《櫻井ジャーナル》

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2013.04.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 朝鮮半島の軍事的な緊張が高まっている。アメリカのプロ・バスケットボールのスターだった デニス・ロッドマン を招待するなど、一時期、朝鮮はアメリカに友好的なサインを送っていたのだが、3月11日にB-2ステルス爆撃機やイージス艦も参加した米韓合同軍事演習を始めると、板門店の南北直通電話を遮断するなど強硬な姿勢を見せる。それに対してアメリカはF-22ステルス戦闘機をオサン(烏山)空軍基地に配置、朝鮮を威圧している。

 しかし、朝鮮のGDPは日本の年間軍事支出の半分程度にすぎず、日本のGDPの1%以下だという。つまり、日本やアメリカの軍事力、生産力を考えれば、脅威と呼べるような存在ではない。

 そもそも、海岸線に原発を乱立させていることを考えれば、ミサイルを撃ち込むより、特殊部隊を潜入させて原発を破壊すれば済む話。いや、建設中にエージェントを潜り込ませ、爆弾を仕掛けるという手もある。(イスラエルはイスラム諸国の重要な建造物に爆薬を仕掛けているとモサドの元工作員が証言している。)つまり、日本の支配層は軍事的に攻撃されることを想定していない。もし、間抜けにもそうした事態を忘れていたとしても、今、原発再稼働を口にするはずはない。

 しかし、逆に朝鮮がアメリカを恐れていることは確かだろう。アメリカの支配下にある日本や韓国も警戒しているはずだ。

 今回、朝鮮は休戦協定を破棄すると宣言したようだが、勿論、この休戦とは朝鮮戦争の休戦。1950年6月から始まり、休戦は53年7月。この期間にアメリカは大規模な空爆を繰り返し、作戦を指揮していた米空軍のカーチス・ルメイも人口の20%を殺した語っている。30%が犠牲になったともいう。現在の日本に換算すると、2600万人、あるいは3800万人が殺されたことになる。この悪夢は記憶から消えていないだろう。

 ところで、日本ではこの戦争を仕掛けたのは朝鮮だと言うことになっている。が、正しいとは言えない。元特務機関員で戦後はアメリカの情報機関でエージェントとして働いていた中島辰次郎によると、その年の2月には金日成軍に対する挑発行為、つまり偽装帰順し、相手の将校を皆殺しにするという作戦を繰り返していたという。「開戦」前から小規模な軍事衝突は頻発していたとも語っていた。

 また、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいた歴史家のジョン・ガンサーによると、半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだったという。「開戦」の2日前から韓国軍は北側を空爆し、地上軍は海州を占領したとも言われている。

 朝鮮半島へ潜入する前、中島は中国で活動していた。当時、アメリカ政府が支援していたのは国民党軍。その勢力の敗北が避けられないと判断したアメリカは、天安門広場にコミュニストの幹部が勢揃いする時に全員を暗殺、それを合図に偽装帰順していた部隊を蜂起させて一気に形勢を逆転するという計画をたてた。が、途中で情報が漏れて取りやめになり、始まったのが朝鮮半島での工作だという。

 朝鮮戦争の最中もアメリカは中国への軍事侵攻を試みている。1951年4月にCIAは国民党軍の兵士を率いて中国領内に軍事侵攻、1952年8月にも再度攻め込んでいるのだが、いずれも中国側の反撃で撃退されてしまった。

 こうしてみると、「朝鮮問題」とは「中国問題」にほかならないことがわかる。アメリカが朝鮮との講和条約締結を拒否してきた理由のひとつも、中国を念頭に、火種を残しておきたかったということだろう。この点、尖閣諸島と似ている。

 その朝鮮半島が1998年に焦臭くなった。この年、アメリカでは金正日体制を倒し、韓国が主導する形で新しい国を作るという「OPLAN 5027-98」が作成されたのである。その翌年、朝鮮の国内が混乱して金体制が崩壊した場合を想定して「CONPLAN 5029」も作成、さらに2003年には核攻撃も含む攻撃計画「CONPLAN 8022」も仕上げられている。

 1999年6月、そして2006年6月にも韓国と朝鮮の艦艇が交戦しているが、2008年に韓国で李政権が誕生すると、一気に東アジアの軍事的な緊張が高まった。まず2009年11月の韓国海軍の艦艇と朝鮮の警備艇が交戦しているのだが、その前月に朝鮮側は韓国の「領海侵犯」を非難していた。

 そして2010年3月、領海をめぐって対立している海域で軍事演習中だった韓国の哨戒艦が爆発、沈没している。当初、国防大臣も国家情報院長も朝鮮が関与した証拠はないと発表していたのだが、5月になると、韓国政府は沈没の原因を朝鮮軍の魚雷攻撃にあると主張し始める。

 この主張には疑問が多く、例えば、アメリカのロサンゼルス・タイムズ紙も韓国政府の説明に疑問を投げかける記事を掲載した。さらに、韓国駐在大使を務めた元CIA高官の ドナルド・グレッグも疑問の声 を上げている。ハンギョレ新聞のインタビューでグレッグは、韓国政府がロシアの調査を妨害し、ロシア側は不満を抱いているとする話を紹介、さらに中国政府が調査チームを派遣しなかった事情を中国政府高官の話として語っているのだ。

 そして11月に韓国軍は大規模な軍事演習を領海問題の海域で強行、韓国での報道によると、この演習には沖縄に司令部のある第31MEU(海兵隊遠征隊)が韓国駐留の第7空軍と参加したという。そして延坪島への砲撃があったわけである。

 こうした出来事も考えるときも、中国とアメリカの好戦派(ネオコンや戦争ビジネス)との関係を考慮する必要がある。現在、アメリカと中国とは経済的に深く結びつき、中国の若手指導者は親米派が多いと言われているのだが、敵対関係にあることも事実。ネオコン系シンクタンク、PNACが2000年に公表した報告書『アメリカ国防の再構築』は現在のバラク・オバマ政権にも影響を及ぼしているのだろう。東アジアを潜在的ライバルとして警戒すべきだと書かれていた。

 アフリカでもアメリカと中国、両国は激しく衝突している。先月、 中央アフリカでミシェル・ジョトディアがクーデター を成功させたが、すぐにフランスは500名以上の部隊を派遣して新政権を支援する姿勢を見せている。この新政権が先ず行ったことは、前政権が中国と結んだ石油に関する契約の見直しだった。

 このケースに限らず、中東/北アフリカでは中国を含むBRICSの影響力を排除して利権を維持拡大するため、アメリカ、イギリス、フランスなどが活発に動いている。中国とアメリカとの関係は微妙だ。





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最終更新日  2013.04.02 13:00:23


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