Salon de Ciel

Salon de Ciel

Boys-初彼


アジアンとブラックのミックスで、正に「半分づつ」の顔立ちに体つきで、BETを見ながら、アジアンフードを間違った箸の持ち方で食べるような奴だった。

出会いは初めて行ったクラブで、一緒に踊った後に携帯の番号を聞かれた。1週間後にデートの約束をして、その間はドキドキしっぱなしだった。

やっと来たデートの日。
彼は無精ひげを生やして、全然おしゃれでない格好で現れて
かなり私をがっかりさせた。
あーあ、はずれだ。とすら思った。

そんな事を思ってたけど一緒にいて落ち着くというか心地良くて、
ずるずると何回もデートをしているうちに、なんとなく付き合うことになった。私がふと言った「I like you」を彼は「付き合って」と取ったらしい。
照れくさそうに「I like you too」と答えて、私たちは正式に付き合い始めた。

私は人生で初めて「誰かのもの」になったんだ、と思うと
叫びたいほど嬉しくてドキドキした。


でも、今考えるとCは、私の事が好きだから付き合ったというよりも
私しか会っている女の子がいないから、
「まー、いっか。」のノリで付き合ったんだと思う。

特別「あ~、私って大事にされてる!」と感じたことはなかったし、
むしろ「あたしって一体何なんだ?!」と思う時の方が何倍も多かった。



だけど、一緒に居る時はすごく優しいから

どこかに行きたいと言えば連れて行ってくれるし、
泣けば抱きしめてくれてくれるし

それに、別れる理由もないし、と付き合い続けた。


私はその時に過ごしていた国を離れることが始めから決まっていて
Cと正式に付き合い始めた日から帰国までもう4ヶ月しかなかった。


彼には何度も腹が立って、私は「この人とは、ずっとは続けるのはムリだ。」と、ぼんやりと思いながら、とにかく一緒に居る間にいい思い出を作ろうと思った。あれは恋愛だったのか、ワンナイトスタンドに毛が生えた程度のものだったのか、今でもよく分からない。ただ、あの時、その一瞬一瞬だけはCが好きだった。・・気がする。


帰国の日。
暗黙の了解のように、これからの2人の関係をどうしよう、なんてどちらからも言い出さずに、私たちは空港でハグとキスをして別れた。



今、彼に会いたいとは全然思わないけれど
でも、もし会う事があれば一つだけ聞いてみたい。


私のこと、少しは大事に思ってくれてた?

って。


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