『猿の惑星』(1968年)は、フランスの作家ピエール・ブールの小説を映画化した歴史に残るSF映画の傑作です。1973年までに映画シリーズ全5作が製作され、映画終了後の1974年にTVシリーズ、続いてアニメ版、さらに日本では円谷プロの『猿の軍団』なるTVドラマまで製作されるなど、その人気は絶大で、これまでに多くのノベライズ、フィギュア、グッズなどが販売されています。 2001年には『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)のティム・バートン監督が、『PLANET OF THE APES 猿の惑星』として再映画化。ラストシーンをより原作に近い形にしています。
続くティム・バートン版の『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001年)の見どころは、アカデミー賞メイクアップ賞をなんと7回も受賞している特殊メイクの第一人者リック・ベイカーが最新の技術で施した“猿メイク”です。 リック・ベイカーは、『狼男アメリカン』(1981年)で青年が狼に変身する過程を見事なアナログ特撮で表現し絶賛されました。“猿メイク”では、『シュロック』(1971年)を始め、『キングコング』(1976年)では自らコングを演じ、『愛は霧の彼方に』(1988年)ではマウンテン・ゴリラを、『猿人ジョー・ヤング』(1949年)をリメイクした『マイティ・ジョー』(1998年)では巨大ゴリラ・ジョーを担当。ティム・バートン監督がリック・ベイカーに特殊メイクを依頼するのは当然の成り行きでした。 オリジナル版の猿メイクは、デザイン的にはよく出来ていて私も複数のフィギュアを所有するファンの一人ですが、当時のメイクの問題は、ラテックス張りで、顔の動きに制約があったため、俳優たちはオーバー・アクションで演じなくてはいけないことでした。リック・ベイカーは、ティム・ロス、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・クラーク・ダンカンといった役者たちの個性に合わせたメイクを施し、俳優たちは細かな感情表現も演じ分ける事が出来るようにしました。 また、本作には名優チャールトン・ヘストンが、チンパンジー・メイクでセード将軍の父親役でカメオ出演しています。