里の種

里の種

2007/03/31
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カテゴリ: 自然
僕の田舎の町の人達は、家に桜を植えるのを好まなかったのか、僕が見落としていただけなのか、学校と寺くらいしか桜の咲いていた記憶がない。こんもりとした鎮守の森には、神仏習合の名残なのか、小さな寺もあった。その寺の桜は見事で、遠くからも眺められた。けれど、神社の境内の中には目立つような桜の木はなかった気がする。御神木というのか、太い杉の木ばかりが鬱蒼と茂っていた。参道の両脇には木が植えられていたが、紅葉した木々しか思い出せない。境内は広くて多くの神を祀るためなのだろう、大小幾つもの祠が建てられていた。周りを樹木に囲まれて、狭い石段を登らなければいけない祠もあった。小学校を卒業した年の春、友達と遊んでいて、その祠の裏手に桜が咲いているのを見つけた。見捨てられたような古い祠の裏に回ると、その屋根に差し掛かるように枝が伸びていて、地面には一面に桜の花が散っていた。

森深く訪ふ人のなけれども鎮守の森に桜花咲く

空耳に海鳴りを聞く夜更けにも鎮守の桜はひっそりと咲く





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最終更新日  2007/03/31 10:13:31 PM
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