おそらくその5秒後くらいにハッとして目を開けてみたら僕は下に友達を見下ろしていて、よくみたらポタポタと血がたれていました。あの光景は1年以上経った今でも決して忘れることができません。僕は、あ、こいつ血流してやがる、と思ったのですが友達が「Kiyo, you are bleeding!!」と言っているのを聞いて、自分の血がぽたぽたと頭からたれていることがわかりました。それから友達が車に火が付く前に速く脱出しようと言ったので慌てて車から出ようとしました。しかし最悪なことに僕の右足と左腕はほぼ完全に麻痺状態。最初は混乱しててなぜシートベルトをうまく外せないのかもわかりませんでした。
いったいどうやって出たのかは覚えてませんが、それから車から脱出して、今までの人生で最も辛い光景を目の当たりにしました。トラックの荷台に積まれていた食い物やキャンプ道具はトラックの周辺に散らばっていて、僕らのトラックは90度ひっくり返った状態になっていて、つまり左側が下に右側が上になるように、かなりぼこぼこのぐちゃぐちゃになっていました。そしてもともと走っていた道路は30メートルくらいうえのほうありました。あんときほど「これは夢に違いない。頼むから夢から覚めてくれ!」と思ったことはありません。まるで映画だか漫画だか物語にいた気分でした。僕の友達は頭の後ろを窓ガラスの破片で切ったのか、後頭部からだらだらと血が流れていました。人の頭が血でああいうふうに赤くなっていたのを始めて見ました。実はそんとき、ぼくの頭も血だらけだったらしいですけど、自分の傷の痛みを感じる余裕もないくらい混乱してました。友達も「This must be a dream!」だかなんだか言って大声で泣いてました。彼は後頭部をうったせいでかなり混乱状態におちいっていたようで、結局事故後は事故のことをほとんど覚えてません。
もと走ってた道にきて、たった今起きた事故に呆然としていました。しかも空が少し暗くなってきて、バリバリの山奥で、だれ~も助けが来なさそうな雰囲気だったのですが、なんとその1~2分後に車がきました。彼らはとりあえずタオルやらティッシュやらで少しでも止血しようとしてくれたり、水をくれたりしました。そしてその2分後くらいに今度はサンタバーバラへちょうど向かっていく車がとおりかかりました。運転手のおばさんは快く僕ら二人を病院まで連れて行くことに承諾しました。車に乗るとき僕が言った言葉は「血で座席が汚れてしまうけれど許してください」みたいなことでした。おばさんは、そんなことどうでもいいからさっさと病院へ行くよ、て感じでした。そのとき本当にそのおばさんに感謝しました。てか自分がかなり出血してることにも気づいてかなりびびりました。病院に着く前に死んでしまうかもしれないと思いました。ほんとうに死がすぐ目の前まできてると感じました。こういうときってやっぱり体は眠ろうとするんですよね。すごくぼや~としてきて眠くなるんですよ。で、ここで寝てしまうともう昏睡状態に陥って二度と起きないみたいな話をおばさんがしてくれたので、必死に起きようとがんばりました。俺の友達はすでにやばい状態で、3つくらいのことを繰り返し繰り返し口にしていました。「もうお母さんには電話したのか?」「きよ、ごめんよ」てこととあとひとつは忘れた。僕は僕で眠くなる度に「I'm not going to sleep. I will survive.」とかなんとか繰り返し言ってました。それを見てたおばさんは、あんたは強い人だからきっと生き残るよ、と励ましてくれました。それから学校はどこなの?とか今どこに住んでるの?とか質問して、僕らが寝ないように一所懸命気を使ってくれました。