1995年。ミリオンヒットシングルが28作品と、CDが売れに売れまくったこの年。小室哲哉がプロデュースのtrfがミリオンヒットを連発し、自身の参加するH jungle with tもまた大ヒット。翌年には、安室奈美恵・華原朋美・globeと、まさに小室ファミリー全盛を迎えることとなります。 そんなTK大爆発への加速期となった1995年、小室哲哉の他にもう一人プロデューサーとしてヒット曲を多数生み出したのが小林武史でした。自身の手掛けるMr.Childrenが大ブレイク。出す曲、出す曲が大ヒットで、この年の年間チャートには実に4曲のミリオンヒットシングルを送り込んでいます(これに加えて、桑田佳祐と共演した『奇跡の地球』もある)。 そんな、もう一人の「TK」小林武史が同じ1995年に立ち上げた新ユニットが、このMY LITTLE LOVERです。シングル『Man & Woman/My Painting』でデビューすると、3rdシングル『Hello, Again ~昔からある場所~』は185万枚の大ヒットに。そして12月にリリースされた1stアルバムが今作です。なお、この作品から、Akko(Vo)、藤井謙二(G)に加えて、小林自身がキーボード担当としてグループに加入しています。 『evergreen』…タイトルがこの作品のすべてを言い表しているように感じます。小林の、一見地味でありながら、作り込まれていて、しかし決して作り込まれすぎていない、絶妙のサウンド構築力。卓越したアレンジ能力にはあらためて驚かされます。是非アレンジに耳を傾けてみてください。 小林主導という印象が強いこの作品ですが、同時にAkkoの普遍的なヴォーカルが、この作品の魅力を高めています。彼女は決して上手なヴォーカリストではないですが、その透明感があり、こちらに訴えかけてくるような声は、それだけで存在感があります。 シングルの『白いカイト』・『Hello, Again ~昔からある場所~』は本当にMY LITTLE LOVERの楽曲として見事な完成度。個人的には『めぐり逢う世界』が好きです。 マイラバのアルバムって、今後の作品もどれもそうかもしれないですが、この1stアルバムも何度も聴けるスルメアルバムです。 (記:2007.9.28)