ラッキーとの生活 2


だって
電話の向こうでなんだかんだ言ったって、君はここにはすぐにこれないでしょ?

いまでこそ、なんだかんだいっても、だいぶ犬の躾にも少しは手を加えてあげられるようになったけど、このときは全てが初体験。ましてや頼れるひともいない。唯一助かった事は、ラッキー君は無駄吠えがほとんどなかった事。
ただし、夜ママが布団に入って、姿が見えなくなると不安になるのか”クゥ~ン・クゥ~ン”泣き始める。そのたびに心配と近所への聞こえ漏れの心配で、起き上がり様子を見る→ラッキーは起きていて目が合う→落ち着く→ママもまた布団にもどる→鳴くを繰り返す。ほとんど1時間おきに起き上がる始末。

仔犬は排泄の回数も多い。もちろんその度に処理をし消臭などのそうじをする。あまり粗相はしない子だったけど、100%ではないし。ペットシートも噛んでビリビリにして遊ぶなんてこともあり、何回も何回も。その度に怒る。

マニュアルは本だけ。しかも書いてある事は人それぞれ解釈のしかたで、接し方が変わる。そんな事もわからず、本にはなんて書いてある?こんな時はどうしたらいい?とすべてが本に書いてある事を鵜呑みにして、自分が直面している問題とそれに近い事例を見つけては、その通り行なってみる。それが例え間違った事例でも・間違った解釈でも…

全てが本に書いてある事ばかりではないし、実際にはシュミレーションではなくライブである。ましてや犬をそだてるのは初めての人間。

どうしたらいい?
どうして出来ないの?
どうしてわかってくれないの?


ラッキーを一人にして買い物にもいけない状態
ラッキーをいつも見ていないと心配
人に預けで出かけようとした事があった。趣味のミュージカルを見に行く予定だった。もちろんこのチケットはラッキーが来る前から予約していた舞台だ。もちろん楽しみにしていて、出かける予定で人に預けたのだけど…電車に乗る前から

ラッキーはおとなしくしているかしら?
ラッキーは祖祖をしていないかしら?
ラッキーは鳴いていないかしら?


もう、気持がミュージカルに向かない。しかも電車に乗ってしばらくすると、気分が悪くなり・リバースしそうになって、思わず飛び降りた。そしてそのままU-タウン。
もうラッキーが心配で心配でいてもたってもいられなくなった。
軽い ”育犬ノイローゼ?”

そうなると躾と証する考え方の頭がいっちゃってるから、やる事が少しずつエスカレートしていく。
ママが一番苦労したのが、甘噛を止めさせる事。
苦労っていうのか?ラッキーを苦しめたことかもしれない…
みなさんは甘噛をどうやって、躾ましたか?
ママはある本に書いてある事を手本にしました。
それは
甘噛みをしはじめたら、犬の口に指を入れて犬が指を吐き出し気持悪い気分をあたえ、噛む事は苦しい事と認識させましょう。そうする事で甘噛みを止めるようになります。
と、言うもの。
もちろん、実行しました。毎日甘噛みをすると指をいれ叱ったんです。今思い出すだけでも虐待といわれてもしょうがない行動だったかもしれない。
そして、ある日ラッキーはむきになって噛み付いてきたんです。ママの服の袖に噛み付いて唸ったんです。唸られるとどんなに小さな犬でも、過去の記憶からとても怖くなってしまうんです。このときも

ひるんだらやられる!
って、脳裏に浮かぶ。例のごとくマズルを掴み、無理やり口を開き指を入れたんです。急におとなしくなったラッキー。いやがらず、指が奥に入っていく。
??????
なんかおかしい。
指をひきだすと、赤くなってた。
!!!!!!
喉を傷つけたようだった。
どうしていいかわからなくなった。
頭が真っ白になる。

ラッキーを傷つけた
ラッキーを傷つけた
ラッキーを傷つけた
なんて事をしてしまったんだろう。パパになんて言えばいい。
ラッキーが死んじゃったらどうしよう!!!!
すぐにパパに電話する。

「パパどうしようラッキーが…ラッキーが(泣)…」

きっとこのときあまりにも取り乱している、ママの言っている事が、理解できなかっただろうと思う。

「ちょっと落ち着きなよ。ラッキーは咳き込んでるの?」
「ううん(泣)」
「そのくらいの事で死なないから。大丈夫だから」
「うん(泣)」


この、事件があってからママはあまり本を信用しなくなった。
もちろん間違っている事が書いてあるとは思っていない。だた一つの方法としての解釈をすればいいと思った。
このときからママは犬を叱る事をしなくなったのかもしれない。
吼えるのも犬だもんお仕事でしょ。
噛むのだって手が使えないんだもん、口をつかうのは当然でしょ。
犬がスリッパ・靴下・洗濯ものを悪戯するのだって、小さな子供が興味本位で実験がてら体験自習するのと一緒でしょ。
用事や欲求を満たしてあげてる?
犬が何か不都合が無い?
犬をしかる前に自分が、おもちゃになるものを出しっぱなしにしてない?とまず自分達を省みる事にした。
動物のしている事、自分のレベルで物事をかんがえるな!と思うようになったからかもしれない。

ラッキー以降の子供達もたいがい叱るのはパパの仕事になった。本当は躾という”飴と鞭”を使い分けられるのが一番理想なんでしょうけど、なかなかタイミングよく叱りタイミングよくほめるのは難しいですね。

親ばかですが、この事件以来甘噛みで苦労をした記憶がない。人から見たら充分な甘噛みなんでしょうが、私から見たら序の口のものばかりの様に感じるから…そして、もちろん家の家具を噛んだり、破壊したりというもので、頭を悩ます事はないんです。

今、考えると知らない事はこんなに恐ろしいことなのかと、つくづく自分が危険な人間であることを認めざるをえない。

また明日・・・


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: