里の種

里の種

2021/12/28
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テーマ: 思い出(60)
カテゴリ: カテゴリ未分類
中学一年のとき同級生だった川井は、運動神経がとても良かった。
鉄棒で大車輪をする人間を始めてみたのも、川井だった。その後一度も、大車輪をしている人間を直接見たことはない。
ある日、川井に呼ばれて彼の席に行くと、学生鞄の中から調味料入れのような瓶を取り出した。
中には鉄砲の銃弾がいくつも入っていた。弾はすべてひしゃげていた。使用した後のものらしかった。
ひとつやる。そういって川井は、中から比較的整った弾を一個くれた。拾ってきたものだという。
今になって考える。あの弾はどこで拾ってきたのだろう。
数十キロ離れた町に陸上自衛隊の演習場があって、今でこそ道路も整備されてアクセスもよくなっている。けれど、あの頃は峠道をいくつも越えなければ行けない遠い町だった。
それに、演習場に行けたとしても、子供が入れるのだろうか。
あの日、弾を入れた瓶を大切そうにしていた川井の様子を思い出すたびに、不思議な気持ちになる。





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最終更新日  2021/12/28 10:41:53 AM
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