ハナちゃんといっしょ

ハナちゃんといっしょ

韓国・ソウル


日本航空利用

●友を訪ねて●

2000年3月、春分の日をはさんだ休暇を利用して、妹といっしょにソウルに住む韓国人の友人に会いに行くことにした。彼の名前は金宰弘(キム・ゼホン)、1997年夏に私の通っていた乗馬クラブの夏祭りで知り合った。当時、福岡の日本語学校に留学中で、いったん帰国した後も、私と友人に会いに日本に遊びに来てくれた。彼はテグの出身だったが、ソウルの明洞にある日本留学専門のエージェンシーで働いていた。

ソウルに着く日程など、Eメールと電話で連絡を取り合い、市内の中心部にあるYMCAに予約を取ってもらった。当日は空港にも迎えに来てもらった。まだ、インチョン空港ができる前のキンポ空港だった。到着ロビーに着いたとき、ゼホンの姿が見えなかったので、公衆電話から彼の携帯に電話した。その直後すぐに会え、妹を紹介した。
「へえ、姉ちゃん(彼は私をこう呼んでいた)とちがって大人しそうな妹さんだねー」
悪かったなぁ!うるさくて!


●ソウル市内へ●

路線バスに乗り込み、ソウル市内へ向かう。こりゃ、ゼホンがいなかったらわかんないな、ハングル文字。ソウルは、思ったより都会だった。そりゃそうだ、一国の首都だしな。ただ、日本の都会とちがうのは、山がすぐ近くに見える。それに、空気の色がちがうと思った。その頃は黄砂のシーズンで、日本より空気がかすんで見えて当然かなと思った。妹は、大陸に来たことに感激していた。

バスを降りるとYMCAにチェックインして、ゼホンが街を少し案内してくれた。当たり前だが、看板はほとんどハングル文字。プサンのようにロシア語の看板を見かけない。なぜだかわからないけど、習志野ナンバーの車をみかけてしまった。3人で顔を見合わせ、「なぜ?」
「記念写真、撮る?」
とゼホン。いらないよ、日本車の写真なんて。

●ゼホンの友だち●

ゼホンは働かなければならなかったので、私たちを案内してくれる友だちを紹介してくれた。一人は彼の後輩のワンヨンくん。漫画喫茶でアルバイトをしている大学生だった。福岡に語学留学したことがあり、日本人の彼女がいると言っていた。もう一人はインジャさん。彼女は私と同い年の新婚さんだった。彼女も日本語学習経験ありだった。とてもいい人たちだった。

●ゼホンの彼女●
2日目夜に紹介してくれた。名前は忘れてしまったが、笑顔のきれいなかわいい女性だった。浜崎あゆみを清楚にしたような人だった。なんでゼホンにあんなきれいな人が???まあ、いい人だからだろう。日本語は話せなかったが、聞き取りくらいはできる用で、食事中に私たちの会話を聞いてよく笑っていた。
買い物のときには、しっかりゼホンにハンドバックを持たせ、後ろについてこさせていたのがちょっと笑えた。日本のカップルと同じだね。

●ソウル観光1日目

*景福宮*
なんか、歴史のある建物らしい。歴史は好きだけど、それが何であるのかはわからなかった。ガイドブックくらい読めって?ワンヨンくんも説明くらいしてよ。池の中にその美しい建物は立っていた。入場料700ウォン。安すぎ!

*国立民族博物館*
ここでは、韓国の歴史、産業、食文化、儀式などについての資料を見ることができた。意外と中は広く、展示物も充実。博物館の周りも、儀式で使うものだとか、チェジュ島で見られる石像だとかを見ることができる。ちなみに、滞在中に使ったトイレで、ここのが一番きれいだった。

●ソウル観光2日目

*韓国民俗村*
ソウルではないんですけどね、もうここは。ソウルから車で約1時間、ワンヨンくんが連れて行ってくれた。そこにつくまでの景色、あまり日本と変わらないようだけど、とにかく道路が広い。いざ戦争という事態になったときに、滑走路と道路を使用すると中学の地理で習ったが、本当に広いと思った。

民俗村は、韓国の昔ながらの村を再現した場所だ。農家、医者の家、身分の高い人のいえなどを忠実に再現していた。実際にロバも厩にいた。ここでは、伝統舞踊(少年たちが太鼓たたきながらくるくる回るやつ)や、伝統的な結婚式の様子も見ることができた。
日本でいうと京都映画村みたいなもので、時代劇のドラマや映画の撮影がよく行われるそうだ。私たちが行ったときも、実際に撮影が行われていた。韓流ブームなんて訪れるとも思っていなかった頃なので、ちらりと見て「へぇ~」。ワンヨンくんだけが感動していた。

●やっぱり食!●

*韓国のチャーハン*
1日目のお昼ごはんは、ゼホン、ワンヨンくん、インジャさんたちと5人でいただいた。丸いテーブルを囲んで、目の前で韓国風のチャーハンを店員さんが作ってくれるのだ。色はもちろんまっかっか。席に着くと、すぐにキムチなどの小皿と、冷たいモズクのスープが運ばれてきた。このスープが酸味が強くて、なかなかおいしいのだ。チャーハンも思ったより辛くなく、食べやすかった。私も妹も辛党なので、食べ物には困らなかった。

しかーし、ここで事件が発生!!!チャーハンを食べていた妹が「あれ?」と言って口元に手をやった。彼女の口の中からは、小さなガラス瓶のかけらが出てきたのだ。私もやや驚いて、指差して小声で「え?」とつぶやいた。私たち2人の間では、まあ韓国だからこんなんもあり?という程度のことだった。
ゼホンは妹の指の間のこのガラスを見逃さなかった。さっとそれを取り上げると、
「つーちゃん(妹)、これどうしたの?」
と聞く。私たちが躊躇しながらご飯の中から出てきたことを伝えると、ゼホンは店員のおにいさんを呼び出した。そして、ワンヨンくん、インジャさんと3人で束になって文句を言い始めたのだ。日本だったら店員さんは平謝り、しかし、ここは韓国だ。店員のお兄さんも負けずに言い返している。私と妹はただ黙って、唖然としてこのやり取りを眺めていた。お兄さんはいったん奥に引っ込むと、コーラをひと瓶とコップを持って、妹に差し出した。しかし、ゼホンはおさまらない。私たちに、
「食事代、ただにしてやろうか?」
と聞いた。事を荒立てることを避けたい日本人の私たちは、もういいからと必死で止めたのだった。
すごいな、韓国人。恐るべし、韓国人。

*焼肉屋でオンドルと冷麺に感動*
夕食はゼホンが焼肉店に連れて行ってくれた。まあ、普通のプルコギだが、鉄板は日本のジンギスカン鍋のような形だった。その真上に、生のにんにくを載せていて、よく焼けないうちからゼホンはそれをボリボリかじっていた。韓国人の熱さはここから来るのか?他に食べたいものと聞かれ、大好きなチヂミと注文してもらう。この焼肉屋は地元の人が多く、観光客らしき人はあまり見られなかった。
ふとゼホンの後ろのおじさんを見ると、銀色のボウルに入った食べ物を、ボウルのまますすっている。真っ赤な麺が入っていた。あれは何かと聞くと、冷麺だという。噂に聞いていた韓国の冷麺がああいうものだと思っていなかった。ゼホンに
「食べてみる?」
と聞かれ、食わず嫌いをしない私はもちろんいただく。妹と分け合って食べた。真っ赤なのに、辛くない!さっぱりしていて、おいしいのだ。日本ではお酒を飲んだ後にラーメンを食べるように、韓国では冷麺といくらしい。お酒の後には冷麺のほうがつるっといきそうだ。

ここで初めてオンドル体験。板敷きの上に上がったとたん、暖かくて感動。ゼホンにとっては普通のことだけど、妹とただひたすら感動しまくっていた。

*微妙なビビンバ*
韓国民俗村でのランチだが、はっきりいってパッとするようなレストラン、食堂はなかった。とりあえず行き当たりばったりではいる。石焼ビビンバを食べたかったが、普通のビビンバしかおいてなかったのでそれをとりあえず注文する。プラスティックの冷たい容器に入っていて、心なしかご飯もあまり温かくなかった気がした。おまけに、なんだか生臭い。本物のビビンバがこんな感じなのか、この店がまずいのか。全ての韓国料理の店がおいしいっていうわけじゃないんだな。微妙な味だった。

*見かけはグロテスク、味は最高!*
2日目の夜は、ゼホンとガールフレンドがサムゲタンのレストランへ連れて行ってくれた。けっこう有名なお店のようだった。写真で見てもちょっと鳥の皮がグロいなと思っていた。食わず嫌いの妹は、あまり食べたくなさそうだった。ゼホンはから揚げにしたものと普通のサムゲタンの2種類をそれぞれ注文してくれた。
から揚げのほうは、皮がパリッとしていてとてもおいしい。韓国の人って食べ方が上手!骨に身が残らないようにきれいに食べるのだ。私の、いちばん汚なかったし。
そしていよいよ、本物のサムゲタンが登場。スープに入った鶏モモ、なんだかおいしそうじゃない。ところが、これが最高においしかったのだ。鶏肉が柔らかくて、口の中でとろけていく感じ。そして、中にもち米、栗、朝鮮人参などの詰め物がしてあって、味がよくしみこんでいるのだ。朝鮮人参はちょっと苦手だったが、韓国に来て一番おいしい食事だった。

<水は飲むべからず>
ソウルの水道水、今まで口にした中で最悪の味だった。旅先で生水は飲まないものの、歯を磨くときですらその臭さに我慢ができなかった。きっと、私が田舎育ちで、水のきれいなところに住んでいるから耐えられなかったのもあるかもしれないけど。頭痛薬を常用している妹はもちろんミネラルウォーターを買って薬を飲んでいたが、歯磨きさえミネラルウォーターでしていたくらいだった。

●ショッピング●

*骨董品街*
1日目の夜は東大門市場を歩いた後、静かな骨董品外のようなところに連れて行ってくれた。私も妹も、あまりショッピングをしないほうだ。骨董品街は道路は舗装されていないものの、静かでいいところだった。もちろん高いものは買えないが、雰囲気のいい雑貨屋さんで少しのお土産を買う。

*東大門市場*
ソウルのショッピングと言えば、やっぱりここがメインなんだろうか、どこを歩いても人であふれかえっている。いろいろなものが並んでいて、見てみたくなる。売っている人、値切っている人を見ているだけでも楽しかった。日本の海賊版のCD、普通に売られているし。すごかった、日本人の女の子、片言のハングルを使ってがんばっていた。
ここで私も値切り初体験。自分から吹っかけたわけじゃない。レジの近くにあるピアスを眺めていたら、若い女性の店員さんが自ら値段交渉をしてきたのだ。そんなに高くなかったのだが、「うーん」とわざとらしく渋っていると、2組でこの値段はどうかと聞いてきたので、買った。ゼホンは私が買い物をしている姿を見ると、さっとやって来て
「姉ちゃん、ちゃんと値切った?」
よく見てやがる。はいはい、値切りましたよ。
ゼホンは、妹がお土産に雑貨を買おうとしているときも露店のおばちゃん相手に値切りまくっていた。しっかりおまけもつけてもらっていた。すげっ!
一つだけ買って置けばよかったと思うものはメガネだった。ひとつ3,000円程度の値段で、すぐできるという。それは次回としよう。

*売れてるCD*
私たちが行ったときは、「シュリ」がヒットした後くらいで、現在の韓流ブームが来るなんて想像すらしなかった。とりあえず、韓国で一番売れているCDを買うことを決めていて、ゼホンに通訳してもらって1枚ゲットした。Uh Miung Hwaという歌手のベストCD。歌手兼女優らしい。でも、知らない。

●韓国、へえ~の話●

現地の友だちや知り合いと行動すると、いろんなおもしろいことがわかって楽しい。ここではちょっとしたこぼれ話を少し。

*交通ルールは守りましょう*
日本でもバス、タクシーのレーンが街中に行くとあるが、自家用車が走ったとしてもそれほど厳しい規制はない。注意程度のものだろう。しかし、韓国では監視カメラが一般車両の進入をしっかり見張っているのだ。もし、バスレーンを走れば罰金だそうだ。

*地球に優しい韓国?*
とっても感心したこと。それはバスの定期券だ。今は定期などを使わないが、日本はまだ使い捨てだと思う。しかし、韓国では使い捨てではない。あのレジに通すポイントカードみたいに、期限が切れたらお金を払い、またカードを更新するのだ。
それから、民俗村へ行く前に、ワンヨンくんがガソリンスタンドに立ち寄った。でも、ガソリンを入れているふうではない。液体ではない気体のガスを入れてるんだそうだ。妹と思わず「へえ~!」。

*本当の呼び名は?*
町を歩いているときに、とてもきれいなチマ・チョゴリを見つけた。きれいだなと思って立ち止まってみていると、ワンヨンくんが
「これ、韓国語ででなんていうか知ってる?」
と聞いたので、チマ・チョゴリだと答えた。ワンヨンくんは、それは韓国ではハンボと呼ぶと教えてくれた。チマ・チョゴリというのは、ハンボの中の衣装のひとつなんだそうだ。本当かいな?

*子どもは国の宝*
景福宮を散歩していると、ある親子がいた。3,4歳くらいの女の子だろうか、とてもかわいかった。
「あの子、かわいいね」
とワンヨンくんにいうと、ワンヨンくんはその親子に近づき、女の子を抱えてあやし始めた。女の子もキャーキャー笑って喜んでいるし、そのこの両親もニコニコ顔で見ている。ワンヨンくんに知り合いなのかと聞いたら、なんと、まったく赤の他人。韓国では知らない子でも話しかけたり、抱っこしてあげたりするのはごく当たり前のことなんだそうだ。妹と私が驚いていると、
「日本ではよその子を抱っこしたり、遊んであげたりしないの?」
と聞いてきた。日本でそんなことしたら、子どもの親に叱られるし、子どもの安全のために、知らない人とは話さないように親や学校に教育されていると話した。よその子でもかわいがって、叱れる国、ちょっとうらやましくもあった。

*怖いもの*
ワンヨンくんは日本について詳しかった。日本人の彼女といっしょに、日本のホラー映画を見たそうだ。それはとても怖い「リング」。でもワンヨンくん、あんなのちっとも怖くなかったんだそうだ。韓国人は、幽霊とかじわじわって来るものはあまり怖くないっていっていた。それよりも、モンスターのほうが怖いんだそうだ。しかし、今は韓国にも「ボイス」とか「箪笥」とか怖い映画がたくさんある。本当はどっちなのかな?

*なぜわかる?*
ゼホンにしても、ワンヨンくんにしても、日本人と韓国人の見分けがすぐつくようだ。町を歩いていても、
「あれ、日本人。あ、あれも日本人」
と、話をしなくても当てて見せる。なんでかと聞いても、ただなんとなくわかるのだそうだ。すごい。私には見分けがつかない。つくとしたら、化粧の濃さのみ。
しかし、妹は韓国人に韓国語で話しかけられていた。「Japanese」と言うと、去って行ったんだそうだ。色白で無表情だからか、彼女は?

●そして、やっぱり珍道中●

*間違い発言*
韓国の政治家の話をしていたときだ。私は時の大統領、キム・デジュン氏の名前をいったつもりだったが、思いっきりキム・イルソンと言ってしまい、ゼホンに
「それは北朝鮮の先のリーダーで・・・」
と突っ込まれてしまった。ああ、恥ずかしかった。

*なんちゅうこと聞くか!*
景福宮で入場券を買っているときだった。日本人の彼女のいたワンヨンくんが私と妹に聞いてきた。
「日本ではぁ、エッチしているとき、何て言えばいいの?気持ちいいとかって言えばいいの?」
一瞬沈黙。
「さあ、何も言わなくていいんじゃない?」
と適当にごまかしておいた。女性になんて事を聞くんだ???彼女に聞け!

*ダンス・ダンス・レボリューション*
私たちが行ったとき、なぜかダンス・ダンス・レボリューションが大流行だった。ゲームセンターで、平日だろうが昼間だろうが夢中で踊りまくっている人がたくさんいた。中には、会社員らしきスーツ姿の人までいる。ゲームセンターで遊ぶ人や韓国の若い人を見てゼホンがこう言った。
「何でもかんでも日本の真似して、格好悪いよ」
そんなゼホンの好きな音楽は長渕剛。

●そして帰国●
妹と私だけバスに乗って空港に向かうはずだったが、ゼホンが心配していっしょに空港まで来てくれた。チェックインカウンターで順番を待っていると、閉まっていたカウンターのひとつが開いた。その瞬間、ゼホンは私と妹の荷物を両手に持つと、ものすごい速さで開いたカウンターに移動したのである。私と妹は唖然・・・。
「姉ちゃんたち、パスポートとチケット出して」
手続きををえるとゼホンはこう言った。
「韓国人はねー、せっかちなんだよ」
はい、3日間見ててよーくわかりました。


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