1曲目、6曲目、9曲目はビートルズ。まず、ジョージ・ハリスンの作品、Something、この曲はジョージが作った中で最高傑作であるだけでなく、ビートルズの作品群の中でもトップ20に入るでしょう。CからCmaj7、C7と半音ずつ降りてくる出だしのコード進行は、多分何百という曲が使っているものでしょうし、その後に出てくるAmの基音が半音ずつ下がるのもよく出てくるパターンで、そういう点ではクリシェがいっぱいです。が、心に残ることは間違いない名品です。そしてジョージのギターソロ。ジョージのギターのテクニックはそれほど評価されていないと思いますが、聴く人の心をとらえることでは一級品です。彼の間奏には他にもたくさん記憶に残るものがあります、Long Tall Sally、She's a Woman、Let It Be、All My Lovingなど。
ビートルズの次の作品(6曲目)はIn My Lifeです。ジョン・レノンの感傷的な歌声で、<人生の思い出の場所、思い出の人、いろいろあったな、もうこの世にいないものもあれば今もそこにあるものもある、これらすべてを僕は愛した>なんて始まりますが、行き着くところは現在の愛、これに優るものはない、というありきたりのラブソング。間奏に入るピアノは、ビートルズのプロデューサーで編曲も手掛けたジョージ・マーティンが弾いてます、作曲も彼のようです。YesterdayやEleanor Rigbyの弦楽奏のアレンジはマーティンだし、Please, Please Meをレコーディングするにあたってスローバラードからアップテンポに変更することを要求したのも彼です。五人目のビートルズと呼ばれるのももっともですね。
ビートルズの最後(9曲目)はDon't Let Me Down、ジョン・レノン好みのペンタトニック・スケール(五音階)の曲。途中で四分の五拍子に変わることで単調さを避けています。どうか僕を捨てないで、とヨーコ・オノに懇願するジョン・レノンの切羽詰まった叫びが印象的です。お蔭でグループは崩壊することになりましたが。ビリー・プレストンはソウル系のミュージシャンですが、1969年の屋上のコンサートでビートルズとともに演奏しています。ジョンは彼をビートルズのメンバーに入れるという意見でしたが、ポールは、バンド自体が解散目前なのに意味がない、と反対したそうです。この曲とGet Backでビリー・プレストンのエレクトリック・ピアノが光っています。
2曲目はビリー・ジョエルのJust the Way You Are(素顔のままで)、間奏でアルト・サックスを吹いたのはジャズのフィル・ウッズですが、手持ちがなかったので、あるテナー奏者がカバーしたものを使いました。エコーがかかりすぎていてあまり好きではありませんが、これ以上のものを見つけることが出来ませんでした。
4曲目はイーグルズのHotel Californiaです。これも間奏というよりエンディングでしたね。ギター二本が吠えるように泣く絡みがそのままフェードアウェイして曲が終わります。ギター奏者はドン・フェルダー(作曲も)とジョー・ウォルシュ。ジェスロー・タルのWe Used to Knowという曲の真似ではないかという指摘もありますが、イーグルズの作品の方が流行っちゃったので後の祭りですか。歌詞の方はドン・ヘンリーが書いたロス・アンジェルスの金持ち社会の退廃した生活の暗喩です。