EPISODE 3 ―護衛―


「あぁ~久し振りにテラに帰ってきたなぁ~」
昨日の夜、ここの港を出発して丸一日。久し振りにこの町に帰ってきたと錯覚をする様な充実した一日だった。
埃っぽく、町のあちらこちらから聞こえる喧騒。
ここは砂漠の中の町『シティス=テラ』
ゲート出口をまるで浦島太郎の様に出て、周りを見渡す。いつもの見慣れた景色、匂い、そして道行く人々。少し安心した。
少し町を見て回ろうと気の向くまま歩いてみる。
そこに、一人の赤い装備を纏ったパラディンが空を眺めて立っていた。彼は私の所属するギルド『テンペスト』の一員の【眠りの達人】茶位さんだ。今日もまた眠っているのかと傍に寄ると
「おぉ?Wiz?!」
今日は何とか起きていたようだ。私は嬉しさの余り思わずパーティの申し込みをしていた。茶位さんも快く受諾してもらい、これからどうしようかと悩みながら足を進める。
後ろから茶位さんが付いて・・・来てない。また彼は空を眺め、その場に佇んでいた。
「やれやれ。また後で話そう・・・」
暫く歩く内に町の中央の広場に出た。ここでは多くの取引が冒険者達によって行われている場所だ。ふと、周りを見回してみる。人塵の中に先ほどモンタヌゥス神殿4Fで抜けれなくなった一人、私の所属する「テンペスト」のサブマスター【『自称』誇り高きパラディン】のランドⅡ世さんがいた。彼は何かに連れて私の良き相談相手で、そして悪友でもある。先程の事でまたお互いに笑い会おうとパーティに引き込む。
「何だよ~、さっきPT解散したばっかりじゃないか!」
でも、結局渋々パーティに参加してくれた。『やっぱり彼はいいヤツだ』と心の中で苦笑しながら、
「こらからどうしようか?」
と尋ねてみた。
「う~ん。どうしよう・・・」
彼は困惑した表情を浮かべる。
そこに、また見慣れた人物が歩いてきた。彼女は私が敬愛する師匠であり「テンペスト」の一員でもある【赤きヴァルキリー】のKarenさん。
結局、ギルドメンバーでパーティを組んでしまった。これから何の目的も無く、ただ話しこんでも良かったのだが。
ランドさんが
「あれ?ほらあそこ。」
ランドさんが指差した先にはまだ初々しさが残る銀の装備を身に纏った若きパラディン(了承を得てないので名前は伏せます)が右往左往していた。
彼は
「俺、まだターラに行った事ないんで誰か護衛を付けて連れて行って欲しい。」
との事。ランドさんがニヤリと笑いながらパーティ内会話で「連れてって上げようよ」
皆一つ返事で了承した。普段色々なクエストをこなしている私でもこんな突発的な、しかも何の見返りも無いこんなクエストは大歓迎だったのだから。きっとこのクエストを完了した時に若きパラディンはまた大きく飛躍するだろうと確信しながら・・・



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