+詩+61


  ¢歩くは自分 立ちはだかるは壁¢




 俺はとにかく常に全力で、


 100%の力で走り続けてきた


 常に全力疾走すること



 それが俺の中の「本気」であった



 ある日、見えない壁にぶち当たった



 「もっと本気で走れ」

 壁は偉そうに俺にモノを申しやがった


 何言ってやがる?


 全力疾走して、

 限界の力を出し切って、

 走っているのに


 俺の「本気」は否定された


 やってられねぇよ

 何だよ? これ以上何をしろって言うんだよ?


 ふざけんじゃねぇ!

 わからねぇよ


 俺はやさぐれて走る事をやめた


 けれどその時、あんたは言った


 「本気の意味、てめぇの中勝手にで履き違えてるんじゃねぇよ」


 じゃあ何なんだよ?

 俺は部屋に篭って

 大して中身が入っていない頭をフル回転させて


 考えた


 考えた


 わからねぇし


 そこにあんたが勝手に入ってきて、こう言った



 「お前が猛然と振るっているのは表向きの力だ


 本当のお前を見出せば?

 自分は今、走る事だけが全てだと思ってるだろ?


 そう言うコトばかり考えているからなんじゃねぇの?


 お前は、走り続けて何を見てきた?」



 俺が―見てきたもの?


 「お前はまだ、本気を出していない」



 俺はまた、壁の前に行った


 見えないけれど、壁はそこに存在する


 俺が見てきたものの全て


 それを踏み台にして、俺は今日此処にいる


 その自分を見出して、そして―


 叫ぶ力だ!!


 壁は砕け散った


 俺の道は開けた


 ありがとう、あんたのお陰で―


 いない?  何処に....?


 あんたは、一体....?


 俺はそして、また走り続ける


 ペースは多少前よりも遅い


 けれど 走る事ばかり考えている時よりは

 断然いい


 俺の本気は此処からだ



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