ギターのター坊こと大森隆志作詞・作曲による、アメリカンロック。こうやって、桑田さん以外のメンバーの名義で作詞・作曲を発表するのは初めてですね。 ヴォーカルもター坊自身が務めます。 ピアノの音色、ギターサウンド、大好きなんでしょうねー、こういうの。 大森さんのヴォーカルも、曲調によく合っているじゃないですか、うん。 「All right!!」のシャウトからギターソロに向かう展開なんて、アメリカンロックそのものだし、「Don’t you worry Suger you got me by you side」というサビは、コーラスも相まってカッコイイですね。
9thシングル 『ジャズマン (JAZZ MAN)』 (1980.6.21)
『FIVE ROCK SHOW』の第4弾。アルバム未収録シングルです。 今回はジャズ。シングルでは初の試みですね。スタジオ活動に専念したこの時期の意義というのが、毎回のシングルの作風の幅広さから伝わってきます。
そして、カップリング。企画のタイトルである『FIVE ROCK SHOW』をそのまま曲題にした今作は、なんと6種の楽曲をつなげて1曲にしてしまったというアバンギャルドな作品。 曲調はどれも幅広く、もはやなんでもありです。 ヴォーカルもメンバーがかわるがわる務めているのですが、誰がどの部分を歌っているのかというと諸説あって、一体どれが正しいのかわかりませんが、個人的には…↓
「A lot of song~」→桑田 「ほれたはれたの~」→桑田 「すうだら男が~」→大森 「ゲイ・ダーリン…」→毛ガニ 「あんな女でよけりゃ~」→松田 「誘いの態度が~」(1回目)→大森 「ムクちゃん!!」→大森 「誘いの態度が~」(2回目)→関口 「A lot of song~」→桑田 「髪の毛が風になびいて~」→桑田
1年4ヶ月ぶりの4thアルバム。 『FIVE ROCK SHOW』を挟んだことも影響してか、これまでとは大きく異なった雰囲気を持った作品に仕上がりました。 アマチュア臭はほぼ完全に拭い去られ、全体としてしっとりとした空気でまとめられていて、なんとも洗練された大人な雰囲気漂う一枚です。 勢いで作られた土臭い楽曲というよりも、1つ1つの楽曲を丁寧に作りこんである印象が以前にも増して強いものとなってきています。 前半に比べて後半のムードが地味過ぎるというきらいもありますが、この作品独特の味わいは、ファンにも根強い人気を誇っています。 そんな中、先行シングルとして敢えて一般受けしそうにない濃ゆいブルースロック『Big Star Blues』をリリースしたのは、桑田さんの冒険心のあらわれでしょう。
5枚目のアルバムは、土臭くロックフレーバーが漂う楽曲の多い一枚となりました。 『ステレオ太陽族』での大人の音楽から、再び最初期のアルバムのような学生バンドらしい勢いを取り戻したかのような感じがあります。しかし、決して勢いだけの演奏で済ませた作品というわけではなく、しっかりと『ステレオ~』を経ての経験を活かした音楽になっています。 また、ロック色が強いとは言っても、楽曲の幅は多彩で、ソウルの『思い出のスター・ダスト』や『女流詩人の哀歌』、レゲエの『来いなジャナイカ』、昭和歌謡の『流れる雲を追いかけて』、ビートルズ風の仕上がりの『猫』など、様々なタイプの楽曲がバランスよく詰め込まれています。 ロックンロールのスタンダードに終始してしまった『PLASTIC SUPER STAR』を始め何曲かは、精神的な面も含めての稚拙さが恥ずかしいし情けないと桑田さんは語っていたり、13曲という曲数の多さのせいで後半にややダレが来るかなという点もありますが(実際『Just a Little Bit』はとても良い曲だが、13曲目というせいで損をしていると思う)、前半から続く良曲の連続など、聴き手を引き込む、勢いに満ちた傑作アルバムと言えるでしょう。
桑田さんが青学時代に所属していた音楽サークル『ベターデイズ』を観客にライブレコーディングしたロックンロール。 歌詞は、前作での『Big Star Blues』と似たタイプで、さりげなく皮肉を織り交ぜ、面白おかしくロックスターを描いています。
8. Oh! クラウディア
★★★★
ライブのラストに演奏されたことも多い、サザンの名バラードの1つ。 メロディーの美しさは絶品。スタンダードなAメロから、冒険した印象のあるコード進行のB・Cメロを経て、再び戻る2番のAメロの美しさは更に煌きを増します。 冒頭に、前曲『PLASTIC SUPER STAR』のアウトロの歓声が重なっていますが、どうやらサザン側にもこの音源しか残っていないらしく、後に出るコンピレーション盤にもそのまま収録されています。
ラストを締めるのは、しっとりとしたバラード。 ビートルズ風で、英詩で歌われる終盤も良い味を出しています。 サザンのアルバムのラストを飾るバラードはどれも人気が高いですが、この曲はどうも陰に隠れがちな印象があるのは、アルバムの収録時間の長さのせいでしょうか。 いや、しかし、じっくり聴くと染みますね。平井堅の『片方ずつのイヤフォン』という曲の歌詞中に「サザンオールスターズ」の名前とともに、この『Jus a Little Bit』という曲名が登場します。