女子高生Aの日記(仮)

女子高生Aの日記(仮)

夕暮れ空と あなたの手

夕暮れ空と あなたの手




できないことなんか あるはずない

叶わない夢なんか あるはずない

永遠の夜なんか あるはずない

限界点なんか あるはずない




何度も 何度も 反芻する言葉

甘ったれた私を 覆いつくす言葉

でも

敷き詰めた言葉は いつの間にか隙間が開いて


そこから見える 目




膝を抱えて 小さく丸まって 

小さな部屋の隅で震えてる

誰かが手を差し伸べてくれるのを じっと待ってる弱い動物

けれど その 目

その目は 打算と狡さの底無し沼で


本当は 歩けるくせに

本当は 飛びたてるくせに

「できないよ」

そう呟いて 俯いて 力なく首を振って

優しい誰かを待っているんだろ?




もう手に負えない 弱い私

一体どうしろっていうの? 

何度向き合っても同じ

私にさえ猫をかぶって 「ここから出して」と訴えて


いつしか背を向けた 

あの小さな部屋

存在さえも忘れかけてた

あの白い動物




できないことなんか あるはずない

叶わない夢なんか あるはずない

永遠の夜なんか あるはずない

限界点なんか あるはずない




何度も 何度も 唱えた言葉

いつか擦り減って 薄くなった言葉

開いた傷を隠せなくなって

1人途方に暮れていた




まだ 覚えてる 夕暮れの空

人の流れが追い越していく 落ちこぼれの私の隣 立ち止まって

傷だらけの手をとってくれた人

慰めも励ましも言わないで ただ「大丈夫?」と訊いてくれた


それだけで

その優しさだけで

しみるように痛んだ傷が 少しずつだけどふさがって

…信じられる?


忘れかけてた あの小さな部屋で

膝を抱えていた動物が 顔を上げた

「歩けるかな」「飛べるかな」


聞こえたはずないのに 

真っ直ぐな目で頷いて見せてくれた人




あの日から 景色に色がついたの

今までモノクロだったって やっと気付いた

あの日から 心に羽が生えたの

胸の奥の小さな部屋で 妖精が目を輝かせてる




春色の混じり始めた 柔らかい青灰色の空




そう言えば 長い間 

あの言葉たちを 取り出してない

走って転んで すりむいた傷を

覆い隠して目を逸らす

そんな風に 遣われていい言葉じゃなかったね




あなたが隣にいてくれるから

ひどい怪我をしても 大丈夫

甘ったれの自分を じっと待ってあげられる


手を取ってくれるのが

いつでも優しい言葉をくれる

あなただからこそ


辛くもないときには 甘えない

そう誓って 背筋伸ばして歩いて行けるんだ




まだ やっと真っ直ぐ歩き出したばかりの 私

だから あなたの傷跡には 指先も届かない

だけど 待ってて

いつか いつか その傷を両手で包みたい

胸の小部屋に閉じ込められた もう1人のあなたの 

泣き出しそうな問いかけに 頷いてあげたい


夕暮れの空の下 その手のひらからもらったぬくもりを

私からあなたに もう1度




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