Oct 4, 2008
カテゴリ： 本
十二人の被害者を出した、札幌の大通り公園での無差別殺傷事件。
三人の死者の中には、三上の愛娘留美も居た。
そんな凶悪事件にも関わらず、犯人藤崎が罪に問われる事はなかった。
刑法三十九条。
統合失調症と診断され、犯行時は心身喪失であったと不起訴になったのだ。
一方、留美を庇い大怪我を負った妻佐和子は、事件以来精神を病み、ついには三上との生活も破たんしてしまう。
その佐和子から、三年ぶりに電話がかかった。
留美を殺した藤崎を見かけたというのだ。
佐和子の気持ちを静めるため、藤崎の姿を追う三上。
そして、ついに三上の瞳は、藤崎を捕える。
作者の薬丸さんは、２００５年にデビュー作『天使のナイフ』で江戸川乱歩賞を受賞。
その後は、『闇の底』そしてこの『虚夢』と、３年の間に３冊しか上梓していない作家さんです。
でも、作品のクオリティはとても高くて、３作とも外れなしです。
ミステリー中心に読んでいると、ほとんど途中で話の流れが読めてしまうのですが、『虚夢』には脱帽でした。
ラスト４０頁からの話の展開には、本当に驚かされましたし、涙なしには読めませんでした。
ぜひ、読んで頂きたい１冊です。
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