私の沼

私の沼

たくあんマン


たくあんマンが言いました。
たくあんマンは黄色い顔で、背が高く、なかなか素敵な青年です。
「そんなこと言われても・・・。困るわ」
ピクルスちゃんはもじもじしています。
ピクルスちゃんはお父さんのお仕事の関係で、イギリスからやってきました。とても真面目な女の子です。
そこへやってきたのが茄子漬マンです。
「たくあんマンなんか大したことないべ。あいづは口ばっかしの男だ。俺ど付き合ったほうがいいっちゃ」
茄子漬マンは仙台生まれ、東北訛りがありますがなかなかの伊達男。紺色のTシャツが良く似合う、なかなかの美男です。
「なんだお前!僕を口ばっかりの男だと言ったな!」
「ああ、言ったげども、だがらなんだ。ほんとのごどだべ」
「ふざけるな、ここで勝負だ!ピクルスちゃんは僕の彼女になるんだ」
そこへやってきたのは奈良漬マンです。
「なんや、女のことで揉めとるんか。若うていいなあ」
奈良漬マンは50がらみのおっさんで、早くにリストラにあったせいかいつも近所をぶらぶらしているのです。
「奈良漬マンのおじさん、僕らは真剣なんだ。邪魔しないでくれ」
「んだんだ、どっかさ行ってでけんねが。邪魔ばすんな」
二人は口々に言いました。
「わしが邪魔なんぞするかいな。おもろいから見とるんや」
奈良漬マンは笑いながら言いました。
ピクルスちゃんは困ってしまっていました。ほんとうは、どっちとも付き合うつもりなんかないし、フランス語のレッスンの時間が迫っているので、早くこの場を離れたいのです。
「ねえ、あの、わたしは二人ともすてきなお友達だと思っているのよ。だから、ケンカはやめて」
そこへ、オリーブ先生が通りがかりました。
オリーブ先生はピクルスちゃんのフランス語の先生です。
「あら、ピクルスちゃん、どうしたの?もうレッスンの時間よ」
「先生・・・」
オリーブ先生は辺りを見回すと、事情を理解したようです。
「オリーブ先生、今日はまた一段とおきれいでっせ」
奈良漬マンがよだれをたらさんばかりに言いました。
「あら、奈良漬マンさん。奥様はお元気ですかしら?」
「先生、あんな千枚漬けのことはええのや。あいつ、あれで性格がきつうてなあ」
「まぁ、でも奥様のお店が繁盛していらっしゃるから、奈良漬マンさんはこうしてのんびりしていらっしゃれるのでしょ」
オリーブ先生は金髪の巻き髪、くびれたウェスト、細い足首、90センチのおっぱい。奈良漬マンは口説きたくて仕方がありません。
「先生、こんど、京都に遊びに行きまへんか。わし、車出しますよって」
「それはすてきですわね。それでは、またこんど。さ、ピクルスちゃん、行きましょう」

今日も平和に日が暮れてゆきます。


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