NO-NAMEの隠れ家

NO-NAMEの隠れ家

CHAGE and ASKA(4)

作品レビュー…の続き

企画ベストアルバム
『Yin&Yang』
(1994.8.25)










17thアルバム
『Code Name.1 Brother Sun』
(1995.6.28)

オリジナルアルバムとしては、前作『RED HILL』以来、1年8ヶ月ぶりの作品。
これまでとは異なった音楽性を見せ付けたアルバムで、バンドサウンドを重視した楽曲が数多く収録されています。
これまでのチャゲアスの、隅から隅まで丁寧に作り込んだ優雅で繊細な楽曲といった印象は薄れ、もちろん丁寧に作られているのですが、勢いのあるサウンドという印象が強くなっています。
どの曲もポップで聴きやすく、初心者でもとっつきやすい一枚と言えるでしょう。
チャゲアスの新たな可能性を打ち出したという意味も大きいし、1曲1曲のクオリティも相変わらず素晴らしいものがあり、非常に高く評価できる一枚です。
このアルバムあたりから、『SAY YES』以降続いてきたチャゲアスフィーバーもおさまって来た印象があり、今にまで残る、しっかりとチャゲアスの「音楽」を聴くファンを残したのもこのアルバムだったのかもしれませんね。

1. 君の好きだった歌 ★★

序曲です。次作に完成版が収録される予定でしたが、お蔵入りに。

2. Something There ★★★☆

37thシングル。1995年5月10日発売。売上はミリオンヒットを記録した前2作のシングルからガクッと下がって57万枚。
全編英詞のナンバーです。英語も結構いけますね。さすがに毎回こういうのが続くのはイヤだけど(笑)。
怪しい雰囲気がヴォーカルの表現も含めたサウンド全体からひしひしと伝わってきます。

3. BROTHER ★★★☆

バンドサウンドとCHAGEの「ヘイ、ヘイ、ブラザー」のコーラスが印象的な楽曲。
歌詞はASKAさんらしく難解な比喩表現が巧みに用いられています。

4. 201号 ★★★

彼らの原点である弾き語りナンバー。まぁ、アコギを弾いているのは彼らじゃないけど(笑)。
また、原点回帰とは言っても、メロディーラインは、歌謡曲や演歌の匂いとは一線を画す独自性の強いものとなっています。作曲がASKAさんと西川進氏の共作なのも影響しているのでしょうか。
タイトルは、アパート(マンション?)の部屋番号。

5. めぐり逢い ★★★☆

36thシングル。ドラマ『妹よ』主題歌として大ヒットしました。
『SAY YES』・『YAH YAH YAH』に次ぐ売上を誇るミリオンシングル。
アコースティックを基盤にしたバンドサウンドで、厚いコーラスによるハーモニーも洗練されていて良い味を出しています。
「恋で泣かした人と恋で泣かされた人 同じ罪を振り分けてもいいね」という歌詞は、幼心に印象的でした。
ちなみに、「トイレ流した人と~♪」と替え歌ができます。(あそ)

6. 紫陽花と向日葵 ★★★★

やっとこさCHAGE曲です。マンドリンやらウッドベースやらバンジョーやら、様々な楽器でジャジーに演奏されます。いいですねぇ。
紫陽花が女性、向日葵が男性を例えているんだとか。

7. can do now ★★★☆

この作品で最もダイナミックなバンドサウンドを聴かせる楽曲。パワフルで力が沸いて来るようです。

8. ベンチ ★★★

老婦が亡くした夫への想いをほのぼのと伝えるという歌詞のテーマが新鮮なCHAGEナンバー。
風が吹き抜けるようなサウンドも良いです。新境地ですね。

9. ある晴れた金曜日の朝 ★★★★★

「あー、ASKAさん、こんな詩も書けるんだ。」とちょっと驚き感動した1曲。ストーリー仕立てで、伏線と結末というか、見事に円環状に完成された歌詞が面白いです。一生を「神様との契約」と例えたところも目の付け所がすごいですね。
途中のセリフも、『今日は…こんなに元気です』の時よりは、うまく言えてると思います(笑)。
ビートルズを意識した曲調も良く出来ていますね。終盤に『LOVE ME DO』のコーラスが入るのには皆さん気付いたでしょうか。

10. From coast to coast ★★★☆

サビの入りがとても奇麗ですね。そこに一番感動しました。
これは隠れた名曲といったところでしょうか。CHAGEさんの真摯な歌詞と歌声が心洗われるようです。

11. NATURAL ★★★

35thシングルとして発表されたトリプルA面シングルの中の1曲。
発表されてからかなり時間が経ったナンバーで打ち込み色もわずかながらあるために、ここではややサウンド面において浮いている感じもありますが、かえってこのアルバムのカラフルな色合いを強めることに一役買っている印象もあります。
曲自体は特に強い印象もないかな。

12. NO PAIN NO GAIN ★★★★

力強いASKAさんの歌唱が聴き手を揺さぶるバラード。歌詞もメッセージ性が強く、落ち込んでいる時には奮い立たせてくれる力があります。
歌詞の比喩表現は本当に秀逸で、「いつも最後まで上手く使えなかった 消しゴムや鉛筆や僕の気持ち」というフレーズは凄い。

13. HEART ★★★☆

35thシングル。『NATURAL』・『On Your Mark』と共にトリプルA面シングルとして発表しました。ミリオンヒットを記録。
アップテンポなナンバーの集大成的作品かもしれませんね。
「汚れたなら恋や夢で洗い流せるらしい」というフレーズが光ります。

総合 ★★★★

バンド色の強いチャゲアス、良いです。










18thアルバム
『CODE NAME.2 SISTER MOON』
(1996.4.22)










ライブアルバム
『MTV UNPLUGGED LIVE』
(1996.10.7)

1996年6月19日、MTV主催の『Unplugged LIVE』にCHAGE&ASKAがアジアのアーティストとして初めて出演しました。今作は、その模様を収録したもの。
ライブ盤ということで、拍手・歓声・曲間の二人の挨拶などもそのまま収録されており、実際に自分がその場所に居るような感覚を覚えます。
電気による楽器を使わないアコースティックな演奏で、二人が奏で歌い上げる音楽そのものを、「生」の形で楽しむことができるアルバムです。当然のことながら統一感のある一枚。

いきなり冒頭の『HANG UP THE PHONE』からテンションの高い演奏で、聴き手をぐいぐい引き込みます。ブラスが抜けているのに、格好良く仕上がっているじゃないですか。続くのが、『river』の英語詞版である『THE RIVER』。ASKAによる英語詞もまったく違和感がなくこの曲にハマっていて、スタンダードな魅力を持った楽曲であることがわかります。
『LOVE SONG』を経て『男と女』~『嘘』あたりの流れは、完全に歌だけで聴き手を引っ張るチャゲアスの凄みを感じることができる演奏。渾身の歌唱に思わず引き込まれてしまいます。
アコースティックなアレンジを施したことで、曲によっては原曲とまったく違った印象を残すものもあります。『PRIDE』なんかは、随分と明るくなった印象。『THE RIVER』と同じく英語詞で歌われる『CATSLES IN THE AIR』(原曲は『On Your Mark』)は、メロディーラインも崩しており、曲調もガラリと変わっていて、原曲とはまったく別モノと言って良いほど。ラストには、1曲目で演奏した『HANG UP THE PHONE』のスローテンポによる別アレンジを披露したアンコールの模様が収録されています。
アンプラグドゆえに、ごまかしの利かない中で、アットホームな暖かさを感じることができます。楽曲そのものの良さ、そしてCHAGE&ASKAの凄さを再確認できる、味わい深い一枚でした。

1.HANG UP THE PHONE
2.THE RIVER
3.LOVE SONG
4.男と女
5.嘘
6.PRIDE
7.SOMETHING THERE
8.NとLの野球帽
9.CASTLES ON THE AIR
10.SAY YES
11.HANG UP THE PHONE II

総合 ★★★☆

彼らの魅力が伝わるアコースティック・ライブ。










39thシングル
『この愛のために/VISION』
(1999.3.10)

1996年のチャゲアスは、4月のアルバム『CODE NAME.2 SISTER MOON』の他、7月には海外アーティストによるトリビュート盤『one voice』を、10月にはアジア出身者として初めて出演した『MTV UNPLUGGED』の模様を収めたライブアルバムを発売するなど、関連作品も含めてリリースが活発な1年となりました。
その後、2人はそれぞれソロ活動に力を入れ、同年11月には早くもCHAGEがMULTI MAXのシングル『どうだい』とアルバム『Oki!doki!』を発表(MULTI MAXはこのアルバムのリリースをもって活動休止)。1998年にはそれまでのCHAGEワークスの総集編としての『CHAGE BEST SONGS/PROLOGUE』を6月にリリースしたのを皮切りに、9月には初の純粋なCHAGEソロ作品としてのシングル『トウキョータワー』を、10月にはアルバム『2nd』をリリースしました。
一方のASKAも1997年2月のシングル『ID』を皮切りに、同年3月にアルバム『ONE』、4月にリカットのシングル『ONE』、1998年3月にシングル『Girl』とアルバム『kicks』をリリースするなど、活発に活動しました。
そうした2人が再び結束を固め、1999年3月に、新たに移籍した東芝EMIから、CHAGE&ASKAとしては約3年ぶりのシングルとしてリリースされたのが、今作『この愛のために/VISION』です。オリコンチャート初登場3位を記録。

1.この愛のために ★★★

ロック的アプローチで、バンドサウンドが打ち込みとも融合したサウンド。その印象は『CODE NAME』の2作ともどこか異なります。これぞCHAGE&ASKAの再始動第1弾に相応しい楽曲ではないでしょうか。お互いのソロ活動をしっかりと消化し、CHAGE&ASKAが新たな段階に入ったことを感じさせます。間奏での生々しいギターも、耳新しいものがあります。また、変化が特に顕著なのがASKAのヴォーカル。ソロアルバム『kicks』あたりからも徐々に覗うことができましたが、ノドを潰すようにして歌う渋いヴォーカル・スタイルへと変化しています。これには賛否両論だったようですが、この後の活動にも目を移してみてみると、結果的にこの歌い方が新たな地平を切り開いたとも言えると思います。
かつての『TREE』~『RED HILL』の頃のような緻密なサウンドは、『CODE NAME』の2作を経て、今作から『NO DOUBT』への流れの中で完全に過去のものとなった感がありますが、楽曲から魂を感じられるようになったのが今作あたりからの特徴。また、印象として緻密さが後退したからといって、決して粗雑になった感はなく、丁寧に音楽に取り組んでいる印象は一貫して感じられます。彼らの基本であるコーラスワークの美しさは影を潜めていないというのも嬉しいですね。
歌詞は、「大事なものが変わってきた」という、世間に媚びずにしっかりと自分の音楽に取り組もうという宣言にも受け取れるメッセージを発しています。
アルバム『NO DOUBT』では、別バージョンとして収録されています。

2.VISION ★★★

両A面のCHAGE曲。グラムロックの要素もあるミディアム・ロック。この渋みは、経験を経た彼らでなければ出せませんね。CHAGEについても、アルバム『2nd』での音作りが、しっかりとCHAGE&ASKAの活動に返ってきていることを実感させられます。
CHAGE自身が書いた歌詞でも、「終わらない 終わらせない 未来に愛されていたい」と前向きな宣言。復活第1弾にこういう曲を持ってきてくれて嬉しいかぎり。

(記:2009.2.3)










19thアルバム
『NO DOUBT』
(1999.8.25)

3月の『この愛のために/VISION』に続き、6月にはシングル『群れ』をリリース。そして、8月にリリースされた3年4ヶ月ぶりのオリジナルアルバムが今作です。今作の発売日は彼らのデビュー20周年の記念日でもありました。
20年目にして初のセルフプロデュースアルバム。「原点回帰」をテーマに制作された一枚。
サウンドのポップ性は後退し、じっくりと腰を据えて制作に当たったことが覗えるような味わい深い楽曲が並んでいます。先に世に出ていたシングルの『この愛のために』や『群れ』の歌詞からも予感されましたが、『SAY YES』や『no no darlin’』のような甘い楽曲は影を潜め、同じラブ・ソングであっても『two of us』のように、詞曲ともに渋さを増したナンバーがここには収められています。
「原点回帰」とは、『SAY YES』も『YAH YAH YAH』も忘れて、一度自分達のこれまでをリセットすることにより、やりたいこと/やるべきことだけを見据えて音楽に取り組むという宣言だったのでしょう。これまでとは違う、しかし、それでいて実に彼ららしい音楽作品になっていると思います。一見地味ですが、何度も聴くことでより味わいの増す一枚。オリコン初登場1位を獲得。

1.no doubt ★★★☆

オープニングを飾る表題曲は、ベッタリとのしかかってくるような手作り感のあるバンドサウンドとASKAの一言一言噛み締めるようなヴォーカルが好印象なミディアム・ナンバー。恋人との別れを歌った歌詞は、生活密着的な角度からの描写で新たな趣も。「僕らは夏の肌が消えるように 別れた」というサビのフレーズには、相変わらず冴え渡る作詞家・ASKAのセンスを見ることができました。

2.the corner ★★★

アップンポで耳馴染みの良いナンバー。以前の『One Day』やASKAソロの『I’m a busy』に近いですが、こちらのほうがより等身大のイメージ。曲調が明るいので見過ごされがちですが、歌詞はシングルの『この愛のために』や『群れ』同様、世間に惑わされずに自身の音楽に取り組もうとする彼らのスタンスを示唆するものになっています。

3.swear ★★★

シングル『群れ』c/w。CHAGEによるロックナンバーで、タメの利いたサウンドが渋い魅力も醸し出しています。重量感がありますが、通気性もよく、聴きやすい仕上がり。CHAGEによるこうしたロック路線は、個人的にはかなり好きです。

4.僕がここに来る前に ★★★☆

ASKAらしい静かなバラード。『夜のうちに』などに近いタイプ。ノスタルジックな歌詞も含め、この曲に関しては『SEE YA』~『TREE』の頃の匂いを感じさせます。曲順が冴えていますね。置くなら、この位置が一番でしょう。

5.熱帯魚 ★★★★

亀田誠治を編曲に迎えたナンバー。電子音も混じった退廃的なサウンドと、CHAGEの時折尖った表情も見せるヴォーカルが表現力豊かで、なかなか癖になります。こうした曲を気に入るかどうかが、今作への印象を左右するでしょう。

6.higer ground ★★★

ソリッドなサウンドが新鮮。彼らとしては新境地と呼べるような楽曲ですが、浮ついた感じはまったくなく、落ち着いて仕上げているのがベテランの技。

7.two of us ★★★★☆

ザックリとしたバンドサウンドで、経験豊富な大人の香りを感じさせるバラード。不特定多数に向けたのではなく、ごくごく個人的なテーマで描かれた世界観もいいですね。
下手に壮大にならずに、等身大にまとめた感があるのですが、それでいてある程度のスケールは感じられる仕上がり。一見矛盾にも思えるこのイメージこそが、この曲のオリジナリティである言えるでしょう。CHAGEバラードの中でも、3本の指に入るお気に入りナンバーです。

8.群れ ★★★☆

40thシングル。1999年6月9日リリース。『この愛のために/VISION』に続く復活第2弾としてリリースされたシングルで、オリコン初登場7位。
アレンジはまさかの演歌フォーク路線。更に歌詞は示唆的でシリアス。こうしたことから、リリース当初はファンを中心に大いに話題を呼びました。『この愛のために』と『VISION』、そしてこの『群れ』という一連の流れは、自身の活動の軸を一度明快にしておくというためにも、非常に意味あるリリースだったと思います。

9.もうすぐ僕らは ふたつの時代を超える恋になる ★★★

長いタイトルが印象的なこの曲は、おそらくミレニアムを意識して作られたのでしょう。実際に、1999~2000年の年越しライブでも、カウントダウンの曲として演奏されました。
甘いテイストは、今作の楽曲群の中ではやや異色ですが、浮いているほどではなく、アルバムの流れに緩急をつける1曲として機能していると思います。

10.vision ★★★

39thシングル。『この愛のために』と両A面で、1999年3月10日リリース。タイトルは今作では小文字表記になっていますが、おそらく気分の問題でしょう。
今作のCHAGEは、作詞も全て自身が手掛けた5曲の楽曲をアルバムに送り込んでいます。

11.この愛のために ★★★

39thシングル。『VISION』と両A面で、1999年3月10日リリース。
シングルとは違った導入部で、また新たな印象になっています。ただ意外にも、アルバムでサウンド的に一番浮いている印象があるのがこの曲です。10曲目で終わったほうがスッキリするような気がします。この曲はボーナストラックとして脳内処理したほうが、アルバムとしてのバランスが良くなるかもしれませんね。

総合 ★★★☆

(記:2009.2.4)










ベストアルバム
『VERY BEST ROLL OVER 20TH』
(1999.12.16)










20thアルバム
『NOT AL ALL』
(2001.12.27)

2年ぶりのオリジナルアルバム。1999年のアルバム『NO DOUBT』以来しばらく新譜のリリースがなかったチャゲアスですが、この年、所属レコード会社を移籍すると、お待たせとばかりにシングルを4枚もリリースし、その集大成として、年末にこのアルバムがリリースされました。こうやって振り返ってみると、この年はいつになく活動が活発だったんだなぁ。

さて、ファンを待たせに待たせたこのアルバム、フタを開けてみると、収録内容は、シングル曲・カップリングなどの既発曲が6曲。過去のナンバーのリメイクが1曲で、完全な新曲は10曲中わずか3曲。この内容はファンの活発な議論を呼びました。確かにシングル曲を聴いてきたファンにとっては一見物足りなく思える内容でしょう。
しかしながら、このアルバム、並んだ10曲のそれぞれが重厚な響きを持ち、1曲1曲のカラーも際立っているし、それでいて全体としてまとまりのある内容になっています。どちらかというと落ち着いた作風で、細部まで丁寧に作られているなと感じました。曲作りにに関しては手を抜くような人達じゃないですからね。ベテランの貫禄の技を見せてもらったような気になりました。
ASKAの声は、全盛期の大迫力で伸びやかなものとは程遠くなりましたが、逆にそれを活かした歌唱で、新たな可能性を見出したとも思えました。CHAGEのほうは、一層歌唱に円熟味が出てきましたね。
音楽自体も、今までとまた一段違ったサウンドで、落ち着いた大人な雰囲気を漂わせています。

そう思ってみると、もうシングルが多いことなんかどうでもよくて、一枚のアルバムという観点で高く評価できる作品だと思います。
4枚のシングルを聴いていない人にとっては大満足、シングルを聴いてきたファンにとっても満足できるだけの内容になっている一枚だと思います。

1. not at all ★★★☆

タイトルナンバー。90年代の同一タイプの曲に比べると、スケール的にはこじんまりした印象を受けますが、これもこれで、ストリングスも丁寧に使われているし、落ち着いた味が出ています。
歌詞も良いです。「そこに立ってその時わかることばかりさ」。

2. ふたりなら ★★★

シングル『ロケットの樹の下で』のカップリング収録曲。
私生活ではちょうどこの頃に再婚を発表したCHAGEによるロッカバラッド。熱いですね。
スクラッチっぽい音が使われているのは意外でしたが、わりとよく溶け込んでいます。

3. 鏡が映したふたりでも ★★★

いかにもチャゲアスってな感じのメロディーラインです。
CMソングにも使われましたが、自分は1回しか放映されているのを見ていないです。

4. アジアンレストランにて ★★☆

シングル『パラシュートの部屋で』のカップリング収録曲。
CHAGEによるロックナンバー。音圧も十分だし、録音技術の向上もあって、パワフルなサウンドを楽しめると思います。
アルバムの中で良いアクセントになっていますね。
歌詞はイマイチ僕にはイメージが沸きません。アジアンレストランに行けばわかるのか!?

5. パラシュートの部屋で ★★★☆

2001年8月8日発売の42ndシングル。
これはいいっすねぇ。ここまで明るくて爽やかな曲は久しぶりでは?
世間は『波乗りジョニー』で盛り上がったこの年の夏、C&Aファンはこの曲で盛り上がりました(笑)。
ブリティッシュポップの影響が色濃いナンバーで、とても優雅で明るいサウンドです。ASKAが高音を響かせるCメロもいい存在ですね。
歌詞は、まぁ、セックスを描いたものではあるんだけど、それをここまでお洒落な言葉で表現することもなかなか出来ることではありませんね。
終わり方はフェードアウトですが、ミュージックステーションで披露した時は「とぅとぅとぅんらい♪」という曲中で繰り返し使われているコーラスで締められました。そちらも良かったです。

6. ★★☆

右チャンネルからASKAの声が、左チャンネルからCHAGEの声が、それぞれ流れてくるという面白い小品。
同じメロディーを歌っているんだけど、二人の歌い方の特徴によって、ここまで違った趣がでるのかと、なかなか興味深いです。

7. C-46 ★★★

前作からわずか1ヶ月という短期間のインターバルでリリースされた43作目のシングル楽曲。
タイトルの「C-46」とはカセットテープのこと。偶然見つけた昔のカセットテープ、それは「君」とふざけて録音したあのカセットだった。僕は「君」を思い出して…。ってな内容の歌詞です。普段は難解な比喩表現なども多く用いられるASKAの歌詞ですが、この曲は正直で素直な言葉で綴られていて、ストレートな想いが表現されています。ASKA自身も「今までは書けなかった歌詞」と語っています。
曲のほうも実にシンプルなストリングスバラッドなんですが、ノスタルジックで感傷的です。

8. 夢の飛礫 ★★★

44作目のシングル。なんとCHAGE曲がメインのシングルは、1987年の『ロマシング・ヤード』以来14年ぶり!
極上のバラード。間奏のギターが好きです。

9. ロケットの樹の下で ★★★

前作『群れ』以来約2年ぶりのシングルとして、2001年4月25日にリリースされた楽曲です。通算では41作目のシングル。
久々の新曲のタイトルがコレだったときは結構ビックリしました。「ロケットの樹」と言われても、なんじゃそりゃですね。その正体は、友情をテーマにした歌詞の中で語られています。
シングルリリースにあたって、プロモーションも結構な数をこなしていました。スマスマとかにも出てたな(笑)。
ミディアムロックナンバーで、サビでドカ~ンと行く構成は、ある種の王道ですね。「ここは途中だ」、「終わるもんじゃない」と歌うこの曲は、C&Aの決意が語られているようで力強いです。

10. 告白 ★★☆

シングル『SAY YES』のカップリングとして収録されており、隠れた名曲と言われていたナンバー。そのリメイクです。
アコースティックに演奏され、ありのままの声の魅力に触れることが出来ます。
僕は原曲のほうが好きですが、こちらもこちらなりの魅力があります。

総合 ★★★

(改:2007.2.15)










セルフカバーアルバム
『STAMP』
(2002.11.20)

チャゲアス初のセルフカバーアルバム。
すべて「今」のCHAGE&ASKAの音によって生まれ変わっています。
オリコン初登場1位も獲得。

1. YAH YAH YAH ★★

ブルージーな『YAH YAH YAH』になりましたね。シブくてカッコイイ。

2. SAY YES ★★☆

ピコピコしたアレンジは原曲のイメージをバッサリ。僕はこれもこれでありだと思います。

3. river ★★★

これはもともと、シングルリリースの候補にもなったバージョンだそうで。
落ち着いたバンドアンサンブルが心地よいです。

4. 終章(エピローグ) ★★★

CHAGEさんは、この曲を20代、30代、40代の全てで発表したことになりますね。歌い直すたびに、その時その時の魅力に触れることが出来るのではないでしょうか。

5. クルミを割れた日 ★★★

このバージョンが「完成形」であり、本当はこの形として世に出したかったと御本人は語っています。
後のバラードセレクションアルバム『THE STORY of BALLAD II』にも、この曲は今回のバージョンで収録されています。

6. HOTEL ★★★☆

このトラックは、2001年11月発売のシングル『夢の飛礫』のカップリングとして収録されており、一足早くファンの耳に届けられていました。

7. WALK ★★★☆

8. そんなもんだろう ★★☆

織田裕二への提供曲。セルフカバーという形で収録されています。

9. 港に潜んだ潜水艇 ★★★

バックトラックのアレンジはそのままに、ヴォーカルだけを入れ替えています。伸びやかな声でエネルギッシュなCHAGEロックに染まっています。

10. You are free ★★☆

11. 砂時計のくびれた場所 ★★★☆

こちらも『HOTEL』と同様、シングル『夢の飛礫』のカップリングに収録され、先に世に出ていたトラック。

12. 今日は…こんなに元気です ★★★

すべてヴォーカルをCHAGEさんが務めています。ただしセリフ部分はASKAさんのまま。CHAGEさんがやろうとしたのですが、笑ってしまってできなかったとのこと(笑)。

13. 太陽と埃の中で ★★★

テレビ番組でも披露していましたね。コーラスが綿密に重なってくるシメの部分はこのバージョンがお気に入りです。アルバムとしても綺麗に終わりますしね。

総合 ★★★

ヴォーカルを入れかえたものもあれば、穏やかになったもの、大胆なアレンジを施したもの等、色々なものがありますね。原曲と比べてどうこうという評価よりも、今の「CHAGE&ASKA」の魅力を引き出している一枚として聴いてみたいアルバムです。セルフカバーってそういうものだと思いますし。
曲の好みは、正直どれも人それぞれだと思います。冒頭のメガヒット2曲も、受け付けない人もいれば、好みな人もいるでしょうしね。
僕は『砂時計のくびれた場所』がお気に入りです。
佇まいであったりサウンドメイキングは、前年の『NOT AT ALL』からの流れを汲んでいると言っていいでしょうね。
(改:2007.2.15)










バラードベストアルバム
『THE STORY of BALLAD II』
(2004.11.3)

1.Sons and Daughters ~それより僕が伝えたいのは
2.鏡が映したふたりでも
3.もうすぐ僕らは ふたつの時代を超える恋になる
4.野いちごがゆれるように
5.C-46
6.好きになる
7.紫陽花と向日葵
8.if
9.夢の飛礫
10.no doubt
11.two of us
12.tomorrow
13.クルミを割れた日

約15年ぶりとなるシリーズ第2弾。『TREE』~『STAMP』までの中からの選曲です。今作も、シングルに偏ることの無い幅広い選曲。彼らの作る楽曲の素晴らしさに、あらためて触れることが出来ます。『Sons and Daughters』はコーラス・ワークの美しいアルバム『RED HILL』のバージョンで、『if』は逆に今となっては貴重なシングル・バージョンをリマスタリングによる高音質で収録と、マニアを喜ばせる心配りも。こうした配慮と、アルバムを通しての聴き心地の良さを両立させてくれているのも見事ですね。「ベストアルバム」だと思わずに、一枚の作品だと思って聴けるという点も、相変わらずの彼らの拘りですね。『好きになる』はこれまで海外盤のベストアルバムのみに収録されていた、国内初CD化バージョン。『クルミを割れた日』はアルバム『STAMP』のバージョンです。
CHAGE and ASKAを愛するファンに、じっくりと楽しんでほしい一枚。
(記:2008.9.1)










21stアルバム
『DOUBLE』
(2007.1.24)

CHAGE and ASKAの、オリジナルとしては2001年12月の『NOT AT ALL』以来約5年ぶり、通算21作目となるアルバムです。
CHAGEとASKAそれぞれのソロ活動を経ての久々の一枚。5年ぶり…、すっかり大御所サイクルですが、2004年末にはバラードセレクション第2弾の『THE STORY of BALLAD II』のリリースがあったり、翌2005年11月にはASKAさんのソロ『SCENE III』があったりと、音源的には一応コンスタントにリリースがあったわけで、僕のようなCDだけを聴くようなファンにとっても退屈ではなかったんですけどね。いや、それにしたって、昨今の、アーティストの人気が出るやいなや短期間に集中的にリリースをする風潮からすると、年に1、2枚というこのペースで満足しているのは感覚が麻痺しているように思われるかもしれませんが(笑)。

このアルバムの発売の2週間前には、先行シングルとして、『Man and Woman』・『Here & There』という2作のシングルを同時発売。それぞれASKA、CHAGEがメインを務める2作の同時発売は、20年以上前の『オンリーロンリー』・『誘惑のベルが鳴る』の同時発売を彷彿とさせます。で、まぁ、チャート的な話をすると、1月22日付けのオリコンチャートで、『Man and Woman』・『Here & There』はそれぞれ2位、3位にランクイン。ちょっと調べてみると、チャゲアスのシングルのオリコン3位入りは、『この愛のために/VISION』(1999年3月10日発売、累積売上12.1万枚)以来のこと。2位だと、その1作前の『river』(1996年2月19日発売、累積売上38.9万枚)以来。久々にトップスリーにシングルを送り込んだことになります。まぁ、それもこの週のほぼ史上最低レベルという全体的な売上の低さゆえなんですけどね。初動売上も『Man and Woman』が17783枚、『Here & There』が16728枚という数字。両作とも3万枚限定リリースだったのですが、売り切ってないですね。ちなみにこの週の1位は秋川雅史『千の風になって』(週間売上29094枚)でした。まぁ、僕も先行の2シングルは買い控えたクチです。

アルバムの内容はというと、2004年にリリースされた『36度線 -1995夏-』・『僕はMusic』という2作のシングル曲と、それぞれそのカップリングとして収録されていた『光の羅針盤』・『crossroad ~いまを生きる僕を~』が今回のアルバムに収録。先の同時発売された『Man and Woman』・『Here & There』の2曲も加え、アルバムの全10曲中6曲が既発曲と、前作『NOT AT ALL』に続いて、今作も既発曲の占有率の高さが目に付きます。
まぁ、今回はそれらのうち『36度線 -1995夏-』・『光の羅針盤』・『crossroad ~いまを生きる僕を~』の3曲はアルバムバージョンに形を変えて収録されていますけどね。珍しくタイトルにも「album ver.」と銘打っています。

アルバムオリジナル曲が続く前半は、流れ的にも聴き心地が良いです。どの曲もキャラがハッキリしていますからね。ASKA曲、CHAGE曲が交互に続くのもマル。
ただ、後半は、数年前のシングル曲や元々カップリングに収められていた曲が並べられていることもあって、さすがにアルバムの流れという点は前半に劣る印象。

今回のアルバムで特に感じたのは、CHAGEとASKAのバランスが、ちょうど1対1になっているなということ。そして、CHAGEのメインパートではASKAが、ASKAのメインパートではCHAGEがというように、お互いがコーラスで本当に良い味付けをしています。
CHAGEとASKAでCHAGE and ASKAなんだという、ある意味では当たり前ですが、そういったことをこの5年ぶりのアルバムであらためて気付かされ、代わりの利かない二人であるということを強く印象付けられました。その意味でも今作のタイトルが『DOUBLE』なんでしょうね。

マイナス面に触れると、CHAGE曲がいずれも共作だったり、歌詞がCHAGEさんノータッチで作詞家任せだったりするというのは如何なものかと。最近では写真や映画に凝っているCHAGEさんですが、楽曲制作のほうにもやる気を見せてくれないと寂しいですね。あと、ヴォーカルについても、おそらく意図的でしょうが、まとわりつくような歌い方が曲の良さを殺してしまっているような部分も気になります。特に『光の羅針盤』・『crossroad ~いまを生きる僕を~』あたりはどうも…。普通に歌ったほうが良いと思うんだけどな、僕は。

まぁ、とにもかくにも、チャゲアスの新譜です。喜んで聴きましょう(笑)。

1.パパラッチはどっち ★★★★

作詞はASKAと松井五郎による共作。作曲はASKA。編曲は澤近泰輔。
いきなりの傑作。こんなふざけたタイトルでどんな内容かと思いきや、たった一枚の壁を挟んだ相手への、ほんの短期間の恋とも言い切れない想いを、断片的な情景を紡ぎ合わせたストーリーに描きます。
ジャズの雰囲気もあるお洒落なバンドアンサンブルが芸術的で、アレンジャーの澤近さんの手腕には感服。もちろん、それを更に表情豊かに歌い上げるASKAさんの歌い手としての力量もさすがです。

2.Wasting Time ★★★

作詞は石塚貴洋と松井五郎。作曲はCHAGEと村田努。編曲は村田努。
前作の『アジアンレストランにて』のような重厚なロックナンバー。ロッカーとしてのCHAGEさんの魅力が味わえる楽曲です。この重量感はCHAGEさんのヴォーカルじゃないと出せないですね。2曲目という配置も正解。
今回、この曲と『ボクラのカケラ』・『Here & There』で作曲と編曲に携わっている村田努氏は、1994年よりCHAGE and ASKAのマネージャーとして活躍され、1998年のCHAGEソロアルバム『2nd』よりディレクターとしても手腕を振るってきた方であり、CHAGEさんからの信頼はかなりのものなのでしょう。今後も活躍が期待されますね。

3.地球生まれの宇宙人 ★★★

この曲も『パパラッチはどっち』に続いて、ヘンなタイトルだなぁと思ったものですが、あろうことかこちらもASKA曲(笑)。
作詞・作曲ともにASKAで、編曲はお馴染み十川知司。十川さん、最近はELTの編曲やENDLICHERI ☆ ENDLICHERIのバックバンドとしても精力的に活動しています。チャゲアスの二人も見習ってほしいものだ(笑)。
それはさておき、この曲は薄めのアレンジメントで、ASKAさんの歌と歌詞を伝えることを第一の目的としたかのような印象を受けますね。このアルバム中でも、かなりメッセージ性の高い楽曲。

4.ボクラのカケラ ★★★

作詞はCHAGEと松井五郎による共作。作曲はCHAGEと村田努。編曲は村田努。
CHAGE曲でここまで爽快なバンドサウンドって最近全く無かったですね。『ベンチ』を思わせるような爽やかなロックナンバー。AメロBメロもサビであるかのような主張をしていて、1コーラスまるまる聴き所といった感じ。ASKAのハモリも気持ち良いことこの上なしです。
「そうさ 眠らせてた prideだって 試そうか」というフレーズはチャゲアスファンとしては嬉しいですね。

5.Here & There ★★★★

アルバム先行の同時発売シングルの片方。48作目のシングルです。
作詞は松井五郎。作曲はCHAGEと村田努。編曲は十川知司。
この曲はとても気に入りました。CHAGEさんらしい落ち着いたバラード。透明感を保ち、効果音的に使われている打ち込みも違和感のないアレンジメント。
CHAGEメイン曲とは言うものの、ASKAさんとのパート交替があったり、2番ではCHAGEさんのメインパートに続いてASKAさんの後追いコーラスがあったりと、二人のハーモニーが存分に発揮されています。
サビの「微笑みが 微笑みに~♪」という伸びやかなCHAGEさんのヴォーカルもなんとも良いです。
間奏での意外性のある大胆なストリングスも、気が付けばあら不思議、しっかりと楽曲に溶け合っていくのだから見事。

6.36度線 -1995夏- album ver. ★★☆

45作目のシングルとして2004年8月25日にシングルリリースされた楽曲。ここでは「album ver.」として収録されています。
作詞と作曲は共にASKA。編曲は十川知司。
この曲の背景はやや複雑で、この『36度線』という曲は、元々はテレビ朝日系の報道番組『ニュースステーション』の5代目テーマソング(1996年10月-1998年3月)として作曲されました。当時、原曲はアルバム『CODE NAME.2 SISTER MOON』へと収録される予定でしたが、結局収録は見送りに。そして、以後9年の時を経て、2005年に「デビュー25周年記念盤」として「-1995夏-」というサブタイトルを付け、賑やかなアレンジメントで装いを新たにシングルリリースされたのです。
シングルバージョンでは、澤近泰輔のアレンジメントのもと、ポップで明るい曲調となっていたこの曲。今回の「album ver.」では、シングルバージョンとは大きく異なり、ボサノバ・南米方向からのアプローチで聴かせます。こちらは元々の『ニュースステーション』で使われていた当初のものに近い形だとか。

7.僕はMusic ★★★

46作目のシングル。2004年12月8日発売。
作詞はASKAと松井五郎による共作。作曲はASKA。編曲は旭純。
ファーストインプレッションとしては、「つかみどころのない曲」。前作のシングル『36度線 -1995夏-』は、1995年には原曲が出来ていたというため、この曲は本当に久々の、CHAGE and ASKAの完全なる新曲としてのシングルだったわけですが、曲題もサウンドも、すべてが斬新なこの曲には驚かされました。
駆け足のようなAメロや、サビでのCHAGEパートの英語フレーズとASKAパートの掛け合いは、胸を昂ぶらせるような魅力があります。更に楽曲は展開し、様々な楽器が入り乱れて、うねる様な音の波をこちらに覆い被せてきます。とにかく、まずは聴いてみるのが早いですね。
音楽と人間との調和を歌った歌詞も新たな趣を匂わせます。こういった曲を生み出し、当然のようにシングルとして世に送り出してくれたというのは嬉しいですね。

8.光の羅針盤 album ver. ★★★

作詞はCHAGE。作曲はCHAGEとTom Wattsの共作。編曲は旭純。
シングル『36度線 -1995夏-』のカップリングとして収録されていたナンバー。ここでは「album ver.」と銘打たれ、オリジナルの派手なホーンセクションが削り取られ、ドラムが強調させるソリッドなアレンイメントへと大きく姿を変えています。
サウンドは原曲に比べてだいぶ無機質になった印象だし、録音し直されたCHAGEさんのヴォーカルも柔らか味が後退したような印象を持ちます。
悪い曲じゃないし、むしろ好きな部類なのですが、アルバムには馴染まない気がしました。

9.crossroad ~いまを生きる僕を~ album ver. ★★★

作詞は石塚貴洋。作曲はCHAGEとTom Wattsの共作。編曲は澤近泰輔。
シングル『僕はMusic』のカップリングとして収録されていたナンバー。この曲も、「album ver.」として、まるで静寂の中のような張り詰めた空気の中でCHAGEの歌声が響くコーラスを経て、中盤以降にストリングスと管楽器のアレンジメントへと展開する編曲に生まれ変わっています。
ただ、ここでも、CHAGEのねちっこい歌唱が鼻につきます。前半は歌声を強調するようなアレンジメントであるが故に余計に気になってしまいますね。淡々とした印象の原曲のほうが個人的には好印象でした。
CHAGEによるミディアムナンバーが2曲続くのもダレを感じる要素になってしまうかもしれないです。

10.Man and Woman ★★★☆

優しく、そして力強いピアノによるイントロでスタートするこの曲は、『Here & There』と共にアルバムに先駆けてリリースされた47作目のシングル作品。
作詞はASKAと松井五郎。作曲はASKA。編曲は澤近泰輔。
ASKAのビックリするくらいの低音で歌われるAメロから、次第にスケールを増しながら流麗に展開していくサウンドが実にドラマチック。
ストリングスを取り入れ、じっくりと煮込んだ久々の大作志向のシングルナンバーですね。後半の円熟味もあり、迫力も兼ね備えられた歌唱には圧倒されます。ASKAの実力が見事に発揮された近年屈指の名曲。

総合 ★★★

冒頭4曲の新曲は、どれも違った主張をしているナンバーで、それでいて曲順の流れも良いです。アルバムはここ数年のCHAGE and ASKAの集大成であり、また、コーラスワークや楽曲の風通しの良さなど、1990年代の彼ら自身を思わせるような面もあって嬉しかったり。
アルバムの既発曲占有率の高さについては、僕はそれほど文句もないのですが、流れや聴き心地という点から言うと、後半がやや雑な印象。前半がすごく良かっただけに惜しいですね。
ちなみに、次回作も5年かかるとすると、今度のアルバムが出る頃には2人は54~55歳。いやはや。
(記:2007.2.19)










ベストアルバム
『CHAGE and ASKA VERY BEST NOTHING BUT C&A』
(2009.2.4)


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