Cymruのお喋り

Cymruのお喋り

ダグラス窩膿瘍(だぐらすかのうよう)



直腸と子宮間の腹膜腔をダグラス窩といい、ダグラス窩にできた膿瘍をダグラス窩膿瘍と呼ぶそうでございます。

男性に子宮はございませんので、「膀胱直腸窩膿瘍」が正しい病名だそうですが、ダグラス窩膿瘍の方が知名度が高いため男女を問わず診断名に使用されているとうかがいました。


何故、急にこんな話?

と思われる方も多いかと拝察いたしますが、
この病気のこと、是非知っておいていただきたく
場違いは重々承知のうえこちらに書かせていただきます。


あれは今年の新年会。

椅子に座るたびに顔をしかめる20代前半のK君。

「どうしたの?」と聞くと

”座るとケツが痛い”とのこと。

その場におりました年配男性陣に
「お、Kも痔主か」などとからかわれ
渋い顔をしておりました。


その後彼は肛門科を受診。

痔というのは
四足歩行であった人類が直立二足歩行となり
肛門がうっ血しやすくなった結果の症状で
少なくとも3人に1人は自覚無自覚にかかわらず
患っている病気だそうでございます。

K君にも小さな痔はあるが
通院の必要はないとの診断だったそうです。


以上が今年1月の出来事でございます。




3月

お彼岸に親族でお墓参りという恒例行事。
今年は20日の土曜日。


K君、墓参に不参加。

”おしりが痛くて座ることもまっすぐ立つこともできない”

ということでまた
年配男性陣が痔談義で盛り上がり・・・
ご先祖様も苦笑いしていらしたでしょうね(涙目)


ここまでは笑い話。

が、21日朝。





年度末の多忙業務もなんとか一段落。

久しぶりの休日に
外に出ると花粉が飛んでいるしと
自分に言い訳しながらパジャマのまま
朝食を摂っておりますと
携帯が鳴りました。

あ、K君の家からだわと
電話にでますと

「Cym(本当は本名)ちゃん、今どこ?」

「おはようございます。自宅にいますわ」

「ごめん、お財布わすれたの、○△病院まで来てくれないかしら」
ただならぬ雰囲気が伝わってまいりました。

それは自宅から車で5分の救急病院。

「着替えて直ぐまいります」

事情はあとで伺えばよいと判断、
食べかけの朝食を冷蔵庫に放り込み
身支度をして車で病院にむかいました。

病院のベットにうつぶせになっているK君の顔は文字通り蒼白。
目を見開いたまま肩で息をしていました。

20日夜から痛みがひどくなり
市販の痛み止めを服用しても効果なし。

お風呂につかっていると少し楽ということで
21日に休日診療当番になっている病院が9時に開くからと
待っていたそうですが
8時少し前、お手洗いに行きたいと湯船から出て
洗面所に行こうとしたまま、激痛で動けなくなり、救急車を要請。
何とか服を着せ、
救急隊員の方に言われてK君の靴と保険証を持って
救急車に乗り込んだが、お財布を忘れ、
近くに住んでいる私に連絡をいれたとのこと。

本人の訴えは”動けないほどおしりが痛い”

「こんなに痛がっているのに原因がわからないの・・・」

多摩地区でも屈指の大病院ですのに、
治療は痛み止めの坐薬と点滴。

仕事にでていたK君の父親もかけつけましたが
おろおろするのみ。

薬が効いて、なんとか動けるようになったところで
痛み止めの坐薬、経口薬、胃の薬を処方され帰宅。




翌、22日。

振り替え休日。

気になって仕方がないので電話。

坐薬とロキソニンを使っても
相変わらずの激痛にほとんどお風呂につかっている。
救急車呼んでもどうにもならないしね・・

との疲れきったお返事に、お尻が痛いのならば肛門科だろうと
ネットで検索。

大腸と肛門専門の病院を車で30分弱のところに見つけ
病院のHPに記載されていたメルアドに
連休明けでご多忙とは存じますが
出来るだけ早く診察して欲しい旨お送りいたしました。

休日にもかかわらずメールに返信。
診察時間の1時間前に診てあげるからいらっしゃいとの
ご厚情にリアルで(涙目)になりながらK君のお家に連絡。

23日、診察していただいたものの
やはり原因がわからず、心因性では?と
言われ、痛み止めの坐薬、経口薬、胃の薬を処方され帰宅。




この頃にはご家族が疲れきっていらしたので
会社に有給休暇の消化を申請。

丸一日休みは無理!と言われ
日により午前休み、午後休みをとりつつ
家政婦兼運転手。

24日は上記専門病院が休診日だったため
痛み止めとお風呂で温まるの繰り返してなんとか乗り切り
25日再度専門医に受診。

全く改善していないばかりか
痛みが強くなっているK君の様子に先生の顔色が変わり
下半身に麻酔を打ち、詳細に診察。

「ダグラス窩膿瘍」(男性は「膀胱直腸窩膿瘍」)
が見つかり、その場で手術。

おわん山盛り一杯くらいは膿がでたそうでございます。


この病気
何故、膿瘍が出来るのかわかっていないとのこと。

K君のように肛門が痛いという症状の他に
腹痛、発熱、白血球増多、下痢、膀胱障害などの症状を訴える患者さんが多く、
腸炎と診断される。
MRIなどでも見つけることが難しいため
心因性と診断される。

と正確な診断が困難な病気だそうです。

ネットで調べましたら、
お腹を開き、直腸を切開し、膿を排出するのが一般的な治療だそうですが
こちらの先生、肛門からメスを入れ、直接膿瘍を切開、
直腸に沿うように出来ている膿瘍の上のほうに貯まっている膿が
体の外へ排出し続けるようチューブを挿入して
明日、点滴に来るようにと抗生剤と痛み止めを下さいましたので
手術後1時間ほどで帰宅。

普通は10日から2週間入院らしいのですが・・・

帰宅時、麻酔が効いているせいもあり
痛みから解放されたK君に久しぶりの笑顔が見られました。

ご自宅までお送りして
私も帰宅。

帰宅後すぐお湯を沸かしていれたミルクティーの
おいしかったこと(感涙)

こんなにわかりにくく
罹った方もご家族も苦しむ病気があること
お知らせしたく長々としたためました。

どなたかのお力になれれば幸甚に存じます(涙目)


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: