金城オジィ

















金城オジィ















私の住むK町のC区には、昔金城オジィと呼ばれるおじいさんがいました。


昔といっても私が小学生くらいのときですけどね。


大人はあまり知らなかったかもしれないけれど。


子ども達は知らない人はいないというほど有名でした。


きっと私と同じくらいの歳の人は金城オジィという名をよく耳にしたはずです。


私たちが金城オジィと言われると思い浮かべるのはたった二つです。


一つは「酔っ払い」。


二つめは「耳食べるよー」といぅ言葉。





そぅです。


金城オジィはかなり有名な酔っ払いオジィだったのです。


金城オジィはあらゆる所に出没していました。


曲がり角だったり公園だったり。


べつにただ酒を片手に酔っ払いながら歩いているだけで、そんなに迷惑な人ではなかったと思います。


でも金城オジィには「耳食べおっさん」というあだ名が付くほどに


「耳食べるよー!」と言って子ども達を脅かすといぅ癖があったのです。


たまに道端ですれ違って後ろから「耳食べるよー」と言いながら追いかけてきたこともありました。


ある日、私が近くの商店で豆腐を買って帰ろうとすると


曲がり角に金城オジィが座っていました。


私は恐る恐る反対側の塀にはりつきながら金城オジィの前を通り過ぎ、思いっきり走り出しました。


すると














耳食べるょぉー!!!!














と言いながら、寝ていたはずの金城オジィが突然起き上がり追いかけてきました。


私は「 あ゙ー!! 」と言いながら別の複雑な細い路地を走り回って家まで逃げ帰りました。


金城オジィは家の前まで来ると、何事もなかったのように通り過ぎていきました。


友人Nは、友達と一緒に追いかけられてほかの友達の家に逃げ込んだこともあるらしいです。


私の妹はマンションの駐車場で寝ているのを発見して、死んでいると勘違いして通報しそうになったこともあります。










それから何年か経ったある日。


金城オジィの姿をあまり見かけなくなった頃でした。


友達が教室に入ってくるなりこう言いました。





「金城オジィがよぉ、死んだって!」





私たちは、最初誰のことか分からなかったけど誰かの「耳食べおっさんなぁ?」といぅ言葉にいろいろなことがフラッシュバックして


みんな急に自分の金城オジィに関する思い出を語り始めました。


「パンダ公園で食べられそうになったぜ」


「しに追いかけられたー」


「チャリで追いかけてきたばーょ!」


「塩とフォーク持ってたょや!」


など。


みんな、金城オジィが死んだと言っているのになぜかイキイキとしていて。


とても不思議な感覚でした。


それまでは金城オジィのことを忘れていた人も、すごい笑顔で金城オジィのことを話してる。


私は、わくわくしたといぅか明らかにみんなは「興奮状態」にあって、目がきらきらしてたと思います。








金城オジィは酒の飲みすぎや歳のせいもあって、高血圧で倒れたらしいということでした。









私は今でも考えるのです。


あの角を曲がると金城オジィがでてきて「耳食べるよー」と脅かしてくるんじゃないかと。


あの頃は怖くてしかなかった金城オジィも、いざいなくなってしまうと物足りなさを感じます。


小学生の頃の通学路を通ると、金城オジィが酒を片手に歩いている様子が浮かんできます。













親しかったわけでもないし、金城オジィがいなくなって変わったことはそんなにありません。


でも何かが足りないと感じるのです。


小学校の同級生と会うとよく話題にあがるのです。


金城オジィが亡くなったと聞くまで金城オジィのことなんて忘れていた人も


なぜか思い出してしまうのです。










金城オジィは今も、子ども達の貴重な思い出の一部なのです。












あの場所


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: