漕いでも故意でも岩場に近づけず…?



静岡県東伊豆伊東市宇佐美海岸に、

有名な石鯛場として過去に実績のある岩場がある。

その当時は、まだ海岸線にバイパスは走っておらず、

サンハト屋ホテルも無く、埋め立て地など無かった時代であった。

しかし、もうその時代には、渡船業者(離れた岩場に乗せてくれる船)は

存在せず、その1番の釣り場、「サバ根」には

人の乗っているのをみたことがなかったのである。

昔石鯛が、バカスカ釣れた岩場、何年も人の気配が無いとくりゃ、

もし、その釣り場で釣が出来れば!

ハハハ…大釣り間違いないって!

そこで、登場とくればである、そう、

お待ちかね、我らひょうきん族の御頭、四郎ちゃんの登場と相成るのである!

日曜、夜中の2時に清水を小型2トントラックに、

ゴムボート、イカリ、釣竿、道具など、必要以上の荷物を乗せ、

目指したのは、伊豆半島東伊豆宇佐美のサバ根である

途中、餌のサザエを買うために、伊東まで足を伸ばし、

当時駅のそばにあった、海女屋で仕入れ、釣り場に逆戻りと相成った!

トヨタカローラの会社の近くの路上にトラックを止め、

ゴムボートに空気を入れ、

ゴロタバ(大小の石が転がっている海岸)の波打ち際まで降し、

釣り道具など、船が沈むことなど考えず積み込んだのである。

波の合間を待って、船に飛び乗り、四郎、共々危ない船出である、

大きな波は無いものの、船の荷物は限度ギリギリ!

少しの波にでも、水が入ってくるではないか!

オーマイガット!

何とか、所々点在する岩礁を避け、

ゴムボートに穴あくのは免れたようだ!

岩場に近づくにつれ、雄叫びを上げている奴が出た?

誰だそいつは?

そうなんです、四郎ちゃんなんだよな!

目的の岩場目掛けて一目散にオールを漕いだ!

先ずは先端に構えた四郎が、両手で岩場にしがみついた!

オールを漕いでいるおい等も、必死の思いで、故意で漕いだ?

ちゅうのは難なんだ?

岩場に近づこうと漕いでいるつもりが、なかなか近づかない?

四郎ちゃんも必死で引っ張っているのに、

岩をしっかり掴んでいる手と胴体が離れていくではないか?

おかしい?

四郎ちゃんの伸びに限界が迫っていたのである、

ちょっと瞬時に考えた?

波も無いのに、どうして、岩場に着けないのか?

やっと気がついたのは、

今四郎ちゃんが正に落ちようとしている瞬間であった!

私の漕いでいる方向が逆だったのだ!

岩場から必死で離れるように漕いでいたのである、

気がついた私は、咄嗟に漕ぐのを正常に戻し、全力で漕いだ!

岩礁と四郎が正に離れようとしていた瞬間、

突然岩場に顔から上陸したのである?

誰がって?我らひょうきん族の御頭がである、

顔は擦り剥くは、伸ばした筋肉は痛むは散々だったんだと?

後で聞いた話によるとである

もちろん、今でもあの時のことが思い出され、話題に上るのだが、

未だ、詳しい事情は話していない、

なぜ岩礁から離れて行ったかを!

釣り始めて何度も餌取りはあるものの、本命の石鯛の当たりも無いまま

帰りは、海岸線での上陸で、散々波にもまれ、

ズブ濡れで着替えも無いまま、

フル珍でトラックのヒーターで体を温めながら、全速力でぶっ飛ばし

命からがら、二度と冒険はしないと心に誓った!のであったのだが?

つづく


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