NO-NAMEの隠れ家

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CHAGE and ASKA(3)

作品レビュー…の続き

12thアルバム
『PRIDE』
(1989.8.25)





バラードベストアルバム
『THE STORY of BALLAD』
(1990.2.7)

1.天気予報の恋人
2.オンリーロンリー
3.レノンのミスキャスト
4.迷宮のReplicant
5.夏の終わり
6.ripple ring
7.風のライオン
8.ショート・ショート
9.Far Away
10.恋人はワイン色
11.WALK
12.心のボール

『Z=One』~『PRIDE』のアルバムの中から選曲されたバラードベストアルバム。2004年のシリーズ第2弾『THE STORY of BALLAD II』の際にリマスタリングが施されて再発売されています。
ベストアルバムといっても、「ヒット曲満載!」みたいな選曲になっていないのが素晴らしいですね。シングルA面曲を3曲にとどめ、ファンならニヤリとしてしまうような隠れた名作・佳作を選んできています。個人的にはこれまであまり聴き込んでいなかった『ショート・ショート』や『Far Away』といった楽曲は、ここに収録されたことによって、その良さに初めて気付かされました。
わりとファン向けの一枚かもしれませんね。『WALK』はここでしか聴けないコーラスが追加されたバージョンで、また、ラストには福岡市の市制100周年メモリアル・ソング『心のボール』が収録されています。
(記:2008.9.1)





13thアルバム
『SEE YA』
(1990.8.29)





14thアルバム
『TREE』
(1991.10.10)

『SAY YES』が、ドラマ『101回目のプロポーズ』の主題歌に起用されてオリコン11週連続1位、200万枚超えの大ヒットを記録し、セールス面でいわゆるチャゲアス黄金時代に突入。このアルバムも、売れに売れまくり、当時の歴代アルバムセールス第1位に輝きました。

アップテンポの『僕はこの瞳で嘘をつく』、そして『SAY YES』と立て続けにシングル曲で幕を開けますが(『僕は~』はシングルカット)、その後はアルバムの流れとしては落ち着いた雰囲気に。2人の共作ナンバー『MOZART VIRUS DAY』、ポップな『明け方の君』、ユーモラスな『CATCH & RELEASE』などといった曲もありますが、全体としてはどっしりと腰を据えて制作したような落ち着きがありますね。こうした作風をどのようにとるかで、今作への印象は変わってきそうです。売上げほどの派手さはないので、肩透かしされないように注意。
とはいえ、終盤に置かれた『BIG TREE』は、その豊かなスケール感が素晴らしく、「名曲」と呼んでいい出来。ラストの『tomorrow』も負けず劣らずのバラードです。
邦楽とも洋楽とも似つかわしくない、独特の世界観を構築した彼らのサウンドは、このアルバムから本格化した感があります。また、ASKAさんの、時にダイナミックで、時に繊細な歌唱も、この時期が頂点だったように思えます。バブリーなセールス面に捉われずに、リスナー側もじっくりと聴くのが良さそうな一枚。

1.僕はこの瞳で嘘をつく ★★★★

アルバム発売後の1991年11月21日に、28thシングルとしてカット。
『SAY YES』の大ヒットによってより強固になった「チャゲアス=バラード」のイメージを覆す硬質なロックナンバー。緊張感のある響きと、ASKAのフェイクありシャウトありの変幻自在・自由奔放でありながら芯の通った歌唱に耳を奪われます。ポップ性とのバランスも良く、アルバムの掴みとしてもハマリ役。ライブでの2人が肩を組んで歌う姿が印象的でした。

2.SAY YES ★★★★★

27thシングル。1991年7月24日リリース。
この曲に五つ星をつけるという行為には気が引ける部分もあるのですが、あらためて聴いてみると、とてもよく出来た曲だということがわかります。
アレンジメントは丁寧に構築されているし、二人のハーモニーは絶品。また、「愛には愛で」から「感じ合おうよ」へ持っていく、こんなコード進行、他では耳にしたことがありません。
「言葉は心を越えない とても伝えたがるけど心に勝てない」という歌詞は、ASKAさんが常日頃作詞をするにあたっても感じていることかもしれませんね。

3.クルミを割れた日 ★★★

躍動感あるドラムが印象的で、後半にかけて盛り上がるアレンジメントも聴き所。歌詞中にも言葉が出てくる「ミュージカル」風の楽曲。ただ、いまひとつ魅かれるものがないです。ASKA自身もこのテイクには不満だったらしく、後に『STAMP』でリメイクしています。

4.CAT WALK ★★

CHAGE曲。編曲は今作唯一の村上啓介。雰囲気で聴かせる楽曲で、不穏な夜のムードたっぷり。「非常階段」という単語が醸し出す雰囲気がいいですね。後の『two of us』でもこの言葉が登場していますが、CHAGEさんもお気に入りだったのでしょうか。「愛の深さと 罪の深さにとまどう」というフレーズも好きです。
この曲、長らく捨て曲だと思っていましたが、最近は時折聴きたくなってしまいます。

5.夜のうちに ★★☆

静かな静かなアレンジを施した唱歌風バラード。あまり好きではありません。

6.MOZART VIRUS DAY ★★★☆

なんと作曲名義が「CHAGE&ASKA」。二人がそれぞれ作曲したメロディーを繋げて作られた組曲です。
CHAGE作曲のスローな前半から、ASKA作曲のアップテンポな後半(「触れそうだよ~♪」の部分)へ転ずるところは快感ですね。ASKAさんのやる気なさそうなコーラスも好きです(笑)。当時の彼らのアグレッシヴな姿勢が表れた面白い1曲です。

7.誰かさん~CLOSE YOUR EYES~ ★★★★

CHAGE作詞・作曲のバラード。美しいメロディーとアレンジに透明感のある歌声。綺麗な1曲ですね。独特の美しい世界観を持っていながら、決して敷居の高すぎることのない佇まいがまた良いですね。
「フゥ~ウゥウ~」というCHAGEさんが多用するハミングもサビで効果的に活用されているし、ASKAさんが歌う「気付いたかな~♪」の横メロも息が合っています。

8.明け方の君 ★★★

ポップで軽快な1曲。しかし、『SEE YA』以降の音であることを感じさせる優雅なアレンジメントが、印象の単純化を防いでいます。このアレンジを手掛けたのは、『僕はこの瞳~』・『SAY YES』などと同じく十川知司。
聴き所は2番サビ以降の展開。「君は遠くで~♪」あたりからの美しさには惚れ惚れします。

9.CATCH&RELEASE ★★★

打ち込みポップ・ロック。作曲の姿勢として遊んでいるのは『MOZART VIRUS DAY』、実際の音で遊んでいるのがこの曲でしょうか。細かい打ち込みの動きに注耳です。
また、歌詞もユーモアたっぷり。言葉遊びを数多く施したいて、CHAGEさんらしいですね。「ホオオゥ、ホオオゥ♪」と、アドリブの利いた活発なヴォーカルも聴くことができます。

10.BAD NEWS GOOD NEWS ★★☆

CHAGE曲が続きます。こちらはストレートなロックナンバー。ASKAとのハーモニーも含め、ヴォーカルは自由奔放に暴れまわっていますが、バックで鳴っている音にはどうにも時代を感じてしまいます。よって、全体的な印象としてはもうひとつ。

11.BIG TREE ★★★★

なんと壮大なアレンジメントでしょう。そして、ASKAさんの渾身の力を振り絞った熱唱の迫力。見事なスケールの大きさで、タイトル曲に相応しい完成度。

12.tomorrow ★★★★

『BIG TREE』で終わっても自然なのですが、最後にこの曲が来るのもまた良いですね。ゆったりとした響きに癒されるバラード。
「愛しては愛される ただそれだけ」。でも、それがとても素敵なことなんですよね。

総合 ★★★☆

(改:2009.4.29)










ベストアルバム
『SUPER BEST II』
(1992.3.25)





15thアルバム
『GUYS』
(1992.11.7)

なんかブックレット写真の権利問題でひと騒動あったようですが、それはまぁいいとして。
2年前の『SEE YA』時のメンバーが再び集結。Jess Baileyと村上啓介によるアレンジで、雰囲気は確かに『SEE YA』に似たものがありますが、今作は更にそれをもう一段階突き詰めた感があって、音への徹底的なこだわりぶりが感じられます。神経質なほどにアレンジメントを作りこんだ作品が並び、その隅々まで徹底されたサウンドを味わいたいところです。
全体としてスローテンポだったり、ムーディーで落ち着いたナンバーが多く、優雅な雰囲気のアルバムに仕上がっています。このアルバム独特のカラーですね。
それゆえ、日本人好みの歌謡曲路線を期待していた人などは気に入らないかもしれません。
僕は、このアルバムは、そのサウンドクオリティーに驚嘆する一方で、曲単体の魅力ということでは、もう一歩な印象を受けました。1曲1曲を取り出して聴こうとはあんまり思いませんね。流れや雰囲気を味わいたい一枚です。

1.GUYS ★★★

ブラスロック。華やかに作られています。

2.野いちごがゆれるように ★★

前曲に続いてこちらもホーンセクションをアレンジの中心に置いたミディアムナンバー。ゆったりしたテンポはいいが、全体的に長すぎて退屈な印象を与えてしまうのが難点。

3.if ★★★

シングルより更にスローテンポに仕上がっています。優雅。

4.光と影 ★★★

こちらも優雅で繊細なCHAGEバラード。一つの傷も付けたくないほどに完成されたアレンジメント。

5.HANG UP THE PHONE ★★★

アップテンポなブラスロック。

6.だから… ★★

CHAGEと村上啓介による共作のこの曲は、チャイナタウンをイメージして作られた曲。怪しげな雰囲気はよくできていると思います。メロディー自体は苦手なんですけどねぇ。

7.WHY ★★

世界観は非常によく出来ていると思います。すごい。
ただ、自分にとっては何度も聴きたいと思うような曲ではなかった。これも人によって評価が分かれると思います。

8.今日は…こんなに元気です ★★★★

「深呼吸」って言葉いいですね。「渋谷」って単語が出てこないのに、渋谷の景色が浮かんでくるのはすごい。CHAGE曲+ASKAと青木せい子による歌詞というのも、珍しいパターンですが、見事にサウンド面と歌詞がマッチしていて、素晴らしいナンバーだと思います。このアルバムで一番気に入っている曲です。
ASKAの語りは、もうちょっとなんとかならなかったのかな(笑)

9.夢 ★★★

これはもうCHAGEさんらしいロックナンバー。ザックリした感触もなかなかいいんじゃないでしょうか。自分は毎晩夢を見るのですが、CHAGEさんは羨ましがっているかな。

10.CRIMSON ★★★

これもCHAGE曲。ライブのテンションをそのまま作曲に持ち込んだアップテンポなノリのナンバー。

11.no no darlin’ ★★★★

シングルリリースされたこの曲は、チャゲアスの数ある作品の中でも、最高級のハーモニーを味わえるナンバーだと思います。この曲を聴くと、CHAGEとASKAという二人の結びつきが、羨ましくてなりません。

12.世界にMerry X'mas ★★★

なんかこの曲は、狙いすぎ感がなくはないのですが、丁寧につくられているし、こういう終わり方もいいのかもしれませんね。

総合 ★★★










16thアルバム
『RED HILL』
(1993.10.10)

『SAY YES』に続いて『YAH YAH YAH』が、なんと自身二度目のダブルミリオンとなり、もう音楽シーン一帯でチャゲアス神格化のような感じがあったと言っても決して過言ではない1993年のアルバム。ただただブームに乗って売れたというだけではなく、ちゃんと相応しいクオリティーの作品を生み出していたのだということがわかる一枚です。

1.夜明けは沈黙の中へ ★★★

導入部として用いられている小品。それでも、荘厳な雰囲気など、作り込まれた感じがあります。最初にこの曲があるってだけで、だいぶ違います。

2.なぜに君は帰らない ★★★

そして雪崩れ込むイントロが迫力満点の、鳥肌の立つような壮大なオープニング。すごいですね。『YAH YAH YAH』のビートで書いてみたかった曲とのこと。Cメロ部分での体じゅうから振り絞るようなシャウトもすごいもんです。
去っていこうとする女。僕は走り出せない。そんな不穏な心を描いた歌詞です。

3.夢の番人 ★★★

「夢」への入り口となる駅を描写した歌詞、ロマンチックですね。完全に世界観が確立していて素晴らしいリリックだと思います。サウンド面は、メロディーはあまり好みではないけれど、雰囲気勝ちといったところ。

4.蛍 ★★★★

CHAGE曲。ジャズです。初挑戦のジャンルとは思えないほどの完成度に、チャゲアスの音楽の煮詰め方が半端ではないということを感じます。意図的に冒頭にアナログレコードの音が入っているという遊び心も良いです。

5.今夜ちょっとさ ★★★★

甘~い、レゲェチックなナンバー。
口説き文句に「宇宙の決まりだからさ」なんて言ってみたいですね。「甘い」の引き合いに「ドーナッツ」をもってくる、そのセンスも好きです。
カップルで仲良く聴いて欲しいナンバーです。

6.THE TIME ★★★☆

アルバムの流れの中で、一つのヤマとなっている曲でしょう。
振り返ってみて、今置かれた位置を再確認する、二人の決意が感じ取れるナンバー。

7.君はなにも知らないまま ★★★★

あまり有名ではないですが、CHAGEバラードの中でもトップクラスの出来でしょう。歌い上げるCHAGEさんのヴォーカルも胸に響きます。ほんと、透明感があって伸びやかで、ASKAさんとはまた違った素晴らしい歌声ですよね。その二人による終盤のリフレインはカタルシス満点。

8.Mr.Jの悲劇は岩より重い ★★★☆

お遊びナンバーですが、ちゃんと完成度の高いポップスになっていてすごいです。前曲と合わせて両極端な、しかしそれでいて共に魅力的なCHAGEの一面を楽しむことができます。「ヒトミにエイコにトモコに カヨコにキョウコにマリとミホ」という、印象に残る歌詞は、当時のスタッフの名前をとったものだそうです。

9.You are free ★★★☆

『なぜに君は帰らない』と同時発売されたシングル。スタンダードで控えめな音像の曲ですが、美しいハーモニー、円熟味を増したメロディーラインなど、まさに熟練の技といった感じ。歌詞がまた良くて、いわゆる別れ際を歌った曲なのですが、離れていく「君」を「自由になった」と表現するあたりが、感傷たっぷりで泣けます。

10.RED HILL ★★★☆

スリリングな面、優雅な面、叙情的な面…、様々な角度からの魅力に触れることが出来る壮大なタイトルナンバー。これも、もう普通のアーティストにはできない域に達しています。

11.TAO ★★★

ストレートなラブソング。この甘ったるさが好みかどうか。「僕を愛するためにだけ 君は生まれてきたのさ」なんて、もう(笑)。

12.YAH YAH YAH ★★★☆

ご存知メガヒットナンバー。この曲の分析は、また機会があればってことにしときますが、それというのも、この曲はアルバムバージョンでして。
シングルバージョンとの違いは、イントロを聴き比べてみればすぐわかると思いますが、全体的に丸みを帯びた雰囲気になっています。それによってアルバムの流れにも違和感なく溶け込んでいますね。
それにしても、200万枚を売り上げたこの曲が霞んでしまうほどの、クオリティーの高い曲目が並ぶこのアルバムの充実度は圧巻。あらためてそれに気付きます。

13.Sons and Daughters ~それより僕が伝えたいのは ★★★★

名曲ですよね。ラストに置かれ、余韻たっぷりにアルバムを締めるこの曲は、子供達へのメッセージソング。
アカペラチックで、飾らずに素直な心を表現してといった感じがしますね。「あの夏」の情景を伝えたい。「風 薫 海 航 空 翔」という、漢字を並べだだけで、聴き手に情景を描かせる手法には感服。

総合 ★★★★☆

なんなんでしょう、このボリューム。あふれ出さんばかりのパワーとエネルギー。様々なタイプの曲が並び、様々に情景を描き、言葉を伝え…。チャゲアスの中でもトップクラスの出来を誇る一枚であると思います。
(記:2005.11.26)


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