ラストを飾る名曲。シングル曲ではないですが、失恋ソングとしてファン以外にも認知度は高いです。 正調バンドサウンドとビーチボーイズ風コーラス。メロディーはKANの『言えずのI LOVE YOU』をヒントにしたもの。出だしとラストのメロディーは『まゆみ』か。 そして、歌詞。普通の失恋ソングにありがちな、別れた相手の美化というものをしていません。それが逆に生々しくて涙を誘います。
総合 ★★★★☆
(記:2007.10.11)
5thアルバム 『深海』 (1996.6.24)
『Atomic Heart』の後、1994年11月には、6thシングル『Tomorrow never knows』をリリース。この曲はダブリミリオンを突破し、Mr.Childrenにとって最大のヒット曲となりました。12月には7thシングル『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック』をリリース。タイアップなしにもかかわらず、この曲もミリオンヒット。年末には『Innocent World』がレコード大賞を受賞。 1995年になっても勢いはとどまることを知らず、まず1月には桑田佳祐とのコラボレーション作品『奇跡の地球』、5月には8thシングル『【es】 ~Theme of es~』、8月には9thシングル『シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~』が全てミリオンヒット。ミスチル人気は社会現象となりました。 1996年は、2月にリリースした10thシングル『名もなき詩』が、史上最高の120.8万枚の初動売上を記録。4月には11thシングル『花 -Memento-Mori-』をリリース。この曲も100万枚を突破し、シングルは8作品連続ミリオンヒットとなりました。 そして6月、前作『Atomic Heart』以来、実に1年10ヶ月ぶりとなる5枚目のアルバムである今作『深海』がリリースされました。
さて、シングルの発売時期の違い等による違和感を抜きにすれば、今作は本当に良い曲が連発される一枚。当時の「ミスチル現象」というものが、この一枚で幾分理解できるのではないかと思います。 彼らの最大のヒットナンバーである『Tomorrow never knows』や自身の映画用に書き下ろした『【es】 ~Theme of es~』といった大作志向のシングルから、コステロ風ロックンロールの『シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~』やグルーヴ感溢れる『タイムマシーンに乗って』といったナンバー、社会風刺の『傘の下の君に告ぐ』、攻撃的な『Brandnew my lover』、荒涼とした世界に光が湧くようなアレンジメントが印象的な『ALIVE』、初期の彼ららしいミディアムポップスの『幸せのカテゴリー』等々、次から次へと佳曲・良曲の連発は、『Atomic Heart』にもひけをとらないバラエティ豊かさ。「アルバムとして」という点では負けるでしょうが、1曲1曲の豪華さという側面では、過去最高の作品であることは間違いないでしょう。 順調に売上を伸ばした今作は、『Atomic Heart』に次ぐ2度目の300万枚突破となりました。
8thシングル。自身の記録映画である『【es】 ~Mr.Children in FILM~』の主題歌として書き下ろされたナンバー。 フォークギターによる序盤から、バンドサウンド、オーケストラが加わっていくという大作。「es」とは心理学用語で、自我の一種ということ。 ライブでは演奏されることは少ない楽曲。
6.シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~
★★★★
9thシングル。大作志向の楽曲が続いていた中で、アップテンポなナンバーをシングルリリースしてきました。ノンタイアップにもかかわらず、180万枚近いセールスを記録。 元々は「シーソーゲーム」と「She So Cute」の掛け言葉から製作がスタートしたそうで。エルヴィス・コステロ風ロックンロールで、『メインストリートへ行こう』の発展版ともいえるかも。恋愛を皮肉ったような歌詞になっており、初期の爽やかラブソングとは、そのあたりで違ったものになっています。
7thシングル。元々は『Tomorrow never knows』のc/wとして製作されていたものの、あまりの出来の良さに思い入れが勝ってしまい、シングルA面としてリリースされることになりました。ノンタイアップでミリオンヒット。 ライブでの盛り上げ用ナンバーとして作られたこともあり、現在でもライブでは頻繁に演奏されます。この曲のヒットは、彼らの幅を広げましたね。「水平チョップ」って単語なんて、今までの彼らの楽曲には絶対登場しませんでしたから(笑)