小玉智子のお買い物ブログ

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2010年01月24日
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 劇場大ヒット公開中の『アバター』。1/17に発表されたアカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞で、作品賞、監督賞を受賞しました!
 監督のジェームズ・キャメロンは、ご存じ『タイタニック』(1997年)や、『ターミネーター』シリーズ、『アビス』(1989年)、『エイリアン2』(1991年)を手掛けたカナダ出身のヒットメーカーです。
 なぜ今、『アバター:3D』なのか?今回は、キャメロン関連作と共に、その魅力をご紹介します。

 『アバター:3D』の魅力は、一言でいえば、“自然と人間が共存する世界の喜びを体感出来ること”です。

 舞台は地球から遥か彼方の衛星“パンドラ”。元軍人で戦闘中の負傷により車いすの生活を送っているジェイクは、優秀な科学者である兄の代わりにパンドラの種族ナヴィの身体を与えられます。人間社会では不自由な生活のジェイクは、ナヴィとなって、自由に走り飛び回る喜び、木々や動物と会話することが出来る幸せを感じます。
 CGIを初めとするVFX技術を知り尽くしたキャメロン監督は、今度は新たな3D技術を駆使して、人間以上の身体能力を持ったナヴィに成りきって自然の中を走り、空を飛び、動物たちと会話をする、そんな夢のような世界をリアル体験させてくれるのです。

 過去の3D作品は、飛び出す映像によって観客を驚かすアトラクション的な作品ばかり。おまけに観る時にかける赤と青のフィルムがついたメガネも難がありました。眼が疲れて長時間の鑑賞には耐えられないのです。しかし、ここ数年、3D技術は格段にレベルアップしています。『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』(2003年)の頃は従来の赤青メガネだったものが、『ベオウルフ/呪われし勇者』(2007年)あたりから偏光ゴーグルに変わり、眼の負担が大幅に軽減。作品毎に技術力が上がってきて、『センター・オブ・ジ・アース』(2008年)では飛び出すだけでなく、奥行ある映像世界が体験出来るようになったのです。そんな日進月歩の3D技術は製作費2億5000万ドルといわれる『アバター』で花開いたのです。まさに世界最高水準の映像美をみせてくれていると実感します。
 お近くに3D上映の映画館がある方は、迷わず、3Dでの鑑賞を、ぜひともおススメします。

 また、3D映像でなくとも、『アバター』の舞台であるパンドラの情景、奇妙な動植物たちなどの生態系は、想像を絶する美しさです。天空に浮かぶ島、発光する植物、生き物のように飛び交う胞子。ナヴィは動物たちと触手のようなものでお互いに繋がり合い、深く共鳴し合うことが出来ます。そうしたパンドラのファンタジックな映像は、まさに“生き物たちの楽園”といえるでしょう。

 さて、次は映像から離れて脚本についてです。『アバター』のテーマのひとつは“自然と人間の共存”。日本人が好むジブリ・テイストの作品となっています。

 『もののけ姫』(1997年)や『風の谷のナウシカ』(1984年)のように、自然を守るため、選ばれし者が、選ばれし者だけに許される生物に乗り、戦いに勝ち、英雄となる。つまりは、古くから伝わる英雄伝説にのっとったストーリーが下敷きになっています。パンドラの原住民は、ナヴィと呼ばれるヒューマノイド。彼らの故郷である美しい星パンドラに人間(地球人)が侵攻し、資源を得るために戦いを仕掛けて来ます。主人公ジェイクは、ナヴィの身体を得て、彼らの自然と共存する生き方を体験することにより、彼らに深く共感し、人間から彼らを守ろうとします。ナヴィにとっての人間は、パンドラを侵略しようとやって来たエイリアンに他ならないのです。
 そう考えると、キャメロンが手掛けた『エイリアン2』と『アバター』は驚くほどよく似た話です。まるでコインの裏表のようです。エイリアン側からみれば、星を植民地化しようとする人間は、ナヴィから見るのと同じ、侵略者なのです。
 また、ナヴィの生活様式はネイティブ・アメリカンに似ていて、戦闘時には、顔に彼らのようなペイントを施します。ケヴィン・コスナー主演の『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990年)やディズニーアニメ『ポカホンタス』(1995年)でも、この手の素材は扱っています。
 そして、『タイタニック』のレオ様とケイトのように、『アバター』でも種族を越えた壮大なラブ・ストーリーが展開されます。

 こうしてみると、脚本自体には新鮮味がなく、悪い人間を倒して平和を手にする、という勧善懲悪のお定まりB級作品と言われても仕方がありません。
 ただ、この判り易さこそが、『アバター』の大ヒットの要因であるのは確かです。『タイタニック』も、お金持ちの婚約者は悪い人で、貧乏人の主人公はピュアな心を持った良い人、という白黒がはっきりとした単純なストーリーでした。キャメロンは、誰にでも判るということを第一に考えて、脚本を構築したのだと思います。3D映像をみせる作品であるからこそ、誰もが好きで、かつ理解し易いSFと英雄伝説とラブ・ストーリーを掛け合わせた『アバター』を製作したのでしょう。通常、映像作家なら、誰もが個性的な捻りのある脚本を考えるところですが、あえて、しかも堂々と、王道のストロング・ストーリーを展開する。それこそが、キャメロンのすごいところだと思います。

 ジャームズ・キャメロンの実績は、数字に如術に表れています。『タイタニック』(1997年)は、世界興業収入が約18億ドルで歴代1位を記録。当時、タイタニック号沈没を巡る歴史ロマンは、老若男女の支持を受け、劇場前には長蛇の列が出来、リピーターも続出しました。その、『タイタニック』の大記録を越える勢いで『アバター』は約16億ドル(1460億円)を記録。すでに歴代1位、2位の座をキャメロンが占めているのです。
(※追記:1/26現在、18億5500万ドル超で『アバター』が遂に世界歴代1位になりました!)

 では、日本ではどうなのか?『のだめカンタービレ 最終楽章』を抑えて、4週連続1位を記録。日本の興行収入は4週で60億円。100億円越えは見えてきました。洋画離れが進む日本で、久々の洋画メガヒット作。さすがはキャメロンです。でも、例えば日本の興業収益歴代1位の『千と千尋の神隠し』は300億円。2位の『タイタニック』は270億円。3D上映の300円プラスの鑑賞料金を考えても、日本の歴代記録には届きそうにありません。

 勿論、『タイタニック』と比べると、SFだし3D作品なので、老若男女とはいかない素材かもしれませんが、3D映画がどんなものか体験するなら、断然『アバター』がおススメです。この機会に『アバター』をご覧いただき、新しい映画の楽しみ方、これからの映画の可能性を実感していただきたいです。
 余談ですが、3Dをより実感するには前の方の席がおススメです。でも、字幕版の3Dを観る方は、字幕が見ずらいので中ほどの席でどうぞ。逆に、3Dが苦手と思う方は後方の席で。同じ映画館でも場所によって、感覚が違うのも3Dならでは。

 それから、『アバター3D』は、ぜひ、どこかのシネコンでロングラン上映をしてもらいたいですね。例えDVDを買ったとしても、劇場で3Dを観たくなると思うんですよね…。

 次回は、昨年、紹介しきれなかったDVDからアメリカン・コミックの映画化『ウォッチメン』『ザ・スピリット』をご紹介します。





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最終更新日  2010年01月26日 19時45分43秒


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