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今日はイチジクの有効成分・歴史・優良品種などについて書いて行こうと思います。
まずはこの写真から。
【イチジクカレー】 ね~。i今まで食べたことないなあ~。
最初これを商品開発した人のコンセプトでどんなんだろう。って。
フルーティーって書いてあるから、味の面から入って行ったんだろうか?
自分は違うような気がします。
イチジクの有効成分で特徴のあるものが2つあります。
1つ目がタンパク質分解酵素の 【 フィシン】 。2つ目が水溶性食物繊維の 【ペクチン】 があ
ること。主にこの2つではないかと思います。
このイチジクカレーを作った人は最初【フィシン】に注目したのではないでしょうか。
カレーにイチジクを入れると酵素であるフィシンが作用し肉が柔らかくなるんです。
例え安く硬い肉でも柔らかくなります。柔らかい肉の食感を出したかったのではないか。
それで実際このレトルトのイチジクカレーを食べた感想です。
【肉が無いなあ~】。肉どこへ行ったんだ~。(一応食材に牛肉入りとは書いてあります)
家でイチジクカレーを作ったことが無いのでわかりませんが、長時間煮込むと【柔らかい
肉】を通り越して、【肉が溶けて無くなってしまう】のではないでしょうか。
イチジクカレーは普通に作る程度で肉は普段より柔らかくなるような気がします。
(硬い肉をイチジクの生葉で巻いておくと柔らかくなるそうですよ)
このフィシンですが人の 【イボ取り】 の成分としても使われています。
人のタンパク質も分解するってことか。
ちなみにこのフィシンですが イチジクを切った時に出る白い乳液の主成分 です。
(葉っぱを切って見ました。葉っぱからも乳液が滴ります)
2つ目の【ペクチン】ですが水溶性食物繊維があることもあって、整腸作用があります。
便秘に効果的みたいです。(自分はもともと便秘になったことが無いので、その効果はよく
わかりません)
ついでにこのパッケージにある【愛知県産】っていうのが気になります。
我が愛知県はシェアで言うと全国第一位で24%。2番目が和歌山で14%。3番目が兵庫
県で11%です。
在来種である蓬莱柿の生産地である広島県が4%しかないのは意外です。
蓬莱柿が出たところで、次に イチジクの歴史 についてです。
自分はこれまでイチジクの原産地はフランスだと思っていました。フランスの品種が多い
からです。でも実際有力なのはアラビア(半島)みたいです。
日本へ伝わったルートは【アラビア半島→ヨーロッパ→ペルシャ→中国→日本(長崎)】。
こんな感じです。
日本のイチジクの在来種が【蓬莱柿】(ほうらいし)って呼ばれていますが、歴史的には
350年ほど前にポルトガル人が中国から伝えたと言われています。
その後明治42年、現在ほぼ日本を制覇している【桝井ドーフィン】を広島種苗者の【桝井
光次郎】がカリフォルニアから持ち帰ったとされます。
【蓬莱柿】ですが名前の由来は干し柿から来てたような。桝井ドーフィンより小ぶりで割れ
易く、日持ちしないのがマイナスです。なので市場にはあまりお目にかからないと思います
。
桝井ドーフィンですが全国の生産量の80%がこの品種です。
スーパーでよく見るのもこれです。なのでイチジクと言えば【桝井ドーフィン】になります。
色・形・大きさ・味などイチジクの基本イメージは【桝井ドーフィン】になってしまいま
す。 この品種の一番良い点はなんと言っても【超豊産性】だと思います。
とにかくたくさん実を付けます。
【イチジク=一熟】 イチジクの名前の由来になっていますが 、一日に一つづつ熟すと
言う意味ですが、桝井ドーフィンなら一日に2個くらい熟して行くのではないかと思うくらい
です。
ただ自分は残念です。
日本の人はこの品種が基本にあるが故に、もっともっとおいしい品種がかなりあることを
知らないと思います。
桝井ドーフィンに関して自分は良くもなく悪くもなく。そんな感じです。
【この写真は桝井ドーフィン 糖度16.4】
では次にイチジクの品種についてです。
自分の中でイチジクは他の果物に比べ甘いのが特徴だと思っています。
先ほどの桝井ドーフィンで糖度20です。(完熟で)
ただヨーロッパの品種を見ると糖度30を超えて来ます。そのいくつかを紹介します。
【パスティエ ・ロンドボーデックス ・ロードス ・ヌアールドカロン ・サルタン】など。
ただ糖度30というのは条件が揃った時に出る数字であって、現実的には厳しい数字だと
思います。
一般的にこれらの高糖度イチジクを実際栽培して収穫した場合、糖度で25前後だと思っ
ています。(あくまで完熟状態で収穫した場合で)
経験的には以前サルタンを作っていましたが、世間で言われているような糖度には全然
達しず、諦めて切っていまいました。フランスと日本の気候条件の違いか、単に作る人が
へたくそだったのかはわかりません。
以前【ダルマティ】と言う品種を作っていました。
これが自分のイチ押しなんですが、2期成りで大きさ的にも糖度的にも世界でトップクラス
です。しかも収穫まで緑色の為、鳥に食べられません。
これが夏になると、実の表皮から汗をかいて、それが砂糖の結晶になっているんです。
割ってみると、ねっとりしていてすでにジャムになってしまっています。
たぶんこの状態が糖度30くらいだと思います。
ねっとりしているためジューシーさはありません。
【グッドー】
これが今、家で成っている【グッドー】です。
夏果で世界トップの大きさと言われていますが、実際家でできるものは全然大したことは
ありません。
この写真で見られる表皮の割れ目。これが完熟の印です。
割ってみるとこんな感じです。
これで糖度24です。(先ほどの桝井ドーフィンとは蜜の量が違います)
これくらいのものが収穫できればほぼ100点です。
糖度的には店頭に並べられたイチジク(桝井ドーフィン)のなるか上を行っています。(お
いしさも)
自分的にイチジクは糖度25前後が一番良いのではないかと思います。
それ以上になると、さきほど言いましたがねっとりジャム状になりジューシーさが無くなって
いきます。
イチジクは寒さにあまり強くありません。特に幼木のうちは。
日本での栽培地の北限は宮城・福島あたりと言われています。
ただ現在はアメリカ産で寒さに相当強いのが入手できます。
品種で【シカゴハーディー ・テナ】あたりです。-15℃の耐寒があります。
確かにシカゴは寒いです。昔仕事で5月にシカゴに滞在したことがあって、空港から降りた
瞬間ここはまだ冬だと思いました。
シカゴは日本で言うと函館と同緯度ですから、冬に-20℃くらいになることもあるみたいで
す。そこでも耐えられるので、北海道のみなさん、無理だと思っていたイチジク栽培が家
庭でできますよ。
次に実の大きさで有名なのが、【ベローネ ・バナーネ ・グッドー ・ダルマティ】。
今までこれら全て栽培しましたが、実際は大して大きくなりませんでした。
【ベローネ】
一般的にイチジクは2期成りのものが多く、6~7月に一度成って、秋2回目が成ります。
夏果が大きく秋果が小さいのは、夏果は前年既に実を付けてそのまま冬を越し夏に肥大
する為、それだけ栄養を蓄える期間が長くなります。。夏果は枝の先端に実を付けるので
剪定の時、少しは枝の先端を残すようにしましょう。
秋果は今年伸びた枝に順番に実を付けます。
土は弱アルカリ性を好みます。
あとプロの農家の方が成熟を早め、糖度を若干上げる為に【オイリング】という手法を使
います。これはイチジクの成長過程の後期(全体の表皮が少し黄緑がかり、穴の部分が
紫がかる時)に食用油(オーリブ油・菜種油など)を穴の部分に1~2滴流し込むもので
す。
このオイリングを行うことにより、イチジクの中にエチレンが生成され成熟を早めます。
オイリングは平井重三氏がもう過去に遡ること40年以上前にイチジクの生育過程に関す
る研究論文で発表されています。
イチジクはぶどうと同様にエチレンガスの影響を受けにくい果実ですが、それでもいざ自
らの中にエチレンが生成されてしまうとおのずと成熟が早まってしまいます。
【恐るべしエチレン効果】です。
まあ家では急ぐ必要も無いし、自然のままで良いと思います。
夏~晩秋にかけ健康面から一日一熟のイチジクをひとつづつ食べたいものです。
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