Glasklar Planet

Glasklar Planet

遺物(EB3)


ENDLESS BATTLE 第2章「亡命」


「大丈夫か?」
淡く光る機体から、張りのある若い男の声が響く。
「え?あぁ…ちょっとバランサーがおかしくなったみたいだけど…平気よ。」
あわててあたしは答える。
敵とばかり思っていたため、少々気が抜けてしまった。
破損した機体のチェックと簡単な調整をし終え、
改めて自分を助けた相手を見ようと外に出た。
目の前には紫の光を放つ見たことも無い武器を握り、
淡い燐光を放つ白い機体が悠然とそびえていた。
(綺麗…)
思わず見とれるあたしの前にその白い機体は光を放った。
プリズムパープルの光の中からパイロットが現れる。
その男はずいぶんと若く、きれいな顔立ちをしていた。
(…どこの所属の隊かしら…?)
よく見ると相手は1体だけではなく3機連隊で行動していたらしい。
白い機体の後ろ側にはもう2機の機体が控えていた。
綺麗に磨かれた機体は光を反射し、きらきらと輝く。
肩の部分には赤地に金の鍵の紋章が描かれていた。

(ウェール…最大勢力じゃない…)
勢力分布図で見て記憶している限り、
その『ウェール国』はこの大陸の最大勢力といってよかった。
ことに軍事力においては他の追随を許さないほどに充実しているらしい。
初めてだらけで混乱の極致に在るあたしは
目の前で起きたことにただ呆然としていた。
「バランサーだけか?ならいいが…」
白い機体から現れた男は歩きながら目の前まで来ると、
「この大陸は来て間もないようだな。」
と、苦笑した。
「来たばかりよ。…どうして判るの?」
事実を指摘された事と笑われた事とで少し拗ねた口調になってしまう。
男は軽く笑いながら
「こんな軽装でここをウロウロしてるからさ」
と言った。

どこの国にも属していない無法地帯。
力のみが優先される場所に、あたしは居たらしい。
(右も左もわからない上に機体の調子も上がらない…
その上無法地帯に一人きり?…アンラッキーの絶頂じゃない)
説明された自分の境遇に心の中で頭を抱えて嘆いていると、
男は何かを思いついたように言った。
「うちに『亡命』したらいいんじゃないか?
少なくともこんな荒野のど真ん中でやられてお終いって事にはならなくなるぞ」
「えっ?うちって…」
「『ウェール』だ。知らないのか?まぁ、亡命する気があるなら付いて来い」
面倒そうにそういうと、男はきびすを返し
名乗りもせずにさっさと自分の機体に戻っていった。

あたしはあっけにとられていたが、何も判らない所に放り出されたままよりは、
どこかの機関や国に属して情報などの提供を受けたほうがいいと判断した。
機体内部に戻り、再び起動させる。
ダメージは軽かったらしく、起動・制御に問題は無いようだった。
白い機体と同じ高さまで浮上すると、残りの2機が後方に付き、
あたしは3機に付き添われる形でその場を後にした。






© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: