小玉智子のお買い物ブログ

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2011年12月02日
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 SF映画の金字塔『猿の惑星』(1968年)を基に、なぜ猿が地球を支配することになったのかを明らかにする新シリーズが始動。今回は、その第1弾にあたる『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(2011年)と、オリジナル版『猿の惑星』5部作などを一気にご紹介します。

 『猿の惑星』(1968年)は、フランスの作家ピエール・ブールの小説を映画化した歴史に残るSF映画の傑作です。1973年までに映画シリーズ全5作が製作され、映画終了後の1974年にTVシリーズ、続いてアニメ版、さらに日本では円谷プロの『猿の軍団』なるTVドラマまで製作されるなど、その人気は絶大で、これまでに多くのノベライズ、フィギュア、グッズなどが販売されています。
 2001年には『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)のティム・バートン監督が、『PLANET OF THE APES 猿の惑星』として再映画化。ラストシーンをより原作に近い形にしています。

 新シリーズ『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』は、『猿の惑星』5部作とは、物語上の繋がりはありませんが、旧5部作の世界観が前提になっています。観ていない方でも充分に楽しめる作品ですが旧5部作を観ていれば、より深く楽しめる事は間違いありません。とは言え、5部作を全部観ると言うのは、かなり大変。そこで今回は、各作品の見どころを簡単にご紹介しようと思います。

 記念すべき第1作『猿の惑星』(1968年)は、主演に『十戒』(1956年)、『ベン・ハー』(1959年)の名優チャールトン・ヘストンを迎え、猿が人間を支配する惑星に不時着した宇宙飛行士の体験を描いたSFサスペンスです。人間と猿の立場が逆転し、猿が洋服を着て言葉を話し、人間が言葉を失い獣のような生活をしているという異様な世界観と、映画史に語り継がれる伝説のオチで大ヒットを記録し、今も多くの人々の記憶に残っています。当時としては画期的な“猿メイク”を担当したジョン・チェンバースはアカデミー賞名誉賞を受賞。その後のアカデミー賞メークアップ賞の新設に一役買いました。また、打楽器を多用したジェリー・ゴールドスミスによる名スコアもアカデミー賞音楽賞にノミネートされています。

 1作目の大ヒットを受けて製作された第2作『続・猿の惑星』(1970年)は、核戦争後の廃墟のニューヨークの地下に隠れ住みミュータント化した人間と、地上を支配する猿との戦いを描いています。製作費は約半分に落され、第1作目の主要キャラクターであるヘストンやチンパンジーのジーラ、コーネリアスの登場シーンが少ないことで批判されてしまいます。2作目の特徴は、人類の末路を辛辣に描くストーリーと、猿たちのキャラ分けにあります。ここから、チンパンジーは平和主義者(ハト派)、ゴリラは強硬派(タカ派)、オランウータンは頭脳派という位置づけがなされました。

 2作目の批判をバネに、1作目に次ぐ評価を得たのが第3作『新・猿の惑星』(1971年)です。2作目よりさらに予算を削られた製作陣は、コストを抑えるため、苦肉の策で、人気キャラのジーラとコーネリアスを現代の地球にタイムスリップさせ、1作目のヘストンと同じ立場に立たせました。はじめは手厚い歓迎を受ける二人ですが、未来に猿が人間を支配する事実が判明し態度が一変。二人は息子シーザーを連れて逃亡しますが…。70年代の世相を反映した哀しいラストに涙がとまりません。

 4作目『猿の惑星・征服』(1972年)は、疫病で犬や猫が絶滅し、猿がペットとなった地球が舞台。人間たちは猿の知能を上げ、ウェイターや家政婦、肉体労働へと、次第に猿たちを奴隷化していきます。ジーラとコーネリアスの忘れ形見シーザーは、リカルド・モンタルバン演じるサーカス団長アーマンドに助けられ立派に成長。しかしアーマンドが人間に殺され、シーザーは人間と戦うため立ち上がるのでした…。観客は、シーザーに感情移入しながら観ていますが、シーザーは当然ながら、同族を殺す人間ではなく、猿を救うことを選択します。この裏切りの展開に面喰う人も多かったのです。脚本的には悪くありませんが、3作目よりまたもや予算は削られ、反乱シーンは、L.A.のFOX本社ビルのあるFOXプラザ敷地内で撮影されました。

 5作目『最後の猿の惑星』(1973年)は、猿と人間の大規模な戦争により荒廃した地球が舞台。文明は退化し、猿が主で、人間が従の関係にあり、ゴリラは執拗に人間を苛めていました。シーザーは人間に憎しみを持ち続ければ人間と同じ末路をたどることになると考え、共存の道を歩みます。そして、猿と人間は歴史的和解を果たすのです…。ジョン・ヒューストン、ポール・ウィリアムズといった名優たちが猿メイクで登場。5作目は、1作から4作までの歴史が塗り替えられた別オチとなっています。

 多くの映画シリーズ同様、『猿の惑星』も、続編以降の作品の評価は芳しくありません。ですが、SF映画の面白さは、豪華な役者陣の出演や、派手な見せ場ばかりではなく、その時代の社会世相を反映した社会批判の精神や、未来への警鐘といったテーマも重要なはずです。
 この『猿の惑星』5部作は、各作品に新たなテーマを与え、原作の世界観を活かしながら、なんとか工夫を凝らして各作品のレベルを保とうという努力がうかがえます。この機会に、ぜひ再評価して欲しいものです。

 続くティム・バートン版の『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001年)の見どころは、アカデミー賞メイクアップ賞をなんと7回も受賞している特殊メイクの第一人者リック・ベイカーが最新の技術で施した“猿メイク”です。
 リック・ベイカーは、『狼男アメリカン』(1981年)で青年が狼に変身する過程を見事なアナログ特撮で表現し絶賛されました。“猿メイク”では、『シュロック』(1971年)を始め、『キングコング』(1976年)では自らコングを演じ、『愛は霧の彼方に』(1988年)ではマウンテン・ゴリラを、『猿人ジョー・ヤング』(1949年)をリメイクした『マイティ・ジョー』(1998年)では巨大ゴリラ・ジョーを担当。ティム・バートン監督がリック・ベイカーに特殊メイクを依頼するのは当然の成り行きでした。
 オリジナル版の猿メイクは、デザイン的にはよく出来ていて私も複数のフィギュアを所有するファンの一人ですが、当時のメイクの問題は、ラテックス張りで、顔の動きに制約があったため、俳優たちはオーバー・アクションで演じなくてはいけないことでした。リック・ベイカーは、ティム・ロス、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・クラーク・ダンカンといった役者たちの個性に合わせたメイクを施し、俳優たちは細かな感情表現も演じ分ける事が出来るようにしました。
 また、本作には名優チャールトン・ヘストンが、チンパンジー・メイクでセード将軍の父親役でカメオ出演しています。

 さて、新シリーズ『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』の見どころは、『猿の惑星』前日譚を語るストーリーと、WETAデジタル社が『アバター』の技術を発展させて描く最新CGI映像の二つにあります。

 ジェームズ・フランコ演じる神経科学者のウィルは、アルツハイマー治療を研究するためチンパンジーに開発中の治療薬を投与。するとチンパンジーは驚異的な知能の発達を見せるが、突然、暴力的になったことから開発は中止されてしまう。しかし、ウィルは秘かにそのチンパンジーの子供を助け、シーザーと名付けて人間のように育てることにする。大人になったシーザーは、あるトラブルを起こし類人猿保護施設に預けられてしまう…。

 主人公のシーザーは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのゴラムや、『キング・コング』(2005年)のコング役でもお馴染みのアンディ・サーキスが演じた映像を、“パフォーマンス・キャプチャー”で表現したCGIキャラクターになりました。また、初の試みとして直射日光の下で“パフォーマンス・キャプチャー”を行っています。シーザーの表情の豊かさや、反乱する猿たちの暴動シーンなど、迫力の映像が満載です。
 こうして『猿の惑星』シリーズを辿ってみると、特撮の歴史を知ることにも繋がるのだなと気付かされます。

 2/22に発売されるDVD&ブルーレイは全4種。
1.「猿の惑星:創世記 ブルーレイ&DVD&デジタルコピー(ブルーレイケース)<初回限定生産>」(2枚組)
2.「猿の惑星:創世記 DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)<初回限定生産>」(2枚組)
3.「猿の惑星:創世記 ブルーレイ&DVD&デジタルコピー+猿の惑星(1967)(ブルーレイパック)<初回限定生産>」(3枚組)
4.「猿の惑星 エボリューション・ブルーレイ・コレクション<初回限定生産>」(8枚組)
 「猿の惑星 エボリューション・ブルーレイ・コレクション」にはBOXだけのスペシャル封入特典として、プレミアム・カードセット(7枚組・非売品)が封入されています。

 次回は、12/2にDVDが発売された成海璃子主演の青春ミステリー『少女たちの羅針盤』(2010年)をご紹介します。





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最終更新日  2011年12月02日 23時39分50秒


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