つれづれなる徒然奇行

私的厳選本 フランシス

飛越
書籍名:飛越
著者名:ディック・フランシス
出版社:ハヤカワ文庫


感想:競馬シリーズ6作目。主人公は競馬関係者で巻ごとに変わります。
さて・・・今回の主人公はヘンリイ・グレイ。伯爵家の嗣子で作品中爵位を継ぐのだが、かつての栄光はなく働かなければ家の維持も出来ないし、繁栄させるためには名家の令嬢と結婚しなければならない。
ヘンリイは洗練された物腰と、徹底的な教育で培った頭脳をもつ温和な男性だが、「家同士の結婚」や「爵位」を嫌っている。出来たら家は国家に返上したいし、爵位も捨てたい。が、爵位を返上するためには下院議員にならなくてはならないのだそうだ。ほ~。
彼が職業として決めたものは馬匹運搬の馬丁。爵位を得る人間がすることではないと大反対を受けるが頓着しない。副業は障害馬のアマ騎手。ひそかな趣味は飛行機だ。ノーブルな口調に反してアクティブな日常生活。
しかし、友人は少ない。母親の集める名家の令嬢もヘンリイ本人ではなく、爵位を見ているし、貴族嫌いの人間には素性を明かせば蛇蝎のごとく嫌われる。軽く人間不信なヘンリイ。
しかしそんなヘンリイにも春が来る。仕事先のイタリアで出逢ったガブリエラという女性だ。貴族であることを知らず、ガブリエラはヘンリイを愛してくれた。

ラテン系の女性は情熱的です。ヘンリイもなんというか・・・丁寧語な上テレがないので、非常に上品な恋愛シーンです。

そんな幸せ絶頂な時期、仕事場で密輸をしていることを知る。数少ない友人も仕事途中に消え、イタリアで足取りを追ううちに、手伝っていたガブリエラも凶弾に倒れる。一命は取り留めたものの重篤な状態のガブリエラ。温和なヘンリイもついに立ち上がる・・・。
すごい作品。恋愛と貴族と馬と飛行機と東西問題が混じっている。
でも、すごく面白かったです。競馬シリーズは処分するために読んでいたのですが、これ取っておきます。そのくらい好きでした。続編を期待するのですが・・・出ているのかしら??


馬度 ☆☆☆☆★
ノーブル度 ☆☆☆★★
飛行機度 ☆☆☆★★



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