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勿忘草~戯曲集~
第1場 新居~
とある日の昼下がり、舞台上は暗いまま
3人の声が聞こえてくる
仮に、男A 男B 女A
男B 結婚されてどの位なんですか?
男A 3年・・・いや4年か?
女A 5年よ。
男A え?もう5年になるっけ?
女A ええ。
男B 5年・・・じゃあ、まだまだ新婚気分ですか?
男A いえいえ。
女A もう、そんな・・・ねえ?
男A ええ。
男B でも凄いですよね。
男A え?
男B 旦那さん、画家さんなんですよね?
男A 急に声のトーンが下がる
男A ええ、まあ・・・。
女A 画家って言っても、全然売れてませんから。
男B いや、でも描き続けてらっしゃるっていうだけで、もう・・・。私なんかはそういった才能が全く無いので、分からないですが大変なんでしょう?
男A まあ・・・でも。
女A 大変なんてコトないですよ。ただ好きなコトやってるだけなんですから。
男A ええ・・・そうですね。
男B でも、うらやましいなあ・・・私も絵を描くとか高尚な趣味があればねえ・・・あ、趣味なんて言っちゃ悪いか・・・。
女A いえいえ、趣味と変わりませんよ。お金にならないんですから。
男A え、ええ・・・。
男B まあでも、絵とかって認められるのに時間がかかるって言うじゃないですか?きっと、その内物凄い高値で取引される気がするなあ・・・。
女A でも、ご覧になったこと無いじゃないですか?
男B ええ、確かに。でも、なんていうのかなあ・・・人柄って言うか・・・私、職業柄、たくさんの人と接する機会が多いので、なんとなく分かるんですよ。「あ、この人は大物になる!」とか。
女A またまた・・・。
男B いえ、本当ですよ!あ、今のうちにサインとか貰っておこうかなあ。
女A 多分、価値が出るとしたら、この人が死んでからですよ、きっと。そうなると、あなたも亡くなってるから、あまり意味がありませんよ。
男B 笑う
男B いつも、どんな絵を描かれてるんですか?
男A 最近は・・・人物が多いですね・・・。
男B じゃあ、奥さんをモデルに描かれたりされてるんですか?
男A いや、女房は・・・
女A するわけ無いじゃないですか。
男B そうなんですか?もったいない、奥様、お綺麗なのに。
女A 笑う
男B やっぱり油絵ですか?
男A ええ・・・まあ。
男B 凄いなあ・・・あれって時間かかるんでしょ?描き上げるのに。
男A まあ・・・
男B どの位かかるモンなんですか?1枚描くのに。
男A 大きさにもよりますし、自分の思い入れの深さもあるので、一概には・・・
男B ですよねえ。私は小学校や、中学校でやったくらいのものなので、何日もかけて1枚の絵を仕上げるって感覚が分からなくて。
女A それが、普通ですよ。
男B いや、でも凄いなあ・・・あ、着きました。ここです。
女A へえ。結構、良い所ですね。
男B ええ、スーパーマーケットもコンビ二もすぐそばにありますし、学校や図書館も徒歩15分圏内にありますからね。
女A へえー。
男A じゃあ、私はちょっと管理事務所に顔を出してきますので、先に上がっていてください。505号室です。・・・でこれが・・・鍵です。
女A はい。
男B では、後ほど。
舞台が明るくなる
何も無い部屋
先ほどの男女の声が聞こえてくる
男A 新田和成(にったかずなり)34歳 以降:和成
女A 新田恵美(にったえみ)32歳 以降:恵美
和成 結構、綺麗だな。
恵美 そうね、リフォームしたって言ってたから・・・。
和成 築何年だっけ?
恵美 15年だったかな?
和成 そっか・・・。
恵美 和成の含みのある返事に怪訝そうな声で
恵美 不満?
和成 いや。
恵美 じゃあ、何?
和成 何でもないって。
恵美 そう?
和成 ああ・・・。
2人 部屋に入ってくる
恵美 ここがリビングね。
和成 広いな。
恵美 家具がないからよ。今とあんまり変わらないわ。
和成 日当たりは悪くないな。
恵美 窓の方へ小走りで向かう
恵美 眺め良いわよ。
和成 そりゃ、5階だからね。
恵美 お風呂見てきたら?
和成 風呂?
恵美 ええ。どうせ、お風呂だけでしょ?気になってるのは。
和成 ・・・
和成 風呂に向かう
恵美 ぐるっとリビングを歩く
和成の声が風呂から聞こえる
和成 なんだこれ!
恵美 どうしたの!
和成 広っ!
恵美 でしょ!?
和成 走って戻ってくる
和成 何、あの広さ。
恵美 広い方が良いと思ったんだけど・・・不満?
和成 全然。
恵美 少し笑って
恵美 さっきまでとは大違いね。
和成 え?
恵美 何でも無い。こっち来て。
恵美 和成の腕を引っ張って奥の部屋に連れて行く
和成 何だよ。
恵美 ココがあなたのアトリエ。
和成 え?
恵美 あなたの部屋よ。
和成 でも・・・。
恵美 何よ。
和成 いいよ・・・アトリエなんて。
恵美 どうして?言ってたじゃない?1人で絵を描ける部屋が欲しいって。
和成 リビングに戻ってくる
恵美 その後をついてくる
和成 それは、前の話だろ?
恵美 今は違うの?
和成 辞めるよ。
恵美 何を?
和成 絵。
恵美 どうして?
和成 だって、子供欲しいんだろ?だから引っ越すんじゃなかったのか?今のトコじゃ狭いから。
恵美 それは子供もできて、今より狭くなっちゃったら、あなたが絵を描けなくなるからでしょ?
和成 いや、でもさ・・・
恵美 描いてよ。
和成 でも・・・子供できたら、金だってかかるだろ?
恵美 そんなのなんとかなるわよ。私、子供産んでも働くし。
和成 え?じゃあ誰が子供の世話を?
恵美 そのくらいはやってよ。
和成 いや、そりゃ、そうなったらやるけどさ・・・でも、産休とってる間とかさあ・・・。
恵美 ちゃんと育児休暇って制度があります。
和成 そうなの・
恵美 もしかして・・・
和成 何?
恵美 だから、少し渋ってたの?
和成 渋ってた?俺が?
恵美 そう。
和成 そんなことないよ。
恵美 渋ってたじゃない。?少なくとも乗り気じゃなかったでしょ?
和成 だから、そんなことないって。
恵美 本当は・・・
和成 何だよ。
恵美 子供も欲しくないの?
和成 だから、違うって。俺は・・・
恵美 俺は?
和成 だから・・・
恵美 何?
和成 おまえが子供欲しいって言うなら、俺だって協力したいって思うよ。
恵美 じゃあ、あなたは欲しくないの?
和成 そんなコトないよ。ただ・・・
恵美 ・・・
和成 俺、言えないよ。子供が欲しいとかさあ・・・。
恵美 何でよ。
和成 ・・・だって、言える立場じゃないだろ?稼ぎだってないんだしさあ・・・。
恵美 私さあ・・・
和成 ・・・
恵美 今まで、「働いて」なんて言ったことあった?
和成 いや。
恵美 私さあ・・・
和成 何?
恵美 「絵をやめて」とか言ったことあった?
和成 いや、無い。
恵美 そうよね。じゃあどうして?
和成 だから、そういうんじゃないんだよ。なんて言うのかなあ・・・
恵美 けじめ、とか言う?
和成 うん・・・そんな感じ。
恵美 ひとつ、言っておくけど・・・
和成 ああ。
恵美 絵を描くのやめるなんて言ったら、私、離婚するわよ。
和成 え?
恵美 あなたが絵を描かなくなったら、あなたは何処行っちゃうの?
和成 えっと・・・
恵美 私は絵を描いてるあなたしか知らないし、そんなあなたと一緒にいるの。
和成 ああ。
恵美 だから、よくあるでしょ?「結婚して、あの人変わったわ」とか。
和成 ああ。
恵美 あなたが、絵を描かなくなったら、それに相当するのよ。
和成 うん。
恵美 分かった?
和成 なんとなく・・・。
恵美 そう?
和成 ああ。
恵美 じゃあ、一件落着?
和成 まあ・・・。
恵美 そう、良かった。じゃあ、ここで決めちゃう?
和成 うーん・・・
恵美 何?
和成 いや、別に・・・
恵美 何よ。
和成 いや、特に不満はないんだよ。
恵美 じゃあ、何?
和成 ・・・何でもない。
恵美 何よ。眺めも良いし、私の会社にも近くなるし、家賃は今よりは高くなるけど・・・大丈夫よ。
和成 そうなの?
恵美 ええ。何?家賃の心配してたの?
和成 まあ、そういうわけでもないんだけど、それもあるって言うか・・・
恵美 何よ!もう、訳分かんない!!
和成 しょうがないだろ。俺だって分からないんだから!
恵美 じゃあ、言わないの!
和成 すいませんでした!!
恵美 ばつが悪そうに和成を見る
和成 キッチン、見てみようか?
恵美 ええ。
和成 あ、トイレも見てないや。
和成 キッチンの方へと向かう
恵美 ちょっと微笑んで
恵美 そうね。
恵美 和成についていく
和成 ん?
恵美 何?
和成 これって・・・
恵美 絵じゃない?持ってきたの?
和成 まさか・・・ずっと一緒にいただろ?
恵美 そうね。忘れ物?
和成 そうなのかなあ・・・
2人 絵を持ってリビングへと戻ってくる
恵美 なんか見たことあるんだけど。この絵。
和成 そりゃそうだろ。
恵美 やっぱり、あなたの絵?
和成 違うよ。フェルメール。
恵美 フェルメール?
和成 ああ。フェルメールの「青いターバンの少女」
恵美 なんで私が知ってるの?
和成 凄い有名な絵だもん。何処かで観たんだろ?
恵美 そんなに有名なの?
和成 ああ。凄く。
恵美 へーそうなんだ・・・でも、そんな有名な絵がなんでここに?
和成 いや、別に本物って訳じゃないから・・・
恵美 本物じゃないの?
和成 本物がこんなとこにある訳ないだろ?
恵美 じゃあ、偽物なんだ。
和成 確か、本物はオランダの美術館にあったと思ったけど・・・。
和成 しげしげと絵を観ている
恵美 なーんだ。
和成 でも、これ模写だな・・・。
恵美 珍しいの?
和成 珍しくはないけど、量販用のだとほとんどプリントなんだけど、これはちゃんと描いてある。
恵美 じゃあ、高いの?
和成 まあ、でも偽物に変わりはないからね。でも、出来は良いと思うよ。
恵美 そうなんだ・・・。
そこへ 先ほど話していた男が入ってくる
男B 不動産屋
男B どうですか?
2人 振り向いて
恵美 あ、ええ・・・良いところですね。
男B でしょう?なかなか空かないんですよ、このマンション。
恵美 そうなんですか?
男B ええ。
和成 前の人は何で・・・?
男B 和成の持っている絵に気付いて
男B いやあ、やっぱり画家さんは違うなあ・・・絵と合うかどうかも部屋選びの重要なポイントなんですね。
和成 いや、これは違くて・・・
恵美 なんか、前の人が置いてったみたいなんですけど・・・。
男B そうなんですか?
恵美 ええ、キッチンのトコに置いてあって。
男B おかしいなあ、リフォーム業者も何も言ってなかったけど・・・。
恵美 何処かにしまってあったのを見つけて置いておいたけど、言うのを忘れちゃったんじゃないですか?
男B ああ、そうか・・・。でも、どうしようかなあ・・・。
恵美 え?
男B 前の住人とはなあ・・・。
和成 何かあったんですか?
男B いえ、そういう訳ではないんですけど・・・。
2人 怪訝そうに男Bを見る
男B いや、大したことじゃないんですけど、前に住んでた人、離婚されて引っ越したので、今の連絡先とか聞きにくくて、聞いてないんですよ。なんか、携帯も変えちゃったみたいで・・・。いや、敷金の返還分があったので、連絡とりたかったんですけどね。
和成 そうなんですか・・・。
男B ええ・・・じゃあ、その絵は一応、私が預かっておきますね。
和成 あ、お願いします。
和成 男Bに絵を渡す
男B で、如何でしょうか?この部屋は。
恵美 どうなの?
和成 え?いや、いいんじゃないかな・・・。
男B 何か、お気に召さないトコロでも御座いましたか?
恵美 どうなの?
和成 何だよ、別にいいんじゃない?
男B 別に、なんでも言って頂いて構いませんよ。そんな、お気を遣われずに。
和成 そんな、気を遣うとか、そう言うんじゃないんですけど・・・。
恵美 何よ。
和成 強いて言うなら・・・
男B はい・・・。
和成 ・・・におい・・・かな。
恵美 におい?
和成 ああ・・・。
恵美 何か臭う?
恵美 周りの空気を嗅ぐ仕草をする
恵美 別に何も感じないけど・・・?
和成 そういう直接的なものとは、違くて・・・
男B それは多分、リフォームしたばかりだからじゃないでしょうかね。
和成 うーん・・・。
男B あと、住み慣れた家には、こうなんて言うか、住んでいる人の雰囲気っていうのが染み付きますからねえ。別に、家に限らずに物とかにも・・・。まあ、それが愛着にも繋がると思うんですけどね。
恵美 そうですよねぇ。
和成 まあ、そうですよね・・・。
恵美 じゃあ、どうする?
和成 え?うん・・・いいんじゃないかな、ココで。
恵美 本当?
和成 ああ。それに他のトコとか見ると目移りしちゃって、結局決められなくなりそうだしさ。
男B 他のトコロと比べてみるって言うのもありますけど、ここほどお客様の条件に合っているのは、今のところはありませんからねえ・・・。
和成 それに、最初にココに来たっていうのも、何かの縁だと思うし。
恵美 そうね。じゃあ・・・。
和成 ああ、ここで。
男B お決めになりますか?
和成 ええ。
恵美 宜しくお願いします。
男B ありがとうございます。どうですか?まだ確認しておきたいトコロとかございますか?
恵美 えっと・・・ある?
和成 いや、俺は、大丈夫。
恵美 そう?私も・・・うん、大丈夫です。
男B そうですか、それでは、店の方で書類をお渡しいたしますので、一旦戻りましょうか?
恵美 ええ。
和成 はい・・・。
男B 部屋を出て行こうとする
和成 あ・・・。
男B 立ち止まる
男B 何か?
和成 えっと・・・その絵。
男B コレですか?
和成 ええ。・・・貰ったらまずいですか?
恵美 何言ってるのよ!
和成 いや、だって・・・俺、フェルメール好きだから・・・。
恵美 だからって・・・。
男B えっと・・・そうですねえ・・・。
恵美 ほら、困ってらっしゃるじゃない?
和成 あ、すいません・・・何か・・・。
男B いえ・・・じゃあ、こうしましょう。一応、前に住んでらっしゃった方が、取りに来られるかもしれませんので・・・。
恵美 ですよねえ。
男B そうなったら、速やかにお返し頂くってことで。
和成 じゃあ、いいんですか?
男B 多分、取りにも来られないと思いますので。
和成 ありがとうございます。
男B いえいえ、じゃあ・・・どうぞ。
男B 和成に絵を渡す
男B それに、私が持っていてもどうせ物置に眠らせてしまうだけですからね。
和成 すいません。
男B いえ。じゃあ・・・行きますか?
恵美 はい。
男B 振り返り部屋を出ようとする
和成 あ・・・。
恵美 何よ。
男B はい?
和成 ココに置いて行っても・・・?
男B ああ、はい。結構ですよ。
和成 ありがとうございます。
和成 キッチンの方へ向かい、絵を置いて戻ってくる
恵美 もう・・・。
和成 ほら、でも、なんか予約したみたいでいいじゃん?
恵美 全然。
男B じゃあ・・・行きますか?
和成 ああ、すいません。行きましょう。
恵美 ええ。
和成 ふと振り返る
和成 ん?
恵美 何?
和成 いや・・・。
恵美 何よ。
和成 何でもない。
恵美 変なの。・・・行きましょう。
和成 ああ・・・。
部屋を出て行く
第2場 引越し
恵美 何も無い部屋で忙しそうに動き回っている
和成 絵を持ってウロウロとしている
恵美 今、何してるの?
和成 今?
恵美 そう、今。
和成 うーん・・・絵をね・・・
恵美 暇?
和成 暇か?
恵美 そう。
和成 どうかなあ・・・暇では・・・
恵美 暇ね。
和成 う、うん・・・暇といえば、暇かも・・・。
恵美 なら、トイレとお風呂をお願い。
恵美 そう言うと段ボールを渡す
和成 お願いと言うと・・・?
恵美 そこに入ってるでしょ?
和成 えっと・・・
和成 段ボールを覗く
和成 シャンプーにリンス・・・トイレットペーパー・・・ブルーレット・・・
恵美 あるべきものをあるべき場所に。
和成 あ、ああ・・・
恵美 分かった?
和成 ああ、うん・・・。
恵美 何?
和成 何が?
恵美 本当は引っ越したくなかったとか言い出すつもり?
和成 そんなこと・・・ないよ。
恵美 本当?
和成 当然だろ?それに、もう引っ越してきてる訳だし。
恵美 そうよね。もうすぐ引越し業者の人も来ちゃうもんね。
和成 そうそう。
恵美 今日からちゃんと生活を始めたいわよね?
和成 そりゃそうだよ。
恵美 そうよね、だったら。
和成 分かった・・・。
和成 バスルームの方に向かう
恵美 絵はいらないと思うわよ。
和成 あ、そうか・・・。
和成 絵を壁に立てかけて置き、バスルームへと向かう
恵美 ・・・もう。
チャイムがなる
恵美 あ、来ちゃった。
恵美 走って玄関へと向かう
声が聞こえてくる
男 どうもー。
恵美 ありがとうございます。
男 じゃあ、運んじゃっていいですか?
恵美 はい、お願いします。
恵美 ダイニングに戻ってくる
和成 顔を出す
和成 来たの?
恵美 ええ。
和成 じゃあ、急がないと。
恵美 そうね。
引越し業者の女性が段ボールを持って入ってくる
女B
女B えっとこれは・・・
恵美 段ボールを見て
恵美 それは食器だから・・・とりあえず食器棚が来るまで、キッチンに置いておいてくれますか?
女B はい。
女B キッチンへと向かう
和成 じゃあ、俺は自分の道具を運んじゃってもいいかな?
恵美 ここまで、持ってきてもらえばいいじゃない?
和成 そうなんだけど・・・
引越し業者の男性がカーペットを抱えて入ってくる
男C 以降:ぼうず
ぼうず このカーペットは何処に敷きますか?
恵美 それは、ココに。
恵美 ダイニングの中央を指差す
ぼうず はい、分かりました。
ぼうず カーペットを広げ始める
引越し業者の男性がテレビ台を持って入ってくる
男D 以降:おっさん
おっさん テレビって何処に置きます?
恵美 テレビはこの辺に・・・
恵美 ダイニングの角を指差す
おっさん テレビ台を指された辺りに置く
和成 あのー
おっさん はい?
和成 私の絵の道具ってすぐに出せますか?
おっさん 絵の道具・・・?
こぞう いやーあれは、ちょっと奥なんで、すぐには出ませんね。
和成 そうですか・・・。
こぞう ソファが出れば出せると思いますよ。
和成 あ、別に急いでないので、順番で良いですよ。
こぞう すいません。
和成 恵美の顔をちらっと見て、再びバスルームの方へと消える
恵美 テーブルはこの中央で、囲むようにソファ。食器棚と冷蔵庫はキッチンで・・・洗濯機はバスルーム・・・あとは・・・
おっさん あとは、おいおい聞きますので・・・
恵美 そうね。
恵美 そう言うとキッチンへと向かう
女B すれ違いで出て行く
おっさん おまえ全部覚えてるの?
こぞう 何が?
おっさん いや、だから何処に何を入れたか。
こぞう そりゃ、自分で入れたんだから大体覚えてるでしょ?
おっさん いや。
こぞう 覚えてないの?
おっさん ええ、全く。
こぞう ・・・
おっさん なんだよ!ある物を順番に詰めてっただけなんだからさあ、いちいちそれが何かなんて見てないし・・・。
こぞう だから、順番があったでしょ?奥には大きくて重いもの。手前には段ボールとか雑貨。
おっさん 誰が決めたんだ!
こぞう 一緒に詰めたじゃないかよ!
おっさん だから、俺はおまえが持ってる渡したモノ運んだだけだもん・・・。
こぞう おっさんもさあ、そろそろ仕事覚えようよ・・・。
おっさん この歳になると、新しいこと覚えるのって大変なんだよ。
こぞう 誰が悪いんだ、誰が!!おっさんのせいで、俺まで仕事辞めるハメになったんだぞ!
おっさん 若いうちの苦労は買ってでもしろって言うだろ?
こぞう 無駄な苦労なの!
おっさん 無駄かどうかは、今は分からないぞ。
こぞう 俺にとっては今が重要なの!もう!なんでもいいから運ぶよ!
おっさん こぞう・・・怖い。
こぞう はい、行くよ!
おっさん はい・・・。
おっさんとこぞう 出て行く
恵美 顔を出す
和成 顔を出す
和成 どういう関係なんだろ?
恵美 さあ・・・?
和成 チップ渡した?
恵美 お礼金?
和成 そう、それ。
恵美 渡さないわよ。
和成 何で?普通渡すんじゃないの?
恵美 そんな、余計なお金ないわよ。
和成 そっか・・・。
恵美 それに渡すとしても、仕事終わった後なんじゃないの?
和成 いや、先に渡した方が、勤労意欲が湧くかなあと思ってさ。
恵美 確かに・・・そういう考え方もあるわね。
和成 だろ?
恵美 うーん・・・。
和成 やっぱりさ・・・
恵美 でもさ、どっちにしても私たちは渡さないんだから。
和成 あ、そっか。
恵美 そうよ。
和成 じゃあ、しょうがないな。
恵美 ええ。
和成 ま、俺達は俺達の・・・
恵美 そうね、やることやりましょ。
和成 そうだな。
恵美 顔を引っ込める
和成 顔を引っ込める
こぞう 片手で段ボールを持って入ってくる
おっさん テレビを持って入ってくる
女B 段ボールを持って入ってきて、すぐに出て行く
おっさん こぞう!
こぞう 何だよ。
おっさん おまえのだけ、なんで軽いんだよ!
こぞう 手前から順番に持ってきてるだけだろ?
おっさん じゃあ、ちょっと順番を変えろ!
こぞう いいよ。じゃあ、おっさんが先に下りろよ。
おっさん おう。下りるさ。
おっさん テレビを早々に台に載せて、出て行く
こぞう 追いかけるように出て行く
女B 段ボールを持って入ってきて、すぐに出て行く
女B 段ボールを持って入ってきて、すぐに出て行く
おっさん 重そうに段ボールを持って入ってくる
こぞう 抱き枕を持って入ってくる
おっさん これ何入ってるんだよ!
こぞう 段ボールを覗き込み
こぞう 本だって。
おっさん 本!?本なんて読むなよ・・・。
女B 段ボールを持って入ってきて、すぐに出て行く
おっさん こぞうを見て
おっさん で、おまえは何を持ってるの?
こぞう なんだろ・・・抱き枕?
おっさん なんで?
こぞう 何が?
おっさん それは重いの?
こぞう いや、全く。
おっさん だから、何で?
こぞう 何で?って言われても、順番に持ってきてるだけだから。
おっさん なんで、俺だけ重いんだよ!
こぞう 知らないよ!運じゃないの?
女B 段ボールを持って入ってきて、すぐに出て行く
2人 女Bの行方を目で追う
おっさん あいつ早いな。
こぞう 素晴らしいね。おっさんも文句ばっかり言ってないで、動いてよ。
おっさん 動いてるだろ!ソレ言ったら、おまえの方が動いてないじゃないかよ!
こぞう おっさんがデカイから追い抜けないんだろ!
おっさん じゃあ、先に行けよ。
こぞう いいよ。
2人 出て行く
女B 段ボールを持って入ってきて、すぐに出て行く
2人 ソファを2人で持って入ってくる
おっさん もっとちゃんと持てよ!
こぞう 持ってるよ!
おっさん もっとだよ!
こぞう これ以上、どうもっとちゃんと持つんだよ!
おっさん 俺に、負荷がかからないようにだよ!
こぞう ・・・だったら1人で持つよ。
おっさん もういいよ・・・早く降ろそうぜ。
こぞう えっと・・・ここにテーブルが入るから・・・
こぞう ソファを持ったままぐるぐると動き出す
おっさん どう置くか決めてから、動けよ!
こぞう あ、逆だ!
こぞう また動く
おっさん それに引っ張られるように動かされ、置いてあった絵を蹴っ飛ばす
おっさん あ、蹴っちゃった。
こぞう 何、やってるんだよ!
おっさん 仕方ないだろ?下が見えないんだから。
こぞう 見えなくても気をつけるのがプロってもんだよ。
おっさん どうやって気をつけるんだよ!
こぞう で、大丈夫?
おっさん ああ、特に怪我は・・・
こぞう おっさんじゃねえよ!絵だよ、絵!!
おっさん 何だよ、絵かよ・・・。
2人 ソファを置く
おっさん 絵を確認する
おっさん うーん・・・
こぞう なんだよ、何かやっちゃったの!?
おっさん いや、正常な状態が分からないから、今が無事かどうかの判断がつかない・・・。
こぞう なんだよ、それ・・・見せてみて。
こぞう おっさんから絵を受け取る
こぞう んー大丈夫かな?
おっさん 本当か?
こぞう 俺だって、正常な状態を知らないモン。
こぞう そう言いながら、置いてあったところに絵を戻す
女Bの叫び声が響く
女B きゃーっ!!!
こぞう なんだ!?
おっさん どうした!・
2人 飛び出して行く
恵美と和成 ダイニングへやってくる
こぞうとおっさん 女Bを抱えて戻ってくる
恵美 どうしたんですか!?
こぞう 階段で足を踏み外したみたいで・・・。
おっさん 女Bをソファに座らせて足を触っている
女B 痛っ!
こぞう どう?
おっさん 折れてるかも・・・。
こぞう どうしよっか・・・とりあえず病院だな・・・。
おっさん じゃあ、俺が連れて行くよ。
こぞう でも、そうすると引越しできなくなっちゃうぞ?
おっさん あ、そっか・・・。
恵美 いえいえ、そんなコト気にしなくていいですから・・・。
こぞう ちょっと会社に電話入れてきます。
恵美 ええ・・・。
こぞう 出て行く
和成 あのさ・・・
恵美 何?
和成 俺、結構暇なんだよね・・・。
恵美 今、それどころじゃないでしょ?
和成 あ、いや、俺が行って来ようか?
恵美 え?
和成 だから病院。
恵美 えっと・・・。
和成 あそこだろ?小学校の裏だろ?ココに来た時通った――
恵美 うん、そうだけど・・・。
和成 あそこなら、10分くらいだろ?おぶっていってもすぐだよ。
おっさん いやいや、お客さんにそんなコトしてもらうのは・・・
和成 いえ、大丈夫ですよ。どうせ、ココにいてもやることあんまりないし・・・。
おっさん でも・・・。
こぞう 戻ってくる
こぞう 会社から1人来るらしいです。
おっさん そうか・・・。
和成 じゃあ、私が病院まで連れて行きますから、会社の方に病院の方に来るように言ってください。
こぞう えっと・・・?
おっさん ああ、旦那さんが、病院近いから連れて行ってくれるって・・・
こぞう どうやって・・・?
和成 おぶって行ってもそんなにかかりませんよ。
こぞう いえ、そういうわけには・・・じゃあ、場所だけ教えてくれますか?
和成 え?
こぞう おっさん、場所聞いて連れてって。
おっさん え!?俺?
こぞう そう。
おっさん ずっと言いたかったんだけどさあ・・・
こぞう 何?
おっさん 旅から帰ってきてから、随分と立場関係が逆転してる気がするんだけども・・・。
こぞう おっさんのせいで、彼女ができるチャンスをフイにしたんだぞ!
おっさん もういいじゃん・・・3ヶ月だよ・・・。
こぞう ・・・分かったよ。
おっさん 本当か?
こぞう ああ・・・これでチャラでいいよ。
おっさん よっしゃ!じゃあ行ってくる!
こぞう 頼むよ。
おっさん 任せとけ!・・・でも、ひとりで全部運べるのか?
こぞう 大丈夫、大丈夫。重たいのは、とっとくから。
おっさん ええー!!
こぞう 何??
おっさん いえ・・・それでいいです・・・。すいません場所を教えて頂いても・・・。
恵美 窓から指をさして
恵美 あの小学校の裏手に・・・
おっさん なんだ、近いじゃん。
こぞう 本当だ。おっさんなら5分で行けるでしょ?
おっさん それは無理だろ・・・。
こぞう おっさんを引っ張ってヒソヒソと
こぞう ほら、彼女痛がってるだろ?ココで男らしいトコロ見せたらさあ・・・
おっさん おう!?
こぞう な?
おっさん おまえ、天才!
こぞう でしょ?
おっさん じゃあ行ってくる!
おっさん 女Bを背負ってダッシュで出て行く
女B 痛っ痛い!!
おっさん 我慢しろ!5分で連れてったる!!
見送る 3人
こぞう じゃあ、運んじゃいますね。
恵美 ええ・・・。
こぞう あ、その前に、会社に電話しなきゃ・・・。
こぞう 窓の方へ行き電話をかけようと携帯を取り出し外を見る
こぞう おっさん、早っ!!!!
恵美 ええ!?もう!?
恵美、和成 外を見る
和成 本当だ・・・。
恵美、和成 出て行く
こぞう 電話をして出て行く
しばらく後
おっさん 戻ってくる
おっさん 戻りました!!
こぞう 入ってくる
こぞう お帰り!どうだった?
おっさん 結構、ポッキリ・・・。
こぞう やっぱり折れてたんだ・・・。
おっさん ああ。
恵美、和成 入ってくる
恵美 どうでした?
おっさん やっぱり、折れてましたけど、大丈夫です。
恵美 そうですか・・・。
おっさん さ、じゃあ、やっちゃいましょうか!
こぞう そうしよう。
おっさん あと、ココ終わったら、今日は終わりで良いって。
こぞう 本当?
おっさん ああ、他の奴を回すってさ。
恵美 この後も、何処かに行く予定だったんですか?
おっさん ええ。積み込むだけですけどね。
恵美 大変ですね・・・。
おっさん いや、それが無くなったんで、楽々です。な?
こぞう ええ。じゃあ張り切ってやろうか!あとは冷蔵庫と、洗濯機と、洋服ダンス・・・
おっさん 全部、重いな・・・
こぞう それ以外は、運んでおいた。
おっさん ああ、そう・・・じゃあ連続して重いんだ・・・。
こぞう ふたりでやるんだから、いいだろ?
おっさん ま、それもそうだな。
和成 ココで終わりなら、ゆっくりやって頂いて構いませんよ。
恵美 そうそう、ウチは一向に。
おっさん そうですか?すいません。
こぞう できる限り、急ぎますので!
おっさん いいじゃんかよ、ゆっくりでいいって言ってくれてるんだから・・・。
こぞう 早く終われば、彼女のお見舞いに行けるよ?
おっさん お!よっしゃ!!急げ!!
おっさん 急いで出て行く
こぞう 申し訳なさそうに会釈をしながら
こぞう 簡単な人なので・・・。
こぞう 出て行く
和成 分かったことは、彼らのモチベーションはお金じゃないってことだね。
恵美 ・・・そうね。
つづく
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