小玉智子のお買い物ブログ

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2012年07月12日
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 楽天ラウンジでの最後の映画紹介は、前回に続き、“生涯のベスト10(洋画編)”の残り5本をご紹介します。前回は、衝撃を受けた5本でしたが、残りの5本は、映画の醍醐味を味わえるセレクトになりました。

 6本目はセルジオ・レオーネ監督が西部開拓時代に生きる人々の人間模様を描く「ウエスタン(原題:Once Upon a Time in the West)」(1968年・英米合作)。
 レオーネ監督は、クリント・イーストウッドを一躍スターに押し上げた「荒野の用心棒」(1964年)、「夕陽のガンマン」(1965年)などのヒットでマカロニ・ウエスタンの代表監督として知られています。本作は西部開拓時代を舞台にしながらも、原案にはダリオ・アルジェントやベルナルド・ベルトルッチも参加しており、女性が主人公の壮大なイタリアン・オペラとして観ることが出来ます。
 単身、未開の地へやって来たジルを演じるクラウディア・カルディナーレ、ハーモニカを吹く無口なガンマンを演じるチャールズ・ブロンソン、ならず者の親分フランクを演じるヘンリー・フォンダ、ジルを見守るシャイアンを演じるジェイソン・ロバーズ。豪華スター俳優4人には、それぞれエンニオ・モリコーネによるテーマ曲が与えられ、曲にシンクロさせて彼らが登場し、それぞれに交差しながら物語が進行していきます。
 レオーネ監督のはったりの利いたアクション・シーンや超クローズアップ撮影は、現代も多くの監督がマネていますが、映像と音楽と感情の流れがあいまったレオーネ監督のアーティスティックな手法には及んでいません。ペキンパー監督同様、ワン・アンド・オンリーの存在だと思います。
 本作では、古き良き開拓時代の終焉が抒情的に描かれると共に、夢を追ってやって来た人々の苦労が、たくましく生きるジルを通して描かれており、女性にもおススメです。

 7本目はジャン=ポール・ベルモンド主演、ジョゼ・ジョヴァンニ監督・脚本の犯罪映画「ラ・スクムーン」(1972年・仏)。
 伝統的な仏ギャング映画“フィルム・ノワール”の中で、70年代の代表作に数えられる1本です。自身がギャングであったジョヴァンニが獄中で知り合った男の半生を抒情性豊かに映画化。ラ・スクムーン=死神と恐れられた主人公ベルモンドと、ミシェル・コンスタンタン演じる無二の親友、そして彼の妹でベルモンドの恋人クラウディア・カルディナーレの三人の愛と戦いを描く十数年の物語です。
 男の美学を追求した情感溢れるタッチは仏映画独特のもので、身震いするほどのかっこよさ。「冒険者たち」(1967年)、「サムライ」(1967年)、「さらば友よ」(1968年)などで一時代を築いたメロディメーカー、フランソワ・ド・ルーベによる手回しオルガンを使ったテーマ曲と、そこに登場するベルモンドの伊達姿。一度観たら脳裏から永久に離れません。特にラストシーン!男の背中に感じる哀愁という言葉は、このシーンのためにあるのです。

 8本目はリチャード・ハリス主演のパニック・サスペンス「ジャガーノート」(1974年・英国)。
 大西洋上、ブリタニック号に仕掛けられた時限爆弾から乗客1,200人を救うべく決死のミッションに挑むプロの男たち!
 監督はビートルズ映画や「スーパーマン」シリーズでお馴染みのアメリカ人、リチャード・レスター。アメリカ発のパニック映画と、英国伝統の冒険活劇が奇跡の融合をみせた本作は、70年代に大流行したパニックブームの中で今尚、熱い支持を集める傑作です。爆弾解除サスペンスの定石である、赤と青のコード、どちらを切るかは、この映画から始まりました。(ちなみについ最近では「崖っぷちの男」(2011年)でもやっています!)
 パニック映画といえば、「タイタニック」(1997年)のように、大破していく船と逃げ惑う乗客を描くと思われがちですが、本作では、危機に立ち向かうプロフェッショナルたちによる男のドラマを描いています。「羊たちの沈黙」(1990年)のアンソニー・ホプキンス、「LOTR」のビルボ・バギンズ役のイアン・ホルム、オマー・シャリフ、シャーリー・ナイトら英国スター総出演。中でも爆弾処理犯の主人公ファロンを演じるリチャード・ハリスと、助手のチャーリーを演じる「欲望」(1966年)のデヴィッド・ヘミングスの手に汗握る爆弾処理シーンには心拍数が急上昇!
 余興係のロイ・キニアといった脇キャラまで丁寧に描き、人間ドラマと極限のサスペンスを緩急をつけて見せきる演出は、今の映画にはない職人技が光っています。

 9本目はイギリスの名匠デヴィッド・リーン監督が描く「ライアンの娘」(1970年)。
「アラビアのロレンス」(1962年)、「ドクトル・ジバゴ」(1965年)と同じ脚本、撮影、編集、音楽(モーリス・ジャール)による大作ですが、2作に隠れて目立たない名作です。
 独立戦争前のアイルランドの港町で暮らす人々が、時代の波に翻弄されながらもたくましく生きていく姿を描いた本作は、特に女性におススメの作品です。
 リーン監督作の特徴は雄大な自然を余すところなく捉えた美しい風景をバックに繰り広げられる様々な人間模様。本作はアイルランドのディングル半島で撮影されていますが、冒頭からあまりの映像の美しさに、いきなり心を鷲づかみにされます。そして、欲望のままに行動する美しい若い妻ロージーと、ロバート・ミッチャム演じる夫である教師の無償の愛を描く人間模様は、男女の愛の本質に迫るもので見応えがあります。
 壮大な景色と冒険譚では「王になろうとした男」(1975年)や「冒険者たち」(1967年)などとも迷いましたが、ロケ撮影への執念のこだわりと、そこに生きる人々を丁寧に描き出す作品の重厚感とスケール感ではリーン作品以外にないでしょう。これぞ、映画館の大画面で味わうべき映画の代表格。アカデミー賞撮影賞、助演男優賞受賞作です。

 最後にご紹介するのは“アメリカの良心”フランク・キャプラ監督&ジェームズ・スチュアート主演で贈る感動ドラマ「素晴らしき哉、人生!」(1946年・米)。
 人生に絶望し自殺しようとする主人公ジョージの前に天使が現れ、ジョージがいなくなった世界を体験させます。そこにはジョージの想像を越えた事態が待っていました。
 これまで誰かに勧めて感動しなかった人は一人もいないという程、人の心を打つ作品です。鑑賞後には誰もが“人間に生まれて良かった”と心から思えるはず。アメリカでは今もクリスマスに必ずTV放映や上映会があり、映画ファンを越えた国民に、世代を越えて語り継がれている作品です。私もこれを観た時、「人生には辛い事も多いし、悪人も存在するけれども、本来、人間は善良なんだ。」と、心の底から勇気をもらい、力づけられました。自殺者が急増する現在こそ、多くの方に観て欲しい不朽の名作です。

今回選んだ10本には、SFファンタジー、コメディといったジャンル映画は選出できませんでした。またの機会に、ジャンル別のベスト10も選んでみたいと思います。

引き続き、“生涯のベスト10(邦画編)”などを、映画ブログ(FC2ブログ:cinemanc)にてご紹介していきますので、興味がありましたら、見に来てください。

 これまで、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。





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最終更新日  2012年07月13日 00時43分00秒


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