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☆.。.:*・゚ Cooral Reef ☆.。.:*・゚
第2話
「……サボリの材料にされたのよ…」
「でっ、何処までいってるの?」
「……まだ…そんなカンケ-じゃ…」
「…ってあんたら、結構付き合い長いわよねぇ…」
「……1年…」
「ってゆ-か…彼の家にほぼ毎日通ってるのに、何も無いわけぇ?」
俯いたままの夏輝に”人は見かけによらないものだわねぇ”と
教室の隅で友達とふざけている拓哉に目をやった。
何もないわけじゃない…ただ…私が拒んでいるだけで…
机の上におでこをくっつけて丸くなって目を閉じた。
昨日よく眠れなかったせいか…とても眠い…
「…どうした?」
いつの間に来たのか、横に立った拓弥に、友人は気をきかせて席を空けた
「…おはよう…」
「…あぁ。今日はちゃんと来たぞ。」
「あたりまえ。」
「…どっか…具合悪いのか?いつも以上に…顔が白いぞ…」
そういうと、前の席に座り夏輝の前髪を指で掬った。
「…うん、ただの寝不足…。大丈夫だよ…」
「…帰るか?送るぞ…」
「…いいよ…どうせサボりたいだけなんでしょ?」
力無く微笑む夏輝に
”心配してんのに、ひっでぇなぁ”と、夏輝の机に頬杖をついた。
じっと見つめられ…思わず目を逸らす。
一年付き合っても、毎日逢っても…全然慣れない
いつもいつもドキドキして…胸が苦しい
「…恥ずかしいから…あんまり見ないで…」
「あ?俺の彼女を俺が見て、何が悪ぃんだよ…」
「…彼女…なんだ…」
「あの-…」
後ろから背中をつつかれた。
「…もう担任来てるんですけど。」
気付けば教室は”拓哉と夏輝待ち…”
まぁ…よくあることなのだが。
放課後、机に突っ伏して眠っている拓哉を横目にそそくさと教室を後にした。
今日は月に一度の検査の日…
拓哉の靴箱にメモを挟み靴に片足を入れたその時
「夏輝ちゃん!」
靴箱の影から和美が顔を覗かせた
「…たしか今日、病院でしょ?一緒に行こうよ。」
「和美ちゃん…。覚えてたの?」
「当たり前でしょ、何年付き合ってると思ってんの?」
そう言うと、夏輝の横に並んだ。
幼なじみで大親友の和美。
高校は同じだが、普通科の夏輝と看護科の和美では校舎から違うため
めったに顔を合わす事はなかった。
でも月に一度、この日だけはいつも夏輝を待っていてくれる。
「いつもごめんね…」
「いいよ。それにさ、私も月1の夏輝ちゃんとのデ-ト、楽しみなんだ。」
軽くウインクして微笑んだ。
「…拓哉には…話したの?」
「……」
「…気づかないの?体育の時とか…」
「…うちの科、体育は男女別だし…。中学同じなのって、和哉くんしかいないから…。
それに…高校入ってから、ずっと調子いいんだ…」
「でも…もう1年も付き合ってるんでしょ?大事な事なんだから。」
「…うん…なんとなく言いそびれちゃって…」
そう…あの日まではなんとなく言わなかっただけで…。
日常生活に支障があるわけじゃないし…。
3ヶ月ほど前、いつものように拓哉の部屋で寄り添ってテレビを見てた。
そしたら…いきなりキスされて…
拓哉の事、大好きだから嬉しかった。
嬉しかったのに…
心とは裏腹に、私の体は危険信号を発した
すごくドキドキして…
でもその”ドキドキ”は心地よさを通り越して…
私の心臓を締め付けた…
心臓を締め付けたんだ…
「夏輝ちゃん?」
「へっ…?…」
「…どうしたの、電車来たよ。」
「あぁ…ごめん…」
「大丈夫?顔色悪いよ?」
「…平気。ちょっと寝不足なの。」
心配して覗き込む和美から目を逸らし窓の外を眺めた
何を考える訳でもなく…ただ流れる景色を見ていた
「…あの…さぁ」
躊躇うように和美が口を開く。
「賢貴に会ったよ…」
「…えっ?」
「…賢貴、まだ夏輝ちゃんのこと…引きずってる…
それに…夏輝ちゃんの事、すごく心配してたよ…」
「……そう…」
「拓哉の事もすごいしつこく聞いてきたし…なんだか…賢貴…」
電車の扉が開き人が次々と押し流されて行く。
「賢貴…な…」
最後の方…和美の声は聞こえなかった
賢貴くん…
家も近く、小さい頃から体の弱かった夏輝をいつも支えてくれていた。
中2の時…告白されて…
断りきれずに…
拓哉と出会うまで、ずっと付き合ってた。
…元彼…
今は隣町の工業高校に通っているが、別れてから一度も顔を合わせてはいない。
「…ごめん…ね…」
「なんだよ…それ…」
「気になる人が出来たの…こんな気持ちのままでズルズル…付き合えないよ…」
「…夏輝…俺の事が嫌いになったのか?」
「…嫌いになんて…なるわけない…」
「…じゃあ、いいじゃねぇか。俺は夏輝の事が好きだ。」
「…ダメだよ…賢貴くんに…悪いよ…ごめん…」
逃げるようにして別れた。
嫌いじゃない…
そう、最初から。
だけど…恋人の”好き”でもなかった。
だから…
好きって言われる度、苦しかった。
賢貴の強い想いが…怖かった。
強引な彼に、なかなか別れを告げられず。
気が付けば2年も経っていて…
2年も…彼の“愛”に甘えていた。
恋愛感情とは別のところで。
その賢貴が、今もまだ自分を想っている…
なんだか…胸が痛んだ。
「…しゃ…拓弥っ!起きろっ!こらっ!」
鞄で思いっきり頭を殴られ、飛び起きた。
「…ってえなぁ、何だよ…和哉っ」
見ると教室はガラガラ…
とっくに授業は終わっていた。
「…あ-っ。よく寝たっ」
「…何しに学校来てるんだ?」
「そりゃ。おめぇ…な」
「“夏輝に会うため”ね。はいはい。」
拓哉が転入してきて、最初に出来た“不良友達”の和哉
今はクラスが違うが、親友であることには変わりがない。
「あ-…腹減った。何か食って帰ろうぜ。」
「おごり?」
「まさか。おまえにはおごらねぇ。」
「…じゃぁ、駅前の牛丼でも食べますか?」
「だな。…あ?」
靴箱を開けるとヒラヒラ紙切れが舞い落ちた・
“今日は用があるから先に帰るね。明日も学校で会おう!
夏輝”
「お熱いことで…」
後ろからメモを覗き込んで和哉がからかうように笑った。
拓哉はメモをブレザ-のポケットにしまうと看護棟の方を見て言った。
「そういえば、和哉…和美待たなくていいのか?」
「あぁ、和美なら今日は夏輝さんと…」
“拓哉にはまだ黙っててほしいの”
夏輝の言葉を思い出し、口をつぐむ。
「なんだ、和美と遊んでんのか…」
「…そう言ってましたよ。」
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