怠惰の箱庭

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第6章 もう一人



友人の様子を見に行こうとした時、樹は愕然とした。剣の周りを5体のゴーレムが囲んでいる。

「やめろぉぉぉぉ!」

剣に向かって走る。その時剣の倒れている所が強く白い輝きを放った。

「なん、だ・・・?」

5体いたゴーレムが全て消滅している。輝きの中心に、剣が立っていた。肩には虚ろな穴がある。また1体、ゴーレムが襲い掛かる。剣がゴーレムの方を向く。次の瞬間、ゴーレムの左肩には穴が空き、剣の傷はなくなっていた。剣がゴーレムへ手を向けると、ゴーレムは砕けて消えた。

「お前――もしかして」

ゴーレムが群れをなして剣に向かっていく。しかし剣に触れる事もかなわず砕け去った。剣はゆっくりと前進しながらゴーレムを次々破壊していく。

「能力者なのか?」

剣はこちらには目もくれず、ひたすら前に進む。その間に周りにいる全てのゴーレムを片付けてしまった。卓も倉見もただその光景に呆然としているだけだった。

「ここか」

剣が1本の木の前に立ち、そう言いながら木に手を添えた。その途端木は細かい粒子となって消滅した。

「何故、ここがわかったんだ?絶対に判らないようにしたのに」

そこには、一人の少年が立っていた。

「草麻―――!!」

倉見から物凄い殺気が迸る。

「何故、ここだと判るんだ・・・・・」

草麻は明らかに狼狽していた。

「くそっ!」

草麻の足元から無数のゴーレムが出現する。それを剣は手をゴーレムにかざしただけで消し去る。

「無駄だよ」

冷たく言い放って剣は草麻に歩み寄る。

「まだだ・・・・・・!死ねっ!」

今度は巨大なゴーレムが出現し、剣を叩き潰そうとする。

「無駄だと言った筈だ。そんな攻撃は俺には効かない」

巨大ゴーレムが微粒子となって消える。そして草麻の3メートル程近くまで寄り、手をかざした。

「ううううううう・・・・・く、クルシイ・・・・ヤ・メロ・・・ヤメテクレ・・・」

草麻が胸をかきむしっている。それでも剣はかざした手を下ろそうとはしない。

「死ね」

まるで剣の言葉がとどめのように、剣がそう言葉を放った瞬間、草麻は息絶えた。

「剣・・・・・・」

剣が再び手をかざすと、草麻の死体が消え去っていった。

「君は自分が能力者であることを自覚しているな」

地上に降り立った卓が剣に質問する。剣は黙っている。

「とにかく、場所を変えよう。ここにいつまでも居るわけにいかないだろ」

「ああ、俺も賛成だ。別の場所で話をした方がいいと思う」

珍しく倉見が俺の意見に賛成した。

「わかった。移動してから話を聞こうとしよう。異論は無いな」

卓が剣に確認する。剣は頷いた。

「じゃあ、早く行こう」

そうして俺達はもう一人の能力者を連れて、いつもの場所へと歩き出した。 /続



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