6本目はセルジオ・レオーネ監督が西部開拓時代に生きる人々の人間模様を描く「ウエスタン(原題:Once Upon a Time in the West)」(1968年・英米合作)。 レオーネ監督は、クリント・イーストウッドを一躍スターに押し上げた「荒野の用心棒」(1964年)、「夕陽のガンマン」(1965年)などのヒットでマカロニ・ウエスタンの代表監督として知られています。本作は西部開拓時代を舞台にしながらも、原案にはダリオ・アルジェントやベルナルド・ベルトルッチも参加しており、女性が主人公の壮大なイタリアン・オペラとして観ることが出来ます。 単身、未開の地へやって来たジルを演じるクラウディア・カルディナーレ、ハーモニカを吹く無口なガンマンを演じるチャールズ・ブロンソン、ならず者の親分フランクを演じるヘンリー・フォンダ、ジルを見守るシャイアンを演じるジェイソン・ロバーズ。豪華スター俳優4人には、それぞれエンニオ・モリコーネによるテーマ曲が与えられ、曲にシンクロさせて彼らが登場し、それぞれに交差しながら物語が進行していきます。 レオーネ監督のはったりの利いたアクション・シーンや超クローズアップ撮影は、現代も多くの監督がマネていますが、映像と音楽と感情の流れがあいまったレオーネ監督のアーティスティックな手法には及んでいません。ペキンパー監督同様、ワン・アンド・オンリーの存在だと思います。 本作では、古き良き開拓時代の終焉が抒情的に描かれると共に、夢を追ってやって来た人々の苦労が、たくましく生きるジルを通して描かれており、女性にもおススメです。