里の種

里の種

2009/07/04
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カテゴリ: 記憶
今はもう廃線になってしまったけれど、子供の頃、故郷には鉄道があった。隣町まで往復する単線で、一時間に一本くらいの間隔で走っていた。町並みは山裾に沿って弓なりに家が建ち並んでいて、町並みと田んぼの間を区切るように、一両だけのディーゼル機関車が走っていた。機関車が来るのは田んぼから見える。遠くに機関車が見えると、線路に耳を当てる。線路に耳を当てると、コトン、コトンと音が聞こえた。十円玉を線路に置いて待っていると、機関車は通り過ぎ、車輪に押しつぶされて、十円玉は平べったくなっていた。悪いことをしていると思ったのか、それとも、単にもったいないと思ったせいか、一度しかやらなかったけれど、そのコインは記念品として大切にしまっていた記憶がある。

廃線の駅舎に切符が落ちている架空の駅の名前刻んで





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最終更新日  2009/07/04 08:45:22 PM
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