June bride 2




「さて、それじゃ三蔵服着替えてくれますよね。」
くるっと三蔵の方を向き、八戒は一歩一歩近づいて行った。
目の前に来て、三蔵が読んでる新聞を取り上げて八戒は顔を近づけ掠めるようなキスをして、

「何なら僕が、服を脱がせて上げてもいいですけど?」
おどけた調子で八戒は、言ってみた。

「どうしても着ないと、いけないのか?」
悪あがきと解っていても、どうしても三蔵はそれを着る気がしなかった。

「昨日約束しましたよね?どんなことでも聞くと?」
手のひらで優しく、三蔵の金色の髪を撫でながら軽く髪にキスをした。

「まさかこれを着ることになるとは、思ってなかったんだ。」
知ってれば今日1日言うことを聞くなんて、言わなかった・・・・


それは昨日の夜の事、何時もの様に騒がしい食事も終わって食後にかる~くお酒を飲んでいた時だった。

「ちょっと、ここで賭けでゲームでもしませんか?」
食事の後、席をはずしていた八戒が、戻って来たと思ったらいきなりゲームを持ち出してきた。

「俺は、別にやってもいいけど?」
悟浄は、ビール飲みながら言い

「俺も、俺も賭けまざる!!」
悟空は食後の肉まんを、食べながら言った。

「三蔵もまざりますよね。まさか、『負けるの解ってるからまざらない。』なんて、言いませんよね。」
八戒は不敵に微笑んだ。三蔵の性格からこう言えば、絶対に引かない事は今までの旅で解っていた。

案の定

「誰が、やらねって言った。しかたねぇ、参加してやる。」
眉間に皺を寄せて、不機嫌顔で三蔵は答えた。

この時、3人には見えなかったが、八戒はしてやったりとい言う顔付きになっていた。

「で、八戒どんな賭けゲームするんだ?」

「そうですね。」
ちらっと、三蔵と悟浄を見て

「これから明日の朝まで、三蔵と悟浄には禁煙でもしてもらいましょうか。」
そう、八戒は提案してみた。

「最近2人とも喫煙の回数がまた増えているみたいですし、良い機会だからこの際たばこを止めてみては。」
そして、2人の前に飴の入った袋を置いて、
「口が寂しい様でしたら、飴でも舐めていればいいし。」

「冗談!!嘘だろう、八戒。明日の朝までなんて禁煙できるわけないだろぅ。」
絶対無理だ!!と、悟浄が怒鳴って八戒に、抗議してみた。

「明日の朝までで、別に一生と言ってるわけじゃないんです。それに、ただのゲームですよ。」
「それでも・・・」と、言い返そうとした悟浄だったけど、
あ、それからと八戒は付け足して
「ゲームに負けたら、明日1日は僕の言うことを聞いてもらいますから。」

「三蔵もそう言うことで、良いですよね?」
答えは解っていたが、確認のために聞いて見た。

「ちぃ!駄目だって言ってもゲームやるんだろうが!!」
ますます眉間の皺が増え不機嫌になっていても、自分で『参加する』と言った以上いやだとは言えなかった。

「そう言うことでこれは、預かっておきます。」
机の上に置いてあるまだ、中身の入ってる二つのたばこを持ってポケットに閉まった。
結局2人の手には吸いかけのたばこが、残っているだけだった。




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