☆High School Life☆

2 楽器出会い編


 ● 楽器出会い ●


 初日の翌日、私はまず昨日サックスについて色々してもらった先輩に

 「先輩スイマセン。私やっぱりサックスは無理でした。」

 と謝った。先輩は

 「はい。」

 と、流しソーメンがただ下流して行くのをただ見守っているだけの人のように、私を引き止めたりはせず。サッと流れる私を許してくれた。うちが「サックス無理」と言った意見に対して一切疑問を抱かなかった為である。

 そして次に私はトランペットを勧めてくれた先輩に、

 「これからお世話になります!よろしくお願いします!!」

 と挨拶した。先輩達は特に驚いた様子もなく、快く迎えてくれた。そして楽器庫から黒いケースを一つ持ってきてうちの目の前にドサッと置いた。

 「はいっ三年間お世話になるビス子ちゃんの相棒だよ♪」

 ちょっと感動した。これからの三年間、沢山の思い出と経験がこの楽器にいっぱい吹き込まれていくんだなと思うと胸がドキドキした。

 「あ!このトランペットってナハヨじゃない!?」

 「本当だっナハヨだ~!!」

 「えっナハヨって・・・?」

 「ほら、ここのとこに製造番号あんじゃん?後ろから三桁の数字が784だからナハヨ(笑)」

 「ビス子ちゃんがナハヨ使うんだ~♪」

 ・・・きっと今年卒業した先輩がこのナハヨを使っていたのだろう。そう思うとこのトランペットには代々先輩達の思い出が既に詰まっていて、今度はうちがコイツに吹き込む番なんだっと、またドキドキしてきた。こんなにナハヨに愛着があるという事はよっぽど先代のナハヨ吹きは上手かったんだろうな・・・早く立派なナハヨ吹きになりたいと思った。





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