あのヒト =6=




尻尾振る子犬のように、Joは大きく返事をした。

「行くっ♪」

そのときは、前回とはちょっと違う雰囲気だった。
恥ずかしいような・・・。

彼が連れてきてくれた店も、前回の居酒屋さんとはうって変わって、お洒落なムードのBAR。
「行き着けの店だから」
そう言って、メニューに載っているカクテル欄に目を通しはじめた。

このときにどういう会話をしたのか覚えていない。


そして、このBARの帰りに、地元の海岸まで車を走らせた。
まだ夏の香りを残した9月の海は暖かった。

その浜辺で2人肩を寄せ合って、話をしていた。
そして、いつの間にかキスをしていた。
初めてのキスなのに、そうでもないようなキス。
まるで、ずっと待ちわびていたような懐かしい感じのキス。
そして、その接吻の最中にJoがつぶやいていた言葉。

『Chakkey、大好きだからね』

彼氏の淳からも余り言われたことの台詞を、彼は平気で言ってのけた。
そして、まるで呪文のように繰り返していた。

『俺が大切にするから』
『だからずっと一緒にいようよ』

私がずっと欲しかった言葉を、敦の口から聞きたかった言葉を、Joは言った。
自らの意思で。


その日、私達は朝方近くまで、話をしていた。
話の途中、思い出したかのようにキスも繰り返して。

そして、そのままファッションホテルに泊まった。
何もすることなく、私達は手をつないだまま眠った。

このまま時が止まればいいねと、二人で願いながら。

くまたn



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