わんこでちゅ

22 ヤマダくんの決意








愉快な気持ちでカーク君の飼い主と別れて、家に帰り着いて俺はまず玄関に飾ってあった犬の写真に語りかけた。

「俺はまた犬を飼うよ。ソフィアきみみたいな犬。今は遊んでやる時間も、散歩にいく時間もなくて無理かもしれないけど、近いうちにきっとまた。それが俺の夢だったんだ。今までの原動力だったんだ。そして、きみみたいに苦しんで亡くなる犬が少しでもへるように、俺はまたがんばるよ。」

ソファに横になり身を投げ出して、俺は今後のことを考えた。たしかに昼夜とわず患者のために診療するのもいいことだ。だが仕事におわれるだけで、質としては?色々な難しい手術など、先輩医師について、もっともっと勉強したい。そのためには時間も必要だ。そして、俺自身がいきいきと、意欲的に生活することも大事で、そのための時間も必要だ。今は無理かもしれないが、両親のような温かい家庭をもって、ソフィアのような犬を飼って、、、。新しく人もたのもう。新しい人と向き合うのは苦手だし、色々仕事の面で順調に手伝ってもらえるまでには手間も時間もかかるが。なにもかもが、今まで慣れと忙しい日常に埋もれてしまっていたのだから、ほりおこしていくしかない。そう決めると、なにかすがすがしい気持ちになって、今日待ち合わせの前に買った専門書や犬の本のページをめくった。

わんこ裁判
「ただ今よりわんこ裁判を開廷いたします。被告犬、及び傍聴席の皆様ご起立ください。」

廷吏が重々しい声で裁判の開廷をつげる。

「被告犬の犬籍、住所、氏名をのべる。ちゃにさんとこのカークでまちがいないですね。」

そう問われカークはうなだれて、なさけない声で答えた。

「うーーーっわん。」

つづいて、犬察官が起訴状を朗読した。

「被告犬は、すでに9歳という分別ある歳であるにかかわらず、平成16年3月、D山公園において、自身と同じ性別のオスのゴールデンレトリバー、ユリアン君に性交をせまり、拒否されたことに腹をたて、また飼い主ちゃにさんに、その仲をひきはなされたことに恨みを抱き、帰宅してからそのはらいせに、くまのぬいぐるみ、および家財をぼろぼろにひきちぎった。罪名,罰条、きぶつ破損、傷害、わんこ法第205条」

起訴状がよみあげられると、裁判官がカークに裁判官らしからぬやさしい声でつげた。

「うそをつかないように、自分に不利なことは黙秘してもよいですよ。」

カークはなんでこんなことになったのか、腑に落ちないという気持ちと、裁判という異様な状況に、落ち着きをすっかりなくしていた。

「被告犬はさきにのべた起訴状の罪をみとめますか?」

「なんでこんなことになったのか、ぼくにはさっぱりわかりません。認めません。僕は無罪です。」

カークはおろおろしながらも、はっきりと自身の無罪を主張した。つづいて犬察官が冒頭陳述を述べる。

続く、、、。私はただの専業主婦です。法律の専門家ではありませんので、裁判に対するつっこみはしないでね。カークのオスわんこさん強姦未遂事件は本当にあったお話です。












11
カークよ永久に、、死に顔


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