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ハナちゃんといっしょ
台湾・職員旅行
中華航空利用
●それは職員旅行だった●
初めて勤務したのは小学校だった。臨時講師として1年間勤務した。そのとき、仲良くなったM先生が職員旅行の担当で、
「なあ、台湾に行きたくね~ぇ?」
と話しかけてきた。私の返事はもちろんイエース!他の先生方は、海外なんて高くて行けない、行ったことがないから恐ろしい、3日間も家を空けられないと不安と不満が飛び交ったが、結局教頭先生を除く全員が出席した。もちろん、ツアー。お盆の直前だったのでちょっと割高だったけど、お泊りはヒルトン、おいしいお食事、ツアー内容もそれなりに充実、添乗員は若い男性・・・。不満をこいていた人も、大満足の3日間だった。
●1日目・・・台北市内●
空港に着くと、添乗員さんがいるのに現地係員さんが待っていた。黄さんという、退職教師だった。日本語がとても流暢で、礼儀正しい人だった。台湾では、教師の仕事は尊敬される職業らしく、私たち一行を始終「先生」(女性は「女先生」・・・「二十四の瞳」か?)と呼んでいた。バスに乗り込み、早速市内観光!
*中正記念堂*
なんともでっかい、蒋介石の銅像がある。総統の偉業を記念して作られたのだそうだ。門と建物は、本当に美しい、しかし、蒋介石の銅像を見ておしまい。広い公園なので、散策すればきっと楽しいはずなのに。こういうところがツアーの不便なところだな。とりあえず、銅像の前で記念写真を撮る。身動きしない衛兵が、銅像の前を警護していた。不届きな観光客(私たち一行ではないです)が銅像に近づこうとしたら、「ドンッ」と手に持っていた銃剣を床で鳴らしていた。
*龍山寺*
映画で見るような光景だった。長い線香に火をつけ、礼をしながら捧げる人たち。何の宗派は知らないけど、ちょっと見とれてしまった。何かをお願いするといいっていわれたけど、何をお願いしたのか、覚えていない。柱に彫られた彫刻が美しかった。
*衛兵の交代式*
たぶん、この時間に合わせて中正記念堂に戻ったんだろうな。今度は衛兵のいる門のほうに行く。以前、台湾へ行ったことのある友だちが、衛兵の若いお兄さんたちはみんな男前だと言っていたので、仲良しのM先生と彼らを見る前からエキサイト!しかし・・・確かにスタイルはいいが、顔がね。好みもあるんだろうけど・・・。M先生、「あんたなぁ・・・」と少し怒っていた。いや、あなた、人妻ですから。
衛兵の交替式が始まり、本殿のほうから4人の衛兵が足並みをそろえて歩いてきた。手足の動き、一人として乱れていない、美しい動きだった。門の前に着き、交代の儀式、敬礼も、銃剣を投げて渡すタイミングも一切ずれがない。よく訓練されていた。
あとで写真を見ると、衛兵の行進について歩く観光局の中に、まったく同じポーズで歩いていたオバちゃんの姿が・・・。後に職場で大笑いになった。
●2日目・・・華蓮●
*太魯閣峡谷*
台北から飛行機で40分、東部の観光都市華蓮へ。大理石の峡谷、太魯閣峡谷へ行く。大理石の断崖が、20kmにも及ぶ超絶景。大理石の採掘やトンネルを掘る耕治で、何人もの人が命を落としたという。景色も絶海だった。川沿いにそそり立つ断崖の、美しい大理石の岩。民族衣装を着たアミ族の女性が観光局と写真を撮るためにいたが、もちろん有料。H先生がバスの中から景色を撮る振りをして、彼女たちの写真を撮っていた。
大理石を加工する工場も見学した。加工途中の大理石、美しく磨き上げられたピカピカの大理石。しかし、興味のない私は何も買っていない・・・
おまけ。飛行機の客室乗務員の男性がかなりハンサムだった。倉田てつを似。しっかりと写真に収める。
●3日目・・・国立故宮博物院●
この旅行で、一番楽しみだったのがこの博物館見学だった。歴史、美術が大好きなので、大学で博物館学の授業をとり、学芸員の資格も取った。聞けば、ここは世界3大博物館のひとつで、本場中国よりも展示品が充実していると言っていた。ただ、半日しか時間がなかったので、ゆっくり見られなかった。こういうところは、1日かけてゆっくり見たいのに。ショッピングの時間なんていらないし。この博物館を見るために、また台湾を旅行したいと思った。
●おいしい台湾●
台湾の食にハズレなし?本当に、なんでもおいしかった!!!台湾旅行の後に、アン・リー監督の台湾映画、「恋人たちの食卓」を見るが、映画の中でもおいしそうな料理のオン・パレード。また食べに行きたいな、おいしい中華料理。
*台湾料理?モンゴル料理?*
旅行会社にいただいた旅程表を見ると、1日目の夕食は台湾料理と書いていた。しかし、今思うと、あれはどう考えてもモンゴル料理だ。自分で好きな材料とソースを選び、目の前の鉄板でそれを料理してもらうスタイルだ。お味は・・・ソース選びを失敗した。まずくはなかったが、好きな味ではなかった。でも、しっかり全部食べた。
*上海料理*
太魯閣峡谷の大理石加工場に隣接したレストランにて。回転テーブルの上には8種類の料理の皿が並ぶ。一番おいしかったのは、大きな魚のから揚げの甘酢あんかけみたいなもの。
*広東料理*
台北市内のフーバーシアターにてショーを見ながらのお食事。きれいなお姉さんたちの踊り、若いお兄さんの曲芸など多彩、最後は中年の歌手が出てきて、美空ひばりの歌を熱唱していた。ものすごくうまくて、驚き!
料理はというと・・・おいしかったと思う。ただ、上海料理も広東料理も、私には区別がつかなかった。なんだか、ビールばっかり飲んでた気がする。私と同い年の若い添乗員さんが、後ろからこっそり
「先生、ちょっとお金を貸してください・・・」
清算時にビールの追加注文が多くて、足りなかったらしい。みんなのんべえ。
*石鍋料理*
最終日の食事。こ、ここはアイドル養成所?台湾のジャニーズボーイ?ウェイターのお兄さんたち、みんな若くて、スタイルが良くて、かわいかったのだ!このお兄さんたちに紙よだれかけをつけられ、お兄さんたちが鍋を料理する。味なんざ覚えてないけど、あまりにもかわいいので、台湾語で「ハオチー(おいしい)」とお兄さんに向かって言うが、「あ、そっ」って感じだった。かわいくない!
*チャイニーズ・ケーキ*
初めて食べたのは、カナダのバンクーバーの中華料理店だった。すごくおいしいと勧められて食べたけど、本当においしかった。スポンジがふわふわで、生クリームもあっさりとした甘みで、デコレーションなどは凝っていなかったけど、シンプルで好きな味だった。同じケーキを、空港で見つけた。空港での暇な時間、カフェに入ってしっかりといただいてきた。バンクーバーで食べたケーキと同じ味、大満足!
●楽しい屋台●
2日目の夜、現地ガイドの黄さんが夜の台北市内を案内してくれた。広間の大都会の町の様子とは違って、活気があって初めてアジアの国に来たんだなと実感(日本もアジアなんだけどね)。黄さんが、「これおいしいよ」と、自分で買ったライチーをみんなに配っていた。初めて食べたその果物は、甘くて不思議な味がした。
露店は値切りが勝負。普通の日本人の私は、お土産にと普通に表示されている値段で買おうとした。そこに添乗員さんが登場。
「先生、値切んなきゃダメですよ!」
と、私の目の前で交渉を始めた。しかし、交渉した額まで値段が下がらず、添乗員さんはここじゃ買わないと言った。買うのは私なのに・・・。聞けば、この添乗員さん、大学生の頃はアジアを一人旅するバックパッカーだったんだそうだ。なるほど、納得。
●こりごりショッピング●
買い物好きな人には、ツアー旅行っていいものだと思う。現地係員に必ず連れて行かれる土産物屋に免税店。私は旅先でのショッピングが好きではない。まず、重い荷物を持って歩くことが嫌いだし、無駄なお金を遣うことも好きではない。家族は親しい人にお土産と、何か自分に記念になるものを買えばいいと思っている。
*口を開けた魚*
この旅行では、家族にそれぞれお土産と、自分のために某ブランドのショルダーバッグを買った。社会人になったけど、ろくなバッグを持っていなかったので前々からほしかったし、日本よりも安かったからだ。お値段は3万円弱。大金は持って歩かないので、カードで清算する。
しかし、恐るべし店員たち。お客が店内を見て回っていると、必ずついて回る。私は若かったし、見た目が貧乏そうなので、あまりついてこられなかったが、いったんカードで買い物をするとお話は違う。しつこくついて回って、いろいろな商品を勧めてくる。
「これ、あなたのお母さんにどう?お父さんにどう?喜びますよ」
と流暢な日本語で。
「高いし、ちょっと買えない」
と答えると、すかさず、
「大丈夫、カード使えるよ」
いらないの一点張りでその場は逃れたが、恐ろしい店員だ。
ある土産物屋で、Y先生が、客を待ち受ける店員たちを見て言った。
「口を開けた魚が待っちょーで」
*偽ブランド*
バスの社内で、黄さんが突然商品の販売を始めた。色とりどりのスカーフを取り出す。スカーフには、いくつかの某有名ブランドの名前が記されていた。
「お土産にどう、お店より安いよ。全部偽物だから」
え?偽物?一瞬みんな沈黙。だって、教育者ご一行様。私は、偽物だったら日本国内に持ち込めないんじゃないかと質問をした。すると黄さんは、
「大丈夫、ばれないから」
まあ、2,000円程度のものだったし、黄さんはいつも親切でとてもいい人だったから、没収覚悟で何人か買った。みんな、きっと黄さんへのチップのつもりで買ったのだろう。それでなくても、土産物屋でほとんど何も買わなかった私たち、ご機嫌斜めの黄さんの姿も見ちゃっているしね。
●台湾の年号●
帰りの飛行機は、乱気流のために揺れた。私の隣に座っていたK先生は大の飛行機嫌い、2人して、機内食にも手が出ず、揺れがおさまるのを待っていた。
そんなとき、H先生が機内食のデザートのお菓子の袋を見て「あれっ?」と言った。
「あれ、このお菓子、賞味期限が1984年になってる・・・」
その年は1993年、9年前が賞味期限?そんなわけないじゃないか・・・。袋を開けてみると、粉を吹いている。これはカビ?と、お菓子を見てうーんとK先生と2人して考え込んだ。
しばらくして、H先生が笑いながら、
「この賞味期限は台湾の年号で書かれてるんよ」
と言った。
「H先生、知ってたんですか?」
「あなたたちが飛行機の怖がってたけん、気を紛らそうとしたんよ」
気がつくと、お菓子のことでもめているうちに、飛行機の揺れはおさまり水平飛行になっていた。H先生に感謝。
しかし、台湾にも独自の年号があることは知らなかった。
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