NO-NAMEの隠れ家

NO-NAMEの隠れ家

KAN(1)

KANって…!?

1987年デビュー。1990年、8枚目のシングル『愛は勝つ』がフジテレビ系『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』の挿入歌となったのをきっかけに大ヒット。200万枚超えのセールスを記録し、日本レコード大賞受賞、紅白歌合戦出場などを果たします。
以後はセールス的にも目立ったヒットはないですが、根強いファンに支えられ、現在も音楽活動を継続中。シングル31枚、オリジナルアルバム14枚をリリースしています。


レビュー掲載作品

『テレビの中に』
『NO-NO-YESMAN』
『GIRL TO LOVE』
『OVER YOU』(シングル)
『HAPPY TITLE -幸福選手権-』
『野球選手が夢だった。』
『ゆっくり風呂につかりたい』
『めずらしい人生』

以下は KAN(2) に掲載しています。

『TOKYOMAN』
『弱い男の固い意志』
『東雲』
『MAN』
『The Best Singles FIRST DECADE』
『TIGERSONGWRITER』
『KREMLINMAN』
『Gleam & Squeeze』

以下は KAN(3) に掲載しています。

『何の変哲もない Love Songs』<木村和>
『カレーライス』(シングル)
『遥かなるまわり道の向こうで』
『世界でいちばん好きな人』(シングル)
『IDEAS the very best of KAN』



作品レビュー

1stアルバム
『テレビの中に』
(1987.4.25)

アマチュア時代に書きためた約100曲の中から選曲されたデビューアルバム。サウンド面は、全ての楽曲がKANさん一人による作編曲。歌詞に関しては、外部からの提供が多く、KANさんが手掛けたのは3曲だけです。
打ち込みの比重が高く、アレンジメントはその後のKANさんを思えばまだまだですが、この頃から既にメロディーメーカーとしての片鱗を見せていたりして、良い意味の青さが感じられる一枚です。

1.SPUNKY DANCE -賑やかな週末- ★★★☆

歌い出しの「コーマウェイ」というのは、何の意味もないそうです。細かい打ち込みが実にアマチュアっぽさが出ていて、これもこれで今聴く分には微笑ましいです。そんな中、間奏のサックスソロがとても良いですね。歌詞は森浩美氏によるもの。

2.セルロイドシティも日が暮れて ★★★☆

KANさんの楽曲ではその後も多くみられる「ビリー・ジョエル風ピアノ弾き語りナンバー」の最初の存在。この手の楽曲の例に漏れず、非常に美しいです。歌詞は、アマチュア時代に同じバンドで活動していた長島理生さん。

3.テレビの中に ★★★

デビューシングルとしてアルバムと同時リリース。作詞・作曲・編曲すべてをKANさん自身でこなしています。歌詞は小泉今日子さんへの想いを語ったものだと本人が明かしています。
ビリー・ジョエル『Easy Money』あたりの影響が覗えるポップロックサウンドで、「ワォ!」・「アウ!」・「イェェ!」といったシャウトを織り交ぜたテンションの高い楽曲に仕上がっていますね。中毒性の高いサビメロからは、KANさんのメロディーメーカーとしての才能が感じられますね。

4.ARE YOU READY TO BE -着衣のままで- ★★★

出だしからいきなり幻想的な雰囲気に包まれます。サビメロはこの曲も覚えやすいですが、KANさん自身は「自分らしくないというのが正直なところ」だそうです。歌詞は川村真澄さん。

5.悲しきGRADUATION ★★☆

いかにも'80年代的な打ち込みがニクイ。まさに最初期といった印象ですが、好きですね。これまでライブでもほとんど演奏されたことはなく、おそらくこれからも演奏されることはまずないと言って良いであろう楽曲。ラストのフレーズで急に重なるコーラスが存在感を放っています。歌詞は森浩美氏。

6.TOP SECRET -誰にもしゃべるな- ★★☆

『テレビの中に』に続き、KANさん自身による作詞。1984年のヤング・ジャンプ・サウンド・コーラスで奨励賞を受賞し、デビューのきっかけになった曲でもあります。なかなか細かいところで凝っています。エフェクトのかかった「誰にもしゃべるな」のコーラスが印象的。

7.恋するDISCOMAN ★★

前曲に続き、今アルバムで3曲目となるKANさん自身による作詞。「ナンパなディスコの店員がマジな一目惚れをしてしまう曲」だそうで。サウンド面にはあまり惹かれるものがありません。歌詞も、シチュエーションの細かい設定があっても、いまひとつこちらに届いてこないなぁ。

8.GOOD NIGHT ★★

初期の作品としては珍しいミディアムバラード。ねっとりとしたKANさんの歌唱も、初期ならでは。歌詞は小林まさみ氏。

9.FAIRY TALE ★★☆

再び、打ち込み小僧っぽさが良く表れたアレンジの楽曲へ。フェードアウトがなんか急ぎすぎててヘンな感じ。歌詞は長島理生さん。

10.MEMORIES OF FUTURE ★★★☆

ラストを締める壮大で幻想的なバラード。これは…名曲かもしれません。歌詞は川村真澄さん。

総合 ★★☆

(記:2007.8.13)










2ndアルバム
『NO-NO-YESMAN』
(1987.10.25)

前作からわずか半年でリリースされた2ndアルバム。アマチュア時代の楽曲を収めた1stに対し、今作ではデビュー直後に制作された楽曲が中心となっています。スタイル・カウンシルやシャディー、マット・ビアンコといった、「カフェバー音楽」的なサウンドを作るというコンセプトで、前作とは違ったカラーのムーディーな一枚になっています。アレンジでは、同い年の松本晃彦氏を迎え、共同作業で制作されました。歌詞はまだ提供のものが多いですね。
アダルトな雰囲気の漂うこのアルバムは、ふり返って聴いても、どうにもKANさんらしくない感じがして、僕はあまり好きではありません。確かに、雰囲気としては、コンセプトがしっかり表現されているとも言えるのですが…。楽曲水準としては、ポップですっきりとしたアレンジの『今夜はかえさないよ』、隠れた名曲『BRACKET』、メロディーメーカーとしてのセンスが感じられる『ONE NIGHT KISS』・『ALL I KNOW』や、ライブの定番となった『NO-NO-YESMAN』など、様々な角度から注目したいナンバーもあるのですが、総じてみるともうひとつ。特に、後半は充実していますが、2曲目~5曲目あたりの流れがどうも苦手です。

1.今夜はかえさないよ ★★★★

ひたむきなほど真っ直ぐに繰り返し奏で続けられる軽やかなホーンのアレンジに、KANさんと女性コーラスとの掛け合いによる歌が絡むポップなオープニング・ナンバー。KANさんのヴォーカルとコーラスとが、まことに適所適所に配置されていて、終始違和感なくすっきりと響いてきます。
「だますつもりなんかさらさらないさ~♪」のBメロでいったんはホロリと落としながら、再び元のメロディーに戻してくるコンパクトな構成。しかし、リスナーもややこの展開に飽きてきたきたのではないかという終盤に登場する「君もそろそろ みせてよ意思表示~♪」のメロディーとアレンジが存在感を放ち、最後までダラけさせません。ストンとした終わり方も自然です。
作詞・作曲・編曲を全てKANさん一人で務めていますが、なんといってもアレンジが冴えていて、1stからの成長を感じさせます。その後のKANサウンドの萌芽とも言えるかもしれません。ベスト盤『めずらしい人生』にも収録。
なお、この曲、もともとはKANさん宅の留守番電話の応答メッセージ用として作られた『もしもし木村です』という内輪用の楽曲でしたが、これが友人・知人に好評でCD化を決意。あらためて歌詞も書き直され、ここにこうして収録になったそうです。

2.僕は泣く ★★

このアルバムのカラーを象徴している楽曲。万人向けのポップスといった印象の1曲目とはうって変わって、アダルトな雰囲気へ。アレンジも、このアルバムの楽曲の多くでみられる松本晃彦氏との共作スタイル。歌詞は長島理生氏。

3.STYLISTIC ★★☆

ボサノバです。「STYLISTIC」というタイトルそれ自体がどこかお洒落ですね。シンプルで整然としたアレンジメントは、こちらも松本晃彦氏との共同編曲。

4.きみを想う夜 ★★★

この曲も、切なく良く出来ています。他のアルバムにポンと入っていたら良い味を出すような気がしますが、同じような雰囲気の楽曲が並んだこの作品中ではそれほど目立たないのが惜しいですね。歌詞は松尾由紀夫氏。

5.SILENT SIREN ★★☆

これは以前からあったという楽曲。唯一の松本晃彦氏の単独アレンジ。「Oh-oh-oh- オフェリア」の繰り返しのサビが印象に残ります。歌詞は長島理生氏。

6.ONE NIGHT KISS ★★★

森高千里のデビューアルバムのために書かれた曲ですが、残念ながら落選。気に入っていたので自身で演奏することにしたそうです。編曲はKANさん単独。歌詞は川村真澄さん。
この曲で、アルバムが一気に底抜けにポップな雰囲気に転換します。メロディー自体はとてもノリが良いんですよね。アレンジは打ち込みで1stの延長上といった印象。

7.BRACKET ★★★★

2ndシングルとしてアルバムと同時リリース。初期の傑作だと思います。アレンジはカッコイイ、メロディーもカッコイイ、中盤のスキャットもカッコイイで文句なし。時代を感じる楽曲が多い中で、今聴いても新鮮に味わうことの出来るナンバーです。歌詞は長島理生氏。松本氏との共同アレンジ。

8.NO-NO-YESMAN ★★☆

タイトルトラックは、初期のライブで盛り上げソングとして大活躍したナンバー。CDで聴く分には、それほど面白くもないですが(笑)。
作詞はKANさん自身。松本氏との共同アレンジ。

9.ALL I KNOW ~僕にわかることは~ ★★★☆

初期のMr.Childrenにも通じるようなポップセンスの溢れたバラード。後の『REGRETS』は、この楽曲を下敷きにして作られており、それゆえ、この曲は現在では封印されています。歌詞は蓮田ひろかさん。この歌詞はなかなか良いですね。松本氏との共同アレンジ。

10.僕のGENUINE KISS ★★☆

バンド感のあるジャジーなラストナンバー。作詞はKANさん自身。松本氏との共同アレンジです。

総合 ★★☆

(記:2007.8.14)










3rdアルバム
『GIRL TO LOVE』
(1988.6.25)

8ヶ月ぶりの3rdは、KANさんらしさが見事に花開いた傑作アルバムになりました。ブレイク前のアルバムの中では一番の作品でしょう。
まず、1st・2ndに比べて、楽曲のバラエティが豊かになりました。1stのアマチュア臭の漂う打ち込みサウンドから脱却し、更に、2ndで見せた意図的にアルバムの雰囲気をまとめる作風を転換。個々の楽曲が個性を持ったアルバムに仕上がりました。開放的な楽曲制作が行われたことが音から伝わってきます。そして、サウンド面だけでなく、歌詞についてもKANさん自身が手掛ける比重がグッと増し、今作では全10曲中8曲を作詞。KANを語る上で欠かすことの出来ない「歌詞」の魅力も、今作から存在感を強めています。
この次のアルバムが、迷盤『HAPPY TITLE』ということで、KANワールドが何の紆余曲折もなく展開していったというわけではないのですが、後の『野球選手が夢だった。』に繋がると言っても良いであろうバラエティ豊かな一枚。KANさんなりのポップスの形というのが、このアルバムからある程度明確になってきました。
本人曰く、男性が買いにくいジャケットが唯一の欠点だとか。

1.適齢期LOVE STORY ★★★☆

結婚を目前にした男性の前に立ちはだかる様々な障害を歌った1曲。「適齢期」を「テキレキ」と歯切れよく発音し、テンポの早いコンピューター・ロックンロール・サウンドにリズム良く言葉を乗せています。この曲もツアーの度にバージョンを変えて演奏されました。

2.君はうるさい ★★★★

「お友達に『KANってどんな音楽やってるの?』とたずねられたら、何も言わずに、この曲から聞かせてあげてください。」と当時本人が発言したほどのナンバー。KANさんらしさが詰まった1曲です。確かに完成度は非常に高く、コミカルな仕上がりが可愛らしいです。アレンジの変化とリンクして歌詞が展開していくのがニクイ。ベストアルバム『めずらしい人生』にも収録されました。

3.いっちょまえに高級車 ★★★

ピアノマンKANを感じることの出来る1曲です。と言っても、真剣なバラードではなくて、これまた愉快なアップテンポナンバーなんですけどね。「いっちょまえ」という言葉をもってくるセンスが良いですね。近年のライブでも久々に演奏されました。

4.フランスについた日 ★★★

スローテンポのナンバーが今作で初めて登場。実はレコード会社を移籍したいという思いが込められている楽曲です。
シングル『まゆみ』のカップリングで、リメイクして収録されています。

5.WAITING SO LONG ★★★☆

今作ではちょっと浮いているような印象を受ける楽曲ですが、完成度は高いです。分かりやすいポップス・ライターとなった今では絶対に書かなさそうな1曲。凝ったアレンジを楽しみましょう。歌詞は松尾由紀夫氏。

6.東京のお嬢さん ★★

歌詞はサエキけんぞう氏。「ヤッホーヤッホー」という間抜けなサビは、軽く聞き流すのが一番。トリビアですが、KANさんの楽曲には、タイトルに「東京」が付くものが多いです。何曲あるか数えてみましょう。

7.だいじょうぶI’m All Right ★★★★

3rdシングルとしてアルバムと同時リリースされたナンバー。はっきり言って名曲です。ビリー・ジョエル節全開のピアノサウンドで、サビの「I’m all right」の歌い方や、終盤のフェイクなどもビリー・ジョエルそのもの。しかし、全体的な雰囲気は似せながらも、しっかりとKANさんなりの楽曲に仕上げています。歌詞がまた良く作り込まれていて高ポイント。情けなくも真摯で前向きなKANさんの恋愛観が見事に歌われています。

8.恋はTONIN' ★★☆

「TONIN’」とは、「当人」から来た造語です。音の響きを重視したり、ゴロ合わせ的な遊び心を込めた歌詞が楽しいですね。サウンドはコミカルで、ポップなこのアルバムのカラーを陰で支えている楽曲のひとつと言えるでしょう。

9.言えずのI LOVE YOU ★★★★

「あのね、うんとね」のサビが印象に残るこの曲は、KANさんのレパートリーの中でも一定の人気と知名度を持った名曲です。今作リリース時にはまだ「アルバムの中の1曲」でしたが、やがて4年の時を経てシングルリリースされることになります。
美メロとシンプルで洗練されたアレンジで聴かせるサウンドが心地良いですが、それに加えて、優柔不断な男心をセンチメンタルに描いた歌詞が実に印象的。良いですねぇ。
ちなみに、この曲がMr.Childrenの『Over』の元ネタとなっていることを、桜井和寿自身がバラしています(笑)。

10.GIRL TO LOVE ★★★

松本晃彦氏の単独アレンジによるラストナンバーは、叙情的で美しいバラード。ポップなアルバムは感傷的に幕を閉じます。

総合 ★★★☆

(記:2007.8.26)










4thシングル
『OVER YOU』
(1988.10.25)

これまでの3枚のシングルは、いずれもアルバムと同時リリースでしたが、今作は初の単発シングル。
表題曲の『Over You』・カップリングの『Never Leave』は、共にアルバムには収録されず、最近までシングルオンリーの入手困難な作品でした。
しかし、『Over You』は、2004年にユニバーサルより発売されたベストアルバム『GOLDEN☆BEST』に収録され、遂にアルバム初収録。以前と比べれば、簡単に聴けるようになりました。『Never Leave』は依然アルバム未収録なので、8cmシングルを探すしかないですが…。
両曲とも、KANさんなりのポップスとして作られており、もはや1st~2ndのような雰囲気はなし。このまま『野球選手~』に繋がっていくのが流れとしては自然なのですが、この後の作品はまた打ち込み色の濃さが戻ってくることになります。

1.Over You ★★★

「あーーーー」といういきなりの歌いだしや、楽曲全体の雰囲気など、アルバム『GIRL TO LOVE』の延長線上のようなポップな仕上がりですが、アレンジは後に米米CLUBのメンバーとして加入する林部直樹氏と共同で行われており、よく聴いてみれば一味違った出来。サビのコーラスの重ね具合がお洒落です。歌詞は「性」の問題に取り組んでいます。

2.Never Leave ★★

うっとりするようなピアノバラードで始まったと思いきや、中華風のアレンジメントへと変化するという1曲。アルバム未収録集なんて出すことはなさそうだし、おそらく今後もずっと日の目を見ることはない曲でしょう。「Never leave」と「ねばり」というギリギリの押韻も飛び出します。冒頭のバラード部は本当に美しいので、そこだけのためにでも是非(笑)。

(記:2007.8.26)










4thアルバム
『HAPPY TITLE -幸福選手権-』
(1989.6.21)

前作『GIRL TO LOVE』は、KANさん自身にとっても自信作だったようで、これが売れなかったことでKANさんは精神的にも落ち込んでしまいます。打ち込み色が強く、歌詞もやたら考えすぎているようなものが多いという印象。この時期のKANさんの精神状態が感じ取れるような一枚です。『GO PLAIN』・『FOREIGNER』・『A MAN IN DISSATISFACTION』などは、KANさんのレパートリーの中では異色とも言えるような暗さと難解さ。せめて楽曲だけでも明るく…ということで作られたナンバーもあるようですが(『君から目がはなせない』・『REAL REACTION』など)、いつものKANさんとはやはり違ったものを曲からも感じますよね。
楽曲のほうは、遂に全曲をKANさん一人で作詞・作曲という形に。編曲は、それまでの共同アレンジ方式をやめており、KANさん単独でアレンジしたものもあれば、松本晃彦・奈良部匠平・大谷幸の各氏にそれぞれ依頼したものもあります。
前後の『GIRL TO LOVE』・『野球選手が夢だった。』という各作品とは違った次元に位置しているような作品です。
全単独での作詞・作曲達成と並んで、それまではペラ紙だった歌詞カードがブックレット化されたことも、KANさんにとって喜ばしいことだったようですが、「あやふやで可哀想なアルバム」というのが今作への自身の評。
ただ、『REGRETS』はいつ聴いても切なくなる名曲。これは本当に良いです。

1.UNIT OF SOCIETY ★★★

作詞・作曲・編曲を全てKANさん単独で手掛けています。今作を象徴するような打ち込み色の強いナンバー。サウンド面だけでなく、歌詞もやたら悲壮感が漂っています。最後の「さあ 勇気を出して Unit of Society♪」というフレーズが展開していくところや、女性コーラスと重ねたヴォーカルなどは面白いですね。
元々は、このアルバムのタイトルも『UNIT OF SOCIETY』とする案もあったようですが、難しすぎるということでやめたそうです。

2.OLD FASHIONED GIRL ★★★☆

この曲は、わりと『GIRL TO LOVE』からの正統な流れの中にある曲だと言っていいと思います。ハネたポップナンバー。自由奔放なヴォーカルも楽しそう。編曲は大谷幸氏。
歌詞カード2行目の「oh」がナナメってますが、これを誤植と捉えるか、意図したものと捉えるか(笑)。

3.REGRETS ★★★★★

6thシングルとして、アルバム発売後の9月1日にシングルカット。
本作収録曲中では少ないバンドサウンドによる失恋ソング。最初と最後が輪のように繋がるエンドレスメロディーが、これ自体泣きメロで本当に良いのですが、アレンジも最高の形でこの曲の良さを引き出していますね。
君に「忘れてたこと」・「かくしてたこと」をひとつひとつ並べていった歌詞が切ない…。タイトルが『REGRETS』(後悔)というのが泣かせますね。振り返れば、後悔ばかりが出てくるものです。ストリングスとバンドサウンドが織り成す壮大な間奏がまた涙腺を刺激しますね。
曲構成もよく考えられていますし、ケチのつけようがない素晴らしい楽曲。

4.GO PLAIN ★★★

『REGRETS』から一転。1曲目に続いて、再び打ち込みナンバー。この時期の打ち込みというのは、ある意味当然ではありますが、初期のアマチュア小僧的な打ち込みとはまた違った色を見せています。更にディープな世界へ。
「君の言うことは 二次方程式よりややこしい」…この人の歌詞は目の付け所が普通じゃないですね。

5.君から目がはなせない ★★★

直前までシングル候補だったという楽曲。結局カップリング曲になったわけですが、なるほど、キャッチーなメロディーには耳を奪われるものがあり、シングルリリースが検討されていたというのにも納得。「出会いがしらにParty Night~♪」という歌い出しのメロが冴えていて好きです。アレンジはリック・アストリー風のユーロビートを意識したとのこと。

6.ALL I WANT IS YOU ★★★

ムーディーで美しいミディアムナンバー。夜を舞台にした歌詞もサウンドにピッタリですね。機械色の強い楽曲が多い中で、こうした曲が入ってくると映えますね。原型はデビュー前に作られていたんだとか。

7.FOREIGNER ★★☆

当時のKANさんの精神状態がモロに反映されたような楽曲。KANの最極地と言ってもいいかもしれませんね。カッコイイんだけど、ちょっと聴いていると辛さがこっちまで伝わってきてしまうので、あまり好きになれない曲ではあります。

8.REAL REACTION ★★★★

やはり、精神的に落ち込んでいる中で作られた楽曲ということで、どうしても『GIRL TO LOVE』のような明るさは見られません。ポップな楽曲なんですが、出来上がりの雰囲気からは、やはりKANさんらしさはあまり感じられないんですよね。
ただ、馴染みやすく知的な感じもするこの曲のメロディーは、僕はかなりお気に入りです。「アクション♪」・「リアクション♪」のクールなコーラスもマル。

9.A MAN IN DISSATISFACTION ★★★

サビ以外は語りに近く、メロディー作りを放棄したとも言える異色中の異色作。歌詞はKANさんの思想が全開しています。一応励ましソング的なニュアンスもありますが…。

10.東京ライフ ★★★

5thシングル。東京生活でのいろいろな迷いが素直にあらわれている楽曲。「君」の存在だけが、そんな迷いだらけの「東京ライフ」を支えているのです。この曲も、「名曲」と呼んでいいかもしれませんね。
ベストアルバム『めずらしい人生』収録のピアノアージョンは、この良さが更に感じられると思います。

総合 ★★★

(記:2007.9.2)










5thアルバム
『野球選手が夢だった。』
(1990.7.25)

『愛は勝つ』のミラクルヒットにより、多くの人に聴かれることとなった5thアルバム。それゆえ現在では中古市場で(以下略)。
今作から、アレンジャーとして小林信吾氏を迎えて、先行録音していた『青春国道202』以外のすべてを共同で編曲しています。小林さんの力は本当にプラスになったようで、結果、楽曲が格段にバラエティー豊かなものへと変貌を遂げています。前作『HAPPY TITLE』での機械色の強さと暗さはどこへやら。今作では、各楽曲の良さを最大限に生かす形で、幅広い音色でのアレンジメントが施されています。一つ一つの楽曲が、どれも暖かな雰囲気に包まれている感じがしてきます。
小林さんとは、その後12thアルバム『KREMLINMAN』に至るまで、共同で編曲を行っていくことになります。KANのアルバムの基本的なカラーが確立したのも、このアルバムからという印象があります。
やはり『愛は勝つ』の入っているアルバムという目で見られがちですが、それを抜きにしても、名曲が並ぶ極上のポップスアルバムとして十分に評価できる一枚だと思いますね。
このアルバムを語りながら、一晩飲み明かせる自信があります(笑)。

1.愛は勝つ ★★★★☆

ご存知のように、約200万枚を売り上げたKANの代名詞的ナンバーです。この曲も元々はアルバムの中の1曲で、約1ヵ月後の1990年9月1日にシングルカット。人気テレビ番組『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』挿入歌に起用されたことから話題を呼び、翌1991年にまたがるロングヒットで、国民的ヒットナンバーにまで成長したのです。
セールス面で見ると、この曲だけケタ違いの売り上げで、2番目のセールスの曲となると10万枚台まで落ち込むので、彼が『愛は勝つ』の一発屋と呼ばれるのも仕方ないのですが、彼の他のナンバーを聴いてい見れば、抽象的で匿名的なテーマのこの曲が彼の中ではむしろ異色作であるということは、容易にわかるはずです。
1曲目に置かれているのも、この曲がメインだからという意味でではなく、単に中盤に入れてしまうと極端に浮いてしまうからのような。
そんなこんなで、「KAN=愛は勝つ」という方程式で語られるのは、彼自身にとっても望むべきところではないでしょうし、ファンからしてみれば、「『愛は勝つ』なんかより、もっと良い曲がいっぱいあるんだぞー。」という気持ちになってしまったり、あるいは、この曲に関する話題は暗黙のものとされていたりするのです。一発屋でKANを処理してしまうのは、あまりに勿体無いよー、と。それには、以後のアルバムを聴いてもらうのが一番いいんだけど。
ところが、「『愛は勝つ』なんかより」なんて言ってみても、やはりこの曲の良さは認めながらのそんな発言であるのもまたファン心であって(笑)。転調を繰り返す独特の展開でいて、終盤まで一気に流れるようなメロディーは、この人でなければ書けなかったものだろうと思ってしまうわけです。「信じることさ 必ず最後に愛は勝つ」というフレーズを、1コーラスの終盤までタメるという、じらし方もまた良い(笑)。あのピアノ弾きながらのタテ揺れも、みんな真似しましたしね(してない)。
それから、シングル発売されたときのカップリング曲が、A面では「愛は勝つ~♪」と歌っておいて、『それでもふられてしまう男』というタイトルだったのは、さすがKANさんでした(笑)。
長くなって、何が言いたいのかわからなくなってしまいましたが…、まぁ、なんだかんだで、この曲あってのKAN。でも、これがKANだっていうわけじゃない。

2.恋する二人の834km ★★★☆

遠距離恋愛をテーマした曲。834kmとは、東京-札幌間の距離とのことです。
下を噛みそうな早口なサビが印象的なアップテンポのナンバーで、詞のほうも、明るめのタッチで描かれています。「たった834kmくらいでぼくの気持ちはかわらない」っていいなぁ。
Bメロかと思ったらサビだったという、リスナーを追い越してしまう構成が意外でした。

3.けやき通りがいろづく頃 ★★★☆

小説のように細かく登場人物が描かれた歌詞。実に5人の人物の間での人間関係が「僕」の言葉の中に現れるこの革新的な描写には、衝撃を受けた人もいるのでは?
「僕」の好きな人を「君」だと考えるリスナーも居ますが、僕はそれには異説を唱えたいところです。どちらにしても、深読みされる余裕を持たせた描き方も巧いと思うし、この歌詞であることこそが、この曲が名曲たるゆえんでしょう。
サウンド面では、素朴な歌いだしと共に始まり、とってつけたように壮大になるサビは、ややわざとらしい一面もなくはないですが、終盤に至る時点では、一気に引き込まれるほどの迫力を持っています。
僕は曲の終わりのピアノソロが大好きです。

4.青春国道202 ★★★

お得意のハネたリズムのポップナンバーで高校時代を描いた青春ソング。
Aメロ~Bメロの綺麗な流れは職人技だと思います。
「恋をしてるよ 恋人はいないけど」って歌詞は巧いし、高校の頃は「大学生が大人に見えた」ってのは、本当にそうですよね。

5.千歳 ★★★★

冬の千歳空港を舞台にした悲しいストーリー。ファルセットとシンセが描き出した冬のサウンドが、あまりに切な過ぎる恋人との再会を更に悲壮なものとします。
「本当は今も君が好きだよ それが一番くやしい」…KANさんの歌詞のラスト一行って、いつも心に染みます。

6.Happy Birthday ★★★

パーティーソング。みんなは気付いていない、でも僕らは恋人、みたいなシチュエーションが幸せそうでいいですね。「はなをかざって~♪」のメロでは、『かえるのうた』コーラス隊が登場します(笑)。

7.ぼくたちのEaster ★★★

Easterとは復活祭のこと。ここで描かれているのは、よりを戻した恋人の復活祭といったところでしょう。スティービーワンダー風のミディアムナンバー。

8.健全 安全 好青年 ★★★

「これが『愛は勝つ』の1コ前のシングルなんだよ。」と言ったら、世間の人はどんな顔をすることでしょう。
打ち込みダンスサウンドに、情けなさ全開の歌詞が乗る1曲。
※いずれまた詳しく更新します。

9.1989 (A Ballade of Bobby & Olivia) ★★★☆

※いずれまた詳しく更新します。

10.君が好き胸が痛い ★★★★

ピアノ弾き語りによる感傷的なバラード。曲全体の雰囲気は、ビリー・ジョエルの『Honesty』を下敷きにしたものと思われます。
夕暮れ時がよく似合います。シンプルな演奏なのに、いや、だからこそ、悲痛な訴えがこちらに鋭く伝わってきます。
声をかすれさせながら叫ぶように歌う「街は確実に時が過ぎ~♪」というCメロは、KANさんの全楽曲の中でも一番に印象が残るほどのカタルシス。傑作揃いの今作を締めるのに相応しい名曲です。

総合 ★★★★

(記:2005.12.22)










6thアルバム
『ゆっくり風呂につかりたい』
(1991.5.22)

『愛は勝つ』の大ヒットによって、かつてない忙しさの中で作られた6枚目。
これまでKANの音楽を聴いてきたファンの期待には応えられる自信があるが、セールス面での期待には応えられなかった、とKANさん自身が語るように、『愛は勝つ』に続くシングル『イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ』の売り上げも今ひとつパッとせず、これ以降、KANさんは世間から「一発屋」のイメージで語られることとなってしまいます。
あと、やはりこれも本人が失敗だったと語っている通り、このアルバムタイトルと、お風呂から目だけ出しているこのジャケットは、一般層にイロモノの印象を与えてしまったわけです。これじゃお笑いの人だと思っちゃいますからね(笑)。実にらしいと言えばらしいのですが。ここだけ一面的に見られてしまうとね、マズイわけです。
さて、そんなこのアルバムですが、中身をみてみると、全9曲と短い中に、KANのポップセンスがギュッとつめこまれた好盤になっています。
『発明王』、『決まりだもの』、『信じられない人』といった愉快なナンバーに、『プロポーズ』、『永遠』といったしっとり聴かせる曲まで、前作にも増して幅広くバランスの良い9曲が詰め込まれた充実の1枚。まぁ、ほんと、ご本人の自信の言葉が示すとおり、KANさんの音楽が好きなら確実に気に入るであろう作品ですね。ぜひどうぞ。

1.発明王 ★★★

いきなりアコギ弾き語りで始まります。歌詞カードにはコード譜も書かれていますね。ビデオ『発明王』では、ショートコント(?)つきで収録されています(笑)。
ほのぼのした中に、微妙に切なさが漂ってくるあたり、実にウマイ。
「まりなちゃんの胸もゆがんで見えた」という歌詞は、渡辺満理奈ではなく、アダルト女優の松本まりなさんのことだそうで(笑)。

2.決まりだもの ★★★☆

プチ・ディスコサウンドに乗せて、自身のルックスへのコンプレックスを歌ったナンバー。サウンドはカッコイイのに、この歌詞がきちゃうところがKANさんらしい。
途中に入る女性の会話は、KANさんは本当にこんなこと言われてきたんだろうなぁ(失礼)と、ちょっとしんみりしてしまいます。

3.プロポーズ ★★★★

アルバムリリース後にシングルカットされるこの曲は、スティービーワンダーを下敷きにした美メロが冴える名曲。
いわゆる商業音楽からかけ離れたサウンドで、KANさんの素晴らしいフェイクも聴くことができます。

4.ときどき雲と話をしよう ★★★★

『イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ』と両A面でリリースされたナンバー。エンドレスのメロディーが失恋後のむなしさを癒します。耳馴染みの良いキャッチーなメロディーとアレンジはもちろんのこと、無駄を削いだ構成も良く、短い演奏時間にKANさんの良さが濃縮されています。
中盤に挿入される「晴れた空には高く~♪」のメロディーが涙を誘います。また、ラストの「もうそろそろ君のこと忘れよう~♪」というフレーズは、とんでもなく切なく聴こえてきますね。『愛は勝つ』の次は、この曲を(シングル1曲目として)押し出せば良かったのに。

5.ぼくの彼女はおりこうさん ★★

ライブで盛り上がる軽快なポップロックナンバー。直接的な歌詞を並べて、彼女への愛を歌ったと思えば、実は「彼女」とは「PILLOW」ちゃんだったというオチが発覚。僕はこれで「PILLOW」という単語を覚えましたからね(笑)。

6.永遠 ★★★☆

ピアノ弾き語りの名曲。ライブでもラストに演奏されることが多かったこの曲ですが、KANさんが結婚してからというもの、人前で披露するのは封印したのでしょうか。
淡々と歌われる中に、愛があふれています。

7.信じられない人 ★★★

種ともこさんとのデュエットソング。ラテンのノリで、軽妙な味の種さんのヴォーカルも見事にフィットしています。歌詞も愉快きわまりなし。「秋山さんが宇宙に行く時代に 目の前の僕をなんで信じられないの」とのフレーズはザッツKANさん(笑)。

8.イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ ★★★☆

『愛は勝つ』に続くシングルとして、『ときどき雲と話をしよう』との両A面でリリースされたのですが(こちらの『イン・ザ~』が1曲目で実質A面)、『愛は勝つ』からかなり期間が空いたことやタイアップのドラマがコケたことなども要因となって低セールスに終わりました。本人曰く「プレッシャーに勝てなかった曲」。KAN好きとしても、KANさん本人としても、黒歴史の1曲。
やっぱり『愛は勝つ』の路線を狙った(そうせざるを得なかった)ことは見え見えで、アルバム全体を通してみても、この曲だけ見事に浮いているのがわかると思います。結局『愛は勝つ』の二番煎じなんですよね。『愛は勝つ』の第二段を求める周囲の状況に反対出来ずにでっちあげた1曲でしょう。
ま、とは言っても、スケール豊かなメロディーは嫌いじゃない、というかむしろ好きだし、「いつの日にも歴史に残るのは変や乱さ」という印象的な歌詞はお気に入りです。

9.恋人 ★★★★

『恋人』というタイトルで、いわゆる別れ際を描いたナンバーに。曲全体に漂う悲しいムードが染みます。「そろそろ行くね 本当はいやだけど」という歌詞で終わるのもまた泣けますね…。

総合 ★★★☆

(改:2007.5.24)










ベストアルバム
『めずらしい人生』
(1992.2.26)

KAN初のベストアルバム。本人曰く「ダイジェスト盤」。デビュー~この時点での最新シングルまでの中からセレクト。今となっては、初期の作品集といった感じですね。
やはり本人は最初はベスト盤は出したくなかったようですが、市場での需要を考え、発想を切り替えて、一応は前向きな形でリリースしたようです。
KANさん自身がプロデューサー的な役割も果たしており、「ここでお風呂から頭だけ出しててもしょうがない」と本人が言うように、今回は買いやすいジャケットになっています(笑)。
本人が頭を悩ませてセレクトした収録曲も文句のつけようがないですが、「今回選曲から漏れた『プロポーズ』だって、この次もう1回選曲し直せば、収録されるかもしれない。」と語っているように、最後までセレクトは納得のいくように決まらなかったようです。
とは言え、曲順は上手いことヒネってあって、トップに新曲、続いてKANサウンドを象徴するような『君はうるさい』がくるという構成。『REGRETS』から『ときどき雲と話をしよう』という流れももニクイですね。
どれも良い曲ですからね、まぁ、初めはコレを聴いてもよさげですが、このベストの後にも当然ながら良作が数多く生み出されていますし、このアルバムからは感じ取れないKANさんの魅力も少なからずあると思うのでね、オリジナルアルバムもどうぞ。
初回盤には、KANさんの子供の頃の写真などが収録されたブックレットが付いてきました。

1.めずらしい人生 ★★★☆

新曲。壮厳なピアノのイントロから、突如アップテンポへと転じる歌い出し。音階どおりの「レレレドシラシドシラ~♪」という意表をつくフレーズをKANさんが明朗に歌い始めます。
KANさんの自伝的な歌詞になっており、「はじめて舞台に立った5才のぼくは さるかにの猿で~♪」と『決まりだもの』(アルバム『ゆっくり風呂につかりたい』収録)の「初ステージはmonkey」のエピソードがより詳細になって再登場。「あれほど逃げまわっていたピアノを弾きながら~♪」というフレーズは、1番までの流れの中ではまだ微笑ましく見守るような気持ちで聴けるのですが、「「あのね、うんとね」とうたってたわりに ぼくは考えすぎてた~♪」と『言えずのI LOVE YOU』の歌詞を引いてスタートする2番から、歌詞の内容はどんどん重く、ショッキングな方向へと進んでいきます。『愛は勝つ』のパブリック・イメージの裏でのKANという人間の苦悩を知るには、この曲を聴くのが良いかもしれませんね。ダイジェスト・アルバムのタイトル・トラックにこの曲…というのも、必然的と言えるかもしれません。後奏も美しく聴かせます。

2.君はうるさい ★★★★

3rdアルバム『GIRL TO LOVE』からの選曲。

3.今夜はかえさないよ ★★★★

2ndアルバム『NO-NO-YESMAN』からの選曲。

4.言えずのI Love You ★★★★

3rdアルバム『GIRL TO LOVE』からの選曲。長らく「アルバムの中の名曲」という位置づけだったこの曲も、このベストアルバム発売から1ヶ月後、初出から約4年の歳月を経て遂にシングル・カットされることになります。

5.だいじょうぶI’m All Right ★★★★

3rdシングル。

6.恋する気持ち ★★★☆

10thシングルとして『プロポーズ』と両A面でリリースされたナンバーで、今回がアルバム初収録。
1曲目『めずらしい人生』以来、中4曲を挟んで登場の小林信吾アレンジ。やはり、小林信吾氏と出会って以降(『野球選手が夢だった。』以降)の楽曲らしい弾けるようにポップな生音アレンジが利いています。明るく叩くように弾いているのであろうピアノの音色も、恋の最初の状態の高揚感を表現した歌詞と違和感なく融合。「緊張」・「真剣」といった単語を、「キンチョウ」・「シンケン」などとサビのリズムに乗せ、歯切れよく歌っているのが特徴的。Bメロの「だけどwhy~♪」のメロディーは、後に『丸いお尻が許せない』で再登場。「二度と恋はできないはずだったのに~♪」の音階の崩し具合は確信犯的です。「解(げ)せない」なんていう日常あまり使わない単語がときどき出てくるのもKANさんらしいですね。
歌詞とサウンドの共存具合はさすがですが、シングル単独A面としては、テーマも曲の格もやや弱いですね。そういう意味では、両A面の2曲目という売り方は正解。
ただ、A面(シングル1曲目)だけを見てみると、『愛は勝つ』→『イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ』→『プロポーズ』といった流れで、この曲のような「3分代のポップス」的な側面のアピールが出来ていないのもまた事実。両A面シングルとしてリリースされた『イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ/ときどき雲と話をしよう』の1・2曲目が逆(あるいは、別々にシングルA面としてリリース)だったら良かったのになぁと、いつも思います。

7.東京ライフ ★★★☆

5thシングル『東京ライフ』のリテイク。
以前からファンの間で名曲と呼ばれていたこの曲も、ピアノでの演奏や、かすれ気味のKANさんの歌声によって、より哀愁が感じられるようになりました。

8.こっぱみじかい恋 ★★☆

アルバムに先駆けて、11thシングルとしてリリースされたナンバー。
「こっぱみじかい」という単語が造語なのかそうでないのか今でもわからないのですが、この曲でしか聞いたことがないのでおそらくKANさんによる造語でしょう。フェイドインしてくる性急なイントロが、長続きすることなく終わっていったひと冬の恋を象徴しているかのようで、つかみはなかなか良さげ。ただし、その後がもうひとつの印象。なにより、この時期のKANさんの声はかすれがひどく、それをアレンジで(言い方は悪いですが)ごまかせていないので、一般リスナーにはちょっと聴かせづらいところ。ある程度KANさんの曲調・歌詞世界を理解したリスナー向けのスルメ的な味わいのある1曲と言えそう。このタイミングでレコーディングしてシングルとして世に出す楽曲としては失敗だったように思います。かえすがえすも、何故『ときどき雲と話をしよう』をもっと押し出さなかったのでしょうか。

9.Regrets ★★★★★

6thシングル。

10.ときどき雲と話をしよう ★★★★

9thシングルとして『イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ』と両A面でリリースされたナンバー。

11.愛は勝つ ★★★★☆

8thシングル。

12.テレビの中に ★★★☆

デビュー曲です。

13.永遠 ★★★☆

6thアルバムからの選曲。

総合 ★★★★

初期のKANをダイジェスト的に楽しめる一枚です。
(記:2006.3.2/一部加筆修正:2007.7.19)


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: