《櫻井ジャーナル》

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2013.01.18
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルジェリアの東部、イナメナスで天然ガス関連施設が襲われた。襲撃グループは人質をとって立てこもっていたが、軍の作戦で30名以上の人質が死亡、その中には7名の外国人が含まれているという。

 フランス軍がマリに軍事介入する口実を作ったAQIMは元々アルジェリアで活動していた勢力。このことは本ブログでも書いた通りで、活動基盤はマリよりアルジェリアの方がしっかりしている。一昨年の8月、まだ リビアで体制転覆を目指す戦争が続いている時期に、「次はアルジェリア」だと言われていた

 AQIMと一心同体の関係にあるLIFGはリビアでNATO軍が地上部隊として使っていた。1995年の創設され、指導部はアフガニスタンでソ連との戦争に参加していた人びと。つまり、アメリカの情報機関や軍の訓練や支援を受けている。

1996年にはムアンマル・アル・カダフィの暗殺を試みたが、その際にMI6(イギリスの対外情報機関)は、総額で16万ドルをLIFGに提供しているとMI5(イギリスの治安機関)の元オフィサー、デイビッド・セイラーも語っている

 勿論、 イギリス政府はセイラーの主張を否定 しているが、説得力があるとは言えない。イギリスのオブザーバー紙は、リビアの暗殺グループを動かしていた人物としてMI6のふたり、つまりリチャード・バートレットとデイビッド・ワトソンの名前を挙げている。

 MI6は要人暗殺に逡巡するような組織ではない。例えば、1992年には、ユーゴスラビアのスロボダン・ミロセビッチ大統領の暗殺しようと検討している。必要ならば、いかなる手段でも使う。

 当時、MI6の工作員として東ヨーロッパに潜入していたリチャード・トムリンソンによると、(1) セルビアの反体制ゲリラを使うか、(2) イギリスの特殊空挺部隊と特殊ボート戦隊を使うか、大統領がジュネーブの会議に出席する際、自動車事故に見せかけて殺害するか、ということが検討されたという。

 検討の結果、暗殺は実行されずに空爆を選択した。1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃したのである。この際、事前にNATO側が偽情報を流していたことは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』に書いてある。このユーゴスラビアへの軍事介入でもNATOはアル・カイダ系の武装集団を利用、コソボを奪い取ることにも成功した。

 イギリスがカダフィ暗殺計画に使ったLIFGをアメリカ側は「テロリスト」だと認識していた。例えば、2004年にジョージ・テネットCIA長官(当時)は上院の情報委員会で証言、LIFGはアル・カイダと関係しているとしている。また2007年に出された米陸軍士官学校の報告書でも、LIFGとアル・カイダとの協力関係が指摘されている。そして2007年11月、LIFGは公式にアル・カイダへ加わった。同じ年の1月にはAQIMも公式にアル・カイダの一員になった。

 2007年は中東/北アフリカ情勢が新しいステージに入った年だとも言える。アメリカの調査ジャーナリスト、 シーモア・ハーシュ によると、この時点までにアメリカはイスラエルやサウジアラビアと話し合いを進めている。その結果、イランを脅威だと認識し、シリアのバシャール・アル・アサド体制を弱体化させるためにサウジアラビアが資金や物資の援助を行うということも共通認識に含まれていたようだ。

 カダフィ政権が倒された後、LIFG/アル・カイダの戦闘員は武器を携えてシリアへ移動して体制転覆を目的に戦争を始めた。こうした軍事侵攻の黒幕は、湾岸産油国やイギリス、アメリカ、フランス。

 シリアでもイスラム武装勢力は建造物を破壊、住民を虐殺して社会システムを崩壊させている。「西側」のメディアがシリア軍の仕業と宣伝していたホウラでの虐殺も、実際は反シリア政府軍、より具体的にはサラフィ主義者や外国人傭兵が実行したと 東方カトリックの修道院長 フランクフルター・アルゲマイネ紙 などドイツのメディアは伝えている。

 「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は、地上の真実と全く違っている。」と修道院長は語り、キリスト教の聖職者、 マザー・アグネス・マリアム は外国からの干渉が事態を悪化させていると批判している。

 こうした指摘を無視するということは、軍事侵略を確信犯的に支援していることを意味する。湾岸産油国のひとつ、カタールの王室が支配するアル・ジャジーラは勿論、イギリス、フランス、アメリカ、日本など「西側」のメディアはそうした類の「報道」をしてきた。マリやアルジェリアに関する「報道」でも姿勢に変化はない。





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最終更新日  2013.01.18 15:01:04


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