NO-NAMEの隠れ家

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岡村靖幸

作品レビュー

1stアルバム
『yellow』
(1987.3.21)



2ndアルバム
『DATE』
(1988.3.21)





3rdアルバム
『靖幸』
(1989.7.11)

1.Vegetable ★★★☆
2.ラブ タンバリン ★★★
3.どんなことをして欲しいの僕に ★★★
4.友人のふり ★★★☆
5.聖書 ★★
6.だいすき ★★★★
7.Co' mon ★★☆
8.Boys ★★★☆
9.愛してくれない ★★☆
10.Punch↑ ★★★
11.バスケットボール ★★★

総合 ★★★☆

天才と変態は紙一重というけど、彼を見ていると嘘じゃないかって気がしてきます。彼は、天才でもあり、変態でもある、そういう表現のほうが合っているんじゃないかなと。
本人曰く「これしか思い浮かばなかった」というタイトルに象徴されるように、彼らしさが発揮された全11曲の詰まった3rdアルバム。「和製プリンス」と称されることの多い彼ですが、真似事に終わらない個性的な楽曲群に耳を奪われます。デビュー時から既にプロデュースは自身の名義でしたが、今作より全ての楽曲の作詞・作曲・編曲が彼によるものとなりました。彼の本領発揮の場であるライブを意識した曲作りの要素も覗えます。
(記:2008.3.26)










ベストアルバム
『早熟』
(1990.3.21)



1.Peach Time ★★★☆
2.Dog Days ★★★★
3.Lion Heart (Hollywood Version) ★★★
4.だいすき ★★★★
5.Out of Blue ★★★☆
6.いじわる ★★★
7.イケナイコトカイ ★★★★
8.Vegitable ★★★☆
9.聖書 ★★
10.Shining (君がスキだよ) ★★★
11.Young Oh!Oh! ★★★
12.友人のふり ★★★☆
13.Peach Time (修学旅行MIX) ★★★

総合 ★★★★

1986年12月のデビュー曲『Out of Blue』~当時最新のシングル『Peach Time』までの中からセレクトされた、初期のベストアルバム。アルバム初収録曲や、今作のみで聴けるバージョンの楽曲も収録されています。
大部分が’80年代に発表された楽曲ですが、今聴いてみても圧倒的なオリジナリティ。歌謡曲全盛の時代にあって、覚えやすい流行歌とは一線を画し、また「ロックとは…」なんていう既成概念をも一蹴する、軽々とトレンドを飛び越えた彼独自の世界観がそこにはあります。
作詞・作曲のみならず、ほとんどの編曲にも携わっているのだから、彼の才能には驚かされます。ファンクやソウルの要素をいち早く取り入れたアレンジメントとひねくれたメロディーは、それ自体が当時の音楽市場において非常に特異なもの。なんとも先見の明があるというか、『早熟』というタイトルにもある意味で納得。この後の彼は、ご存じのように寡作傾向となり、ドラッグにハマっていってしまうわけで、皮肉にもこの『早熟』というタイトルはまた別の意味でも言い得て妙なものとなってしまうのですが…。
話を戻して…、しかし、そうしたトラックの独自性だけでなく、それに乗っかってくる歌詞やヴォーカル、ビジュアル面、その大胆で破廉恥なダンスやライブパフォーマンスといった周辺まで含めて、岡村靖幸の完全なるオリジナリティが確立しています。
彼の歌は、エロイ、エグイ!! そこにあるのは、限りなき自己愛の世界。ジャケットからしてそうなんだけど、彼のこの自己陶酔は一見ギャグに見えるけど、実はマジなのかもしれないと聴いているうちにだんだん思ってきてしまうんですよね。そうなったらもうお手上げ。毒されている自分がいます。「なんて気持ち悪い男だ」なんて思っていても、次第に癖になる岡村マジック。
なんとも変態的。それでいて超ポップ。聴き応えたっぷりです。
(記:2008.2.11)









4thアルバム
『家庭教師』
(1990.11.16)



1.どうなっちゃってんだよ ★★★★
2.カルア ミルク ★★★★★
3.(E)na ★★★
4.家庭教師 ★★★★
5.あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するんだろう ★★★☆
6.祈りの季節 ★★★☆
7.ビスケットLo♥e ★★★
8.ステップUP↑ ★★★★
9.ペンション ★★★☆

総合 ★★★★★

今も尚、熱狂的なファンをもつ岡村靖幸。そんな彼の作品の中でも、最も「名盤」との呼び声が高いのがこの4thアルバム。前作に引き続いて、全ての楽曲の作詞・作曲・編曲を彼一人で行っています。また、多くの演奏も、彼自身がこなしています。

全ての楽曲が独特ですが、その中から更に何曲か挙げるとしたら、まずは冒頭の『どうなっちゃってんだよ』。サンプリングを多用し、ファンク・テクノの要素が結びついたサウンドと、上辺だけをなぞる流行歌とは一線を画す独自の価値観に基づいた歌詞と音符への巧みな乗せ方、独自の歌唱法、終盤の掛け合いなど、彼の挨拶代わりの1曲としては文句のつけようがないくらいによく出来ています。

これで掴みはバッチリ!とばかりに登場するのが、岡村屈指の名曲『カルア ミルク』。近年では櫻井和寿の参加するBank Bandによってカバーされるなど、いまだに人気は高い1曲です。今作の中ではかなり万人受けすると思われる楽曲ですが、スムーズに流れるイントロからAメロの展開とは対照的に、うねるように高音低音の行き来を繰り返すBメロからサビ(「あの頃の僕は~♪」)にかけての流れが、この曲の稀少性を高める一因と言えるのではないでしょうか。そして、そうしたメロディー・ラインは、彼の歌唱法によって非常にその魅力を高めていますね。「アァアァ~ア~ァ」・「Oh~」と、各所に挿入されるフェイクもセクシー。敢えて空虚で淡々としたアレンジに徹したことも正解。「ファミコンやって、ディスコに行って、知らない女の子とレンタルのビデオ見てる」という、時代をモロに反映したフレーズがあるにもかかわらず、全体像として古さを感じさせないのは、虚無感、やるせなさ、切なさ…etc、恋愛におけるそうした感情は、時代を超えても変わるものではないということの証明かなー。

タイトル・トラックの『家庭教師』の聴き所は、何といっても中盤過ぎからの彼による語り。機械的ゆえに不気味なオケを背に、次第に高まっていく興奮を、喘ぎ声を交えて実際には彼の一人芝居で表現してしまっているのだから、彼の異常さが最も分かりやすい形で窺えます。こんな曲のあとに、爽やかなストロークの『あの娘~』を持ってくるのも面白い。

『祈りの季節』は、「和製プリンス」ぶりをはっきりと示すソウル・ナンバーですが、歌詞の面では、少子高齢化社会と性生活・自意識の関連を独自の視点から分析・表現するオリジナリティで、彼が単なるプリンス直輸入・二番煎じでないことを宣言。また、日本語を崩してメロディーに違和感なくフィットさせる作詞法・歌唱法は、彼の独自性を評価する上で忘れてはならない重要なポイント。

「岡村靖幸」をたっぷりと詰め込んだ一枚。全編に渡って濃厚な音楽が展開されます。反面、あまりの濃さと生々しさに拒否反応が出る人がいたとしても、それは自然の成り行きでしょう。1990年代が始まったばかりのこの時期に、こんな作品を、ほとんど一人で作り上げたことに敬意を表しつつ、五つ星。
(記:2008.11.17)





5thアルバム
『禁じられた生きがい』
(1995.12.13)





19thシングル
『ハレンチ』
(1996.12.1)



21stシングル
『真夜中のサイクリング』
(2000.4.19)





ベストアルバム
『OH! ベスト』
(2001.3.28)





6thアルバム
『Me-imi』
(2004.9.1)





セルフリミックスアルバム
『ビジネス』
(2005.3.30)





25thシングル
『はっきりもっと勇敢になって』
(2007.9.5)




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