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女子高生Aの日記(仮)
蒼穹の昴
『蒼穹の昴』(上)(下)
作:浅田次郎
出版:講談社
☆あらすじ
舞台は清朝末期の中国。
農村の領主の息子・梁文秀は、一家の期待の星であった兄を下して、管理の試験である科挙に1位の成績で合格する。
一方、文秀の試験の後、母と兄を貧しさのために亡くした糞拾いの息子・春児(チュンル)は、村の占い師白白太(パイタイタイ)の「汝は必ず、西太后の財産をことごとく手中に収めるであろう」という予言を信じて、宦官になろうと決断する。
やがて、それぞれの分野のトップに彼らが登りつめたとき、清朝は崩壊の危機を迎えていた…。
★ひとこと
毎度のことながら、歴史小説は良いですね。
大河の流れの中の、1枚の木の葉に焦点を当てている分、正確さは欠くかもしれませんが、実感がやはり違います。
中国は、近いのに文化や習慣はかなり違うし、国の規模も日本から見れば有り得ないくらい大きいです。だから、「科挙」「宦官」などの単語は知っていても、どうも実感の湧かないところがありました。
でも、科挙の試験の様子など、本当に見てきたようで(笑)。
私のお気に入りの場面は、職を退いた(宮廷から追放された)宦官たちの集まって住んでいる下町の寺で、春児が宦官となるための訓練を受ける場面です。春児は正規の方法とは少し違う手順で宦官になったので、後ろ盾になって宦官の作法や仕事を教える、後見人がいないんですね。だから、偶然に拾われてそんなところで指導を受けるわけですが…。
そこに集まっている宦官達の経歴が、またすごい(笑)。
料理の名人だったり、掃除の達人だったり、雑技の神様だったり。
宦官の仕事というのは、後宮の仕事一般ですから、普通の召使がやるようなことは全部やるわけです。
新人の宦官は、一番辛い掃除なんかに回されて苦労するわけですが…春児の場合は
教師陣が最強
ですから。それに、みんなかなりの年なので、春児にかつて名人といわれた技をできる限り受け継がせようとするわけです。
そんな春児が後宮で成功しないはずもなく、そういうところがまた爽快なんですよね(笑)。
勿論、シリアスな場面もたくさんあって、最後の場面の主人公は梁文秀ですが、本当に…なんというか、暗いんですよ。ネタバレなんで言えませんけど。(今までのはなんだったんだ…)
でも、読後感としては、やはり感動です。
歴史の流れはあまりに大きくて個人の意思など飲み込んでしまう。昨日まで信じていた大きなものさえ、いとも簡単に崩れ去ってしまう。けれど、それでもそこで諦めるわけじゃない、そんな人間の姿を見ました。
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