデターの特徴は、人間より科学技術に優れ、強靭な肉体を持ちながら、原始的な狩猟生活を送る好戦的なヒューマノイドであるということ。狩猟スタイルは、光学迷彩装置で姿を隠し、相手の隙を窺うこと。今回は地球人を捕えて、狩猟用惑星に送り込み、彼らを狩ることによってその戦闘方法を学ぼうとしています。 本作では製作のロドリゲスが視覚効果監修も務めており、プレデターそれぞれに個性を持たせ、各キャラクターを反映したデザインとなっています。造形的にも人気が高いだけに、かなりのこだわりが感じられます。 まず、ジャケットなどのメイン・ヴィジュアルになっているのは、ファルコンを操縦するファルコナー・プレデター、そしてプレデター種族のリーダーである大型のバーサーカー・プレデター、猟犬を操るドッグ・ハンドラー・プレデター、従来と同じクラシックなどが登場。さらに、猟犬プレデターなどのクリーチャーも登場します。 劇場では、細部の特徴までは確認出来なかった方も多いと思いますので、DVD&Blu-rayでじっくりと楽しみたいですね。 対する人間側の殺し屋集団には、『戦場のピアニスト』(2002年)でオスカーを獲ったエイドリアン・ブロディ以下、ロドリゲス作品常連のダニー・トレホ(従兄弟らしいですね)、米TVドラマ『70’sショー』、『スパイダーマン3』のヴェノム役トファー・グレイス、『マトリックス』(1999年)のローレンス・フィッシュバーン、『シティ・オブ・ゴッド』(2002年)のアリシー・ブラガなど知った顔がズラリ。お互いに信頼できない殺し屋同士ながら、生き残るためにチームを組んだ彼らの葛藤が、それぞれの持ち味を活かしたキャラクター設定で描かれています。 その中で、日本人としては気になるのが、ヤクザの用心棒、ハンゾーを演じるルーイ・オザワ・チャンチェン。ジャングルなのに裸足で通し、後半には、黒沢明監督の『姿三四郎』(1943年)の決闘シーンを連想させるファルコナー・プレデターとの一騎打ちが用意されています。武士道とヤクザの任侠道がごちゃまぜなキャラ設定は納得できませんが、これが外国人から見た、最強の日本人のイメージなんでしょうね。登場人物の中でも最もクールなキャラとして描かれています。 監督は、『アーマード 武装地帯』(2009年)のニムロッド・アーントル。アメリカ生まれ、ハンガリー育ちの彼は、故郷のハンガリーで映画を学び、CM、PV、映画を製作。カンヌ国際映画祭ジュネス賞受賞を経てハリウッドへ進出。『アーマード 武装地帯』は、最新ハイテク装備の装甲現金輸送車で大金を運ぶプロ集団を主人公にしたクライム・サスペンス。こちらにも、マット・ディロン、ジャン・レノ、ローレンス・フィッシュバーンといったお馴染みの俳優が出演しています。本作と見比べてみると、ロドリゲスがアーントル監督に目を付けた理由がわかります。どちらも登場人物の紹介がスムーズで、チームものの物語の転がし方を心得ています。 シュワルツェネッガー主演のオリジナル版からそうなのですが、このシリーズの魅力は、プレデターが出て来るまでの人間同士の銃撃アクションと、プレデターという得体の知れない存在への恐怖感を煽るサスペンスのブレンド。プレデターのキャラは描きつくされていますから、プレデターが登場するまでのストーリーをいかに面白く見せるかが重要です。そういう意味では、なかなか上出来の作品だと思います。 そして、導入とつかみも抜群です。エイドリアン・ブロディが密林に落下した途端にバーンと出て来るタイトル文字には大爆笑。このつかみと、登場人物たちのキャラ説明のうまさで、すんなりと作品世界に入っていけるのです。 プレデターは、『エイリアンVSプレデター』(2004年)、『AVP2』(2007年)という形でも描かれていますが、本作では、新たに人間対プレデターの戦いが観られます。シリーズ化が予想されるエンディングも気になりますね。 11/17発売のDVD&Blu-rayは、楽天オリジナル商品を含め全3種。予約先着特典として、日本未発売の英語版コミック付きです。12/23にはDVD1枚組の通常版も発売されます。また、11/17『プレデターズ』発売にあわせて『エイリアン』シリーズBlu-rayも同時発売。【11/17発売『プレデターズ』】1.【楽天オリジナル商品】プレデターズ トリロジー ブルーレイBOX フェイスマスク・ケース付〔初回生産限定〕 コミック付き(3枚組):『プレデター』『プレデター2』『プレデターズ』ブルーレイのセットに、フェイスマスク・ケースが付いた楽天オリジナル商品2.プレデターズ ブルーレイ&DVDセット【Blu-ray Disc Video】 【初回生産限定】 コミック付き(2枚組):『プレデターズ』ブルーレイとDVDのセット3.プレデターズ トリロジー ブルーレイBOX【Blu-ray Disc Video】 【初回生産限定】 コミック付き(3枚組):『プレデター』『プレデター2』『プレデターズ』ブルーレイのセット【12/23発売『プレデターズ』】4.プレデターズDVD(1枚組)【11/17発売『エイリアン』】1.エイリアン・アンソロジー:ブルーレイBOX【Blu-ray Disc Video】:『エイリアン』全4作+特典ディスク2枚(全6枚組)/“マザー”モード・ガイドブック(リドリー・スコット監督のメッセージ付)/美麗アウターケース/クリアブルートレイケース/月刊HiVi監修「プレミアム・ブルーレイの楽しみ方」Sci-Fi編(12ページブックレット)2.エイリアン・アンソロジー:ブルーレイ・コレクターズBOX【Blu-ray Disc Video】 【初回生産限定】:初回出荷限定3500セット完全数量限定生産。『エイリアン』全4作+特典ディスク2枚(全6枚組)/エイリアン・エッグ:サイドショウ社製フィギュア(SIDESHOW COLLECTIBLES(r)/クリアトレイケース/“マザー”モード・ガイドブック(リドリー・スコット監督のメッセージ付)/月刊HiVi監修「プレミアム・ブルーレイの楽しみ方」Sci-Fi編(12ページブックレット)/ 次回は、アメリカTVドラマから新シリーズ『ライ・トゥ・ミー』『メンタリスト』、そして『ドールハウス』『フリンジ』等をご紹介します。
2010年11月16日
ロバート・ダウニー・Jrがパワードスーツを装着して派手に登場する『アイアンマン2』のCM、皆さん覚えていますよね。今回は、10/22にDVD&Blu-rayが発売されたマーヴェル・コミックの実写映画化『アイアンマン2』(2010年)をご紹介します。 自ら“アイアンマン”であると告白したトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、世界平和のために日々貢献していたが、彼の身体はアイアンマン・スーツの動力源アーク・リアクターの副作用に蝕まれていた。遂に瀕死の状態に陥った彼は、秘書ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)に社長の座を譲ってしまう。一方、トニーに恨みのある科学者イワン・ヴァンコ(ミッキー・ローク)が武器商人ジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル)と組んで米政府との軍事提携を結び、新兵器「ウォーマシン」と無人アーマー「ドローン」を開発。だが、ヴァンコの策略により突如、ニセ・アイアンマン集団が暴れ出す。トニーは彼らを阻止できるのか…? シリーズ1作目の『アイアンマン』(2008年)公開時はまだまだ日本での知名度が低かったロバート・ダウニー・Jrですが、ジュード・ロウと共演した『シャーロック・ホームズ』(2009年)の公開もあり、最近では日本でもかなり認知度が上がってきました。ジョニー・デップにしか興味が無かった女性陣にも、ちょっと気になる存在になりつつあります。だって、それはもう、今のダウニー・Jrはキラキラ輝いていますからね。 ダウニー・Jrについては、『アイアンマン』(2008年)のDVD発売時の【アメコミ映画化作品のススメ!】や『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008年)でもご紹介していますので、こちらもご参照ください。 さて、『アイアンマン』と同様、2作目もダウニー・Jrの魅力が満載です。製作総指揮には妻のスーザン・ダウニーが名を連ね、脚本にはダウニー・Jr自身の推薦により『トロピック・サンダー』のジャスティン・セローを起用。さながら『アイアンマン2』ならぬ『ロバート・ダウニー・Jr2』と言える作品となっています。これは、『トロピック・サンダー』と同じ手法。演じているトニー・スタークのキャラクターに、自分自身の自伝的要素を取り入れているのです。ですから、ダウニー・Jrの事をよく知らないで観た方は、中盤で何でこんなにヘタレたシーンが長いのか?と不思議に思った方もいるかもしれません。 ダウニー・Jrを知らない方のために、少しご紹介しておきましょう。彼は、『チャーリー』(1992年)のチャップリンを見事に形態模写した演技でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、以前は役に成りきるメソッド・アクターとして活躍していました。でも、役にのめり込むあまり、酒やドラッグに溺れ、再起不能かと思われた時期が何度もありました。例えば最初のドラッグ事件で謹慎処分。復帰後に出演したTVドラマ『アリーmyラブ』でエミー賞候補になるほどの評価を受け、順風満帆かと思われましたが、プレッシャーからか、またまたドラッグに手を出して逮捕。番組も降ろされ、俳優人生ももはやこれまでかと思われたのでした。しかし妙に人に好かれるらしく、業界の友人の有形無形の支援を受け、前作『アイアンマン』で奇跡の復活を遂げたのです。現在は、メソッド・アクター時代の自分をパロディ化したような役柄を演じた『トロピック・サンダー』でアカデミー賞候補になり、余裕のある演技が出来るスター俳優として活躍の場を広げています。そんな波乱万丈の半生を送るダウニー・Jrを知っている人にとっては、現在の活躍ぶりは本当に嬉しい事なのです。 でも、そんなダウニー・Jrの過去を知らずとも、全体的には1作目よりも、さらにパワーアップし、誰もが楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっています。 パワーアップと言えば、共演者の豪華さにも目を見張ります。一押しは、ブラック・ウィドーを演じるスカーレット・ヨハンソン。前作から登場のグウィネス・パルトロウの存在もかすむセクシーさと存在感を披露。本作の人気を受けて、ブラック・ウィドーを主演にしたスピンオフ企画も進行中です。さらに、トニーの味方、ローディを演じるドン・チードルや、悪役のサム・ロックウェル。そして『エクスペンダブルズ』(2010年)でも渋い役どころで好演している『レスラー』のミッキー・ローク。どう見ても肉体派の彼が、天才科学者役としてPCをパチパチ操作しているミスマッチ度には笑ってしまいます。そして前作に続きサミュエル・L・ジャクソンも登場。ポール・ベタニーは声の出演。 クライマックスには量産型ドローンが暴れ出し、パワードスーツを装着したトニー・スタークとウォーマシンを装着したままヴァンコに操られる、ドン・チードルとの戦いが繰り広げられます。その様子はダブル・ライダー対ニセライダー。仮面ライダー世代はちょっぴり胸が熱くなります。(クライマックスの舞台が鳥居のある日本庭園っていうのはとっても意味深…)ガンダムのモビルスーツとは違って等身大ではあるものの、大量のロボットが戦う様は壮観で心躍ってしまいます。 これはネタバレになりますが、ラストに意味ありげに紹介される盾は、同じマーヴェル・シリーズで2011年公開予定の『キャプテン・アメリカ』の小道具なんです。将来的には、アイアンマンとキャプテン・アメリカとハルクなど、マーヴェル・ヒーローたちが一堂に会する作品が製作されるそうですよ。 数あるアメコミ作品の中でもおススメの『アイアンマン』シリーズ。ぜひ、ご覧ください。 次回は、11/17にDVD&Blu-ray発売予定の『プレデターズ』『エイリアン』をご紹介します。
2010年11月13日
11/4にDVD&Blu-rayが発売されるフランス発音楽映画『オーケストラ!』(2009年)は、『イングロリアス・バスターズ』(2009年)の女劇場主を演じたメラニー・ロランが出演しているクラシック音楽ファン必見の感動作です。 ロシアのボリショイ交響楽団の清掃係アンドレイ(アレクセイ・グシュコフ)は、30年前のある事件で指揮者の座を奪われるまでは、楽団の天才マエストロとして活躍していた。ある日、パリのシャトレ劇場から届いた出演依頼のFAXを偶然見つけた彼は、偽の楽団を率いて一夜限りのパリ公演をしようと思いつく。演奏するのは、チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」、そしてソリストはパリで華々しく活躍する若手アンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)。30年前の事件とは?ソリスト、ジャケとの関係は? モーツァルト、チャイコフスキー、バッハ、ロッシーニ、シューマン…。数々のクラシックの名曲に彩られながら、元天才指揮者と楽団員たちが巻き起こす一夜の奇跡を描いた極上のエンタテインメントの登場です。 本作のヴァイオリンを指導するのは、フランス国立管弦楽団の第一奏者サラ・ネムタヌ。音楽監督には、バレエ音楽の作曲を手掛け、『ぜんぶ、フィデルのせい』(2006年)や『サガン -悲しみよ こんにちは-』(2008年)の音楽監督も務めたアルマン・アマール。さらに、パリ・シャトレ座全面協力の元、撮影が行われました。 でも、この作品、ありふれた音楽映画というだけではないのです。物語の背景には、ソ連のプレジネフ政権下、ユダヤ人音楽家たちが排斥され、彼らを擁護したロシア人も解雇されたという史実が下敷きになっているのです。そうした背景をふまえて、作品を観ていただくと、より一層、クライマックスの感動が高まると思います。 本作の脚本・監督を手掛けたのは、1958年ルーマニア、ブカレスト生まれのラデュ・ミヘイレアニュ。1980年にチャウセスク政権を逃れてフランスに移住し映画を学びました。長編デビュー作は、チャウセスク政権下を生き延びるために秘密警察に密告した男を描く『Trahir(裏切り)』(1993年)。この作品はモントリオール映画祭グランプリを受賞。以後、フランスを拠点に第二次大戦下、ユダヤ人を強制収容所に送る列車を偽装し村ごと逃げようとする人々を描いた『Train de vie(いのちの列車)』(1998年)、スーダン難民キャンプから逃れるため、両親と別れ、ユダヤ人のふりをしてひとりイスラエルに渡った少年を描いた『約束の旅路』(2005年)と、政治や戦争によって翻弄される人々を元気づける作品を、一貫して描き続けています。『約束の旅路』は、ベルリン映画祭パノラマ部門審査員特別賞、観客賞を受賞し、日本でもソフト化されていますので、あわせてご覧ください。 ただし、作品自体は決して重苦しい社会派作品ではなく、楽しく笑えるドタバタ・コメディのノリで描かれています。元天才指揮者アンドレイが元楽団員たちを集めると、彼らはタクシー運転手や蚤の市業者など様々な職業についていて、中には楽器を売ってしまった人や、30年間、全く演奏していないと言う人も。そんな彼らを説得し、パスポートを偽造したり、楽器を調達したりと、パリに行くまでに幾多の困難を乗り越えなくてはなりません。 ミヘイレアニュ監督は、そんな彼らのドタバタぶりを通して、逆境を笑い飛ばし、夢を失わずに勇気と情熱を持って力強く生きよう!という強烈なメッセージを私たちに伝えているのです。 彼らはパリに着いてからもリハーサルに集まらず、遂に演奏当日を迎えてしまいます。本来なら、練習もリハーサルも無しの本番などありえない展開ですが、そこは、映画マジック。クライマックスの感動に免じて許せてしまいます。 王道で気持ち良く泣ける感動の音楽映画。ぜひ、ご覧ください。 次回は、10/22にDVDが発売された『アイアンマン2』(2010年)をご紹介します。
2010年11月03日
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