ペインタでブログ

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テキスト2


そこには何もなかったが、何も映らなかったが。
なかなかに遅かった。
するべきことはしたし、やりたいことももうやり尽くした。
だからもっと早くにきても良かったのに、と思う。
しかしこのタイミングはやはり図ったかのようなものだと感心する。
なにせ私はこんなにも幸せなのだから。
後にも先にもこんなに幸福な時間は訪れはしないだろう。
そんなときに来るのだからそれ相当な準備をしてきたのだろうね。
準備、そうか。
予測とは少し違うな。
思考のトレースというよりも、もっと現実的な、検証。
そう、観測と言ったほうがしっくりくる。
見られていたのだね。
いや、彼に言わすと見守っていた、というだろうね。
なにせ彼はそういう風な言い回しが好きだし、むしろそういう風にしか自分の考えを表現出来ないのだよ。
そしてその表現方法はいつも、常に私の心に響くのだ。
迎えにきた。
何のために?
聞く必要があるか?と彼は言うだろう。
そうして諭すのが彼の言い回しだ。
そうして納得させるのが好きな彼だ。
その体躯には似合わないのに。
その翼はなんだ?
そんなよれよれで空が飛べるなんて信じられない。
その服はなんだ?
そんなぼろぼろで寒さが凌げるなんて信じられない。
その靴は何だ?
そんな磨り減った靴底、石でも踏んだらとんでもない。
その首輪はなんなのだ?
そんなとげのあるものが忠誠を誓っているとはとても信じられない。
その手に持つものは何だ?
そんなものが必殺必中の武器だなんて信じられない。
そんなものがこの世にあるなんて信じられない。
その長くて鋭くて格好の良い、まるで君の為にあるかのような存在感をかもしだすそれが私はたまらなく欲しいと思っている。
そうだ、私にそれを一回でいい、使わせてくれないか。
そのグングニルと呼ばれるそれを私に一度でいいから扱わせてくれ。
そうしたら君の好きにしたらいい。
迎えにきたのだろう?
だったら最後の願いくらいかなえるべきだと私は思うが、どうだろう?
私の願いが君に届くといいけれど。


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