「あー、ASKAさん、こんな詩も書けるんだ。」とちょっと驚き感動した1曲。ストーリー仕立てで、伏線と結末というか、見事に円環状に完成された歌詞が面白いです。一生を「神様との契約」と例えたところも目の付け所がすごいですね。 途中のセリフも、『今日は…こんなに元気です』の時よりは、うまく言えてると思います(笑)。 ビートルズを意識した曲調も良く出来ていますね。終盤に『LOVE ME DO』のコーラスが入るのには皆さん気付いたでしょうか。
いきなり冒頭の『HANG UP THE PHONE』からテンションの高い演奏で、聴き手をぐいぐい引き込みます。ブラスが抜けているのに、格好良く仕上がっているじゃないですか。続くのが、『river』の英語詞版である『THE RIVER』。ASKAによる英語詞もまったく違和感がなくこの曲にハマっていて、スタンダードな魅力を持った楽曲であることがわかります。 『LOVE SONG』を経て『男と女』~『嘘』あたりの流れは、完全に歌だけで聴き手を引っ張るチャゲアスの凄みを感じることができる演奏。渾身の歌唱に思わず引き込まれてしまいます。 アコースティックなアレンジを施したことで、曲によっては原曲とまったく違った印象を残すものもあります。『PRIDE』なんかは、随分と明るくなった印象。『THE RIVER』と同じく英語詞で歌われる『CATSLES IN THE AIR』(原曲は『On Your Mark』)は、メロディーラインも崩しており、曲調もガラリと変わっていて、原曲とはまったく別モノと言って良いほど。ラストには、1曲目で演奏した『HANG UP THE PHONE』のスローテンポによる別アレンジを披露したアンコールの模様が収録されています。 アンプラグドゆえに、ごまかしの利かない中で、アットホームな暖かさを感じることができます。楽曲そのものの良さ、そしてCHAGE&ASKAの凄さを再確認できる、味わい深い一枚でした。
1.HANG UP THE PHONE
2.THE RIVER
3.LOVE SONG
4.男と女
5.嘘
6.PRIDE
7.SOMETHING THERE
8.NとLの野球帽
9.CASTLES ON THE AIR
10.SAY YES
11.HANG UP THE PHONE II
アップンポで耳馴染みの良いナンバー。以前の『One Day』やASKAソロの『I’m a busy』に近いですが、こちらのほうがより等身大のイメージ。曲調が明るいので見過ごされがちですが、歌詞はシングルの『この愛のために』や『群れ』同様、世間に惑わされずに自身の音楽に取り組もうとする彼らのスタンスを示唆するものになっています。
ヴォーカルを入れかえたものもあれば、穏やかになったもの、大胆なアレンジを施したもの等、色々なものがありますね。原曲と比べてどうこうという評価よりも、今の「CHAGE&ASKA」の魅力を引き出している一枚として聴いてみたいアルバムです。セルフカバーってそういうものだと思いますし。 曲の好みは、正直どれも人それぞれだと思います。冒頭のメガヒット2曲も、受け付けない人もいれば、好みな人もいるでしょうしね。 僕は『砂時計のくびれた場所』がお気に入りです。 佇まいであったりサウンドメイキングは、前年の『NOT AT ALL』からの流れを汲んでいると言っていいでしょうね。 (改:2007.2.15)
バラードベストアルバム 『THE STORY of BALLAD II』 (2004.11.3)
1.Sons and Daughters ~それより僕が伝えたいのは
2.鏡が映したふたりでも
3.もうすぐ僕らは ふたつの時代を超える恋になる
4.野いちごがゆれるように
5.C-46
6.好きになる
7.紫陽花と向日葵
8.if
9.夢の飛礫
10.no doubt
11.two of us
12.tomorrow
13.クルミを割れた日
約15年ぶりとなるシリーズ第2弾。『TREE』~『STAMP』までの中からの選曲です。今作も、シングルに偏ることの無い幅広い選曲。彼らの作る楽曲の素晴らしさに、あらためて触れることが出来ます。『Sons and Daughters』はコーラス・ワークの美しいアルバム『RED HILL』のバージョンで、『if』は逆に今となっては貴重なシングル・バージョンをリマスタリングによる高音質で収録と、マニアを喜ばせる心配りも。こうした配慮と、アルバムを通しての聴き心地の良さを両立させてくれているのも見事ですね。「ベストアルバム」だと思わずに、一枚の作品だと思って聴けるという点も、相変わらずの彼らの拘りですね。『好きになる』はこれまで海外盤のベストアルバムのみに収録されていた、国内初CD化バージョン。『クルミを割れた日』はアルバム『STAMP』のバージョンです。 CHAGE and ASKAを愛するファンに、じっくりと楽しんでほしい一枚。 (記:2008.9.1)
21stアルバム 『DOUBLE』 (2007.1.24)
CHAGE and ASKAの、オリジナルとしては2001年12月の『NOT AT ALL』以来約5年ぶり、通算21作目となるアルバムです。 CHAGEとASKAそれぞれのソロ活動を経ての久々の一枚。5年ぶり…、すっかり大御所サイクルですが、2004年末にはバラードセレクション第2弾の『THE STORY of BALLAD II』のリリースがあったり、翌2005年11月にはASKAさんのソロ『SCENE III』があったりと、音源的には一応コンスタントにリリースがあったわけで、僕のようなCDだけを聴くようなファンにとっても退屈ではなかったんですけどね。いや、それにしたって、昨今の、アーティストの人気が出るやいなや短期間に集中的にリリースをする風潮からすると、年に1、2枚というこのペースで満足しているのは感覚が麻痺しているように思われるかもしれませんが(笑)。
このアルバムの発売の2週間前には、先行シングルとして、『Man and Woman』・『Here & There』という2作のシングルを同時発売。それぞれASKA、CHAGEがメインを務める2作の同時発売は、20年以上前の『オンリーロンリー』・『誘惑のベルが鳴る』の同時発売を彷彿とさせます。で、まぁ、チャート的な話をすると、1月22日付けのオリコンチャートで、『Man and Woman』・『Here & There』はそれぞれ2位、3位にランクイン。ちょっと調べてみると、チャゲアスのシングルのオリコン3位入りは、『この愛のために/VISION』(1999年3月10日発売、累積売上12.1万枚)以来のこと。2位だと、その1作前の『river』(1996年2月19日発売、累積売上38.9万枚)以来。久々にトップスリーにシングルを送り込んだことになります。まぁ、それもこの週のほぼ史上最低レベルという全体的な売上の低さゆえなんですけどね。初動売上も『Man and Woman』が17783枚、『Here & There』が16728枚という数字。両作とも3万枚限定リリースだったのですが、売り切ってないですね。ちなみにこの週の1位は秋川雅史『千の風になって』(週間売上29094枚)でした。まぁ、僕も先行の2シングルは買い控えたクチです。
アルバムの内容はというと、2004年にリリースされた『36度線 -1995夏-』・『僕はMusic』という2作のシングル曲と、それぞれそのカップリングとして収録されていた『光の羅針盤』・『crossroad ~いまを生きる僕を~』が今回のアルバムに収録。先の同時発売された『Man and Woman』・『Here & There』の2曲も加え、アルバムの全10曲中6曲が既発曲と、前作『NOT AT ALL』に続いて、今作も既発曲の占有率の高さが目に付きます。 まぁ、今回はそれらのうち『36度線 -1995夏-』・『光の羅針盤』・『crossroad ~いまを生きる僕を~』の3曲はアルバムバージョンに形を変えて収録されていますけどね。珍しくタイトルにも「album ver.」と銘打っています。
今回のアルバムで特に感じたのは、CHAGEとASKAのバランスが、ちょうど1対1になっているなということ。そして、CHAGEのメインパートではASKAが、ASKAのメインパートではCHAGEがというように、お互いがコーラスで本当に良い味付けをしています。 CHAGEとASKAでCHAGE and ASKAなんだという、ある意味では当たり前ですが、そういったことをこの5年ぶりのアルバムであらためて気付かされ、代わりの利かない二人であるということを強く印象付けられました。その意味でも今作のタイトルが『DOUBLE』なんでしょうね。